御嶽山付近を通るリニア計画、中止も考えるべき事態なのにメディアは触れない

2014-10-08 17:20:56 | 桜ヶ丘リニア問題を考える会
御嶽山附近を通るリニア計画「中止も考えるべき事態なのにメディアは触れない」高野猛さん
2014-10-06 01 (日刊ゲンダイ、 ブログ「脱原発の日のブログより)

菅義偉官房長官は29日午前の記者会見で、御嶽山の噴火が鹿児島県の川内原発の再稼働に影響を与えないのかと問われて、「ないと思う」「今回は水蒸気(爆発)で、その予測がきわめて難しいことは従前から言われていた」と素っ気なく述べた。
「何を根拠にそう思うのか」「政府内で真剣な検討をする予定はないのか」と次々に突っ込みがあって当然だが、これで引っ込んでしまうのが今どきの大手メディアのフヌケぶりである。

 仮にその場での追及が難しかったとしても、「影響がないなんて本当か?」と疑問を持って検証を行えばいいはずだが、私の知る限りでは、すぐにそれをやって、同日の19時に「予知困難な火山噴火、川内原発再稼働で住民心理に影響も」という批判的な記事を載せたのはロイター電子版だけ。

 翌日、ハフィントン・ポスト日本版がこのロイター記事をキャリーし、また本紙が火砕流が原発を襲う危険を警告する記事を載せた。

他の大手紙といえば、「登山者にはヘルメットを配るべきだ」とか、のんきな話をしている。

 川内原発再稼働をめぐっては、マグマが噴出して火砕流が100キロ先まで到達する巨大なカルデラ噴火の可能性が検討の対象となった。

 ロイター記事によると、巨大なカルデラ噴火は日本ではおよそ1万年に1度の頻度で起きており、最後のそれは約7000年前の鹿児島沖で起きた。

 南九州には、桜島を含むカルデラ火山が複数あって、それが噴火すれば被害は破局的だが、原子力規制委員会は、その可能性は「十分小さい」うえに「監視によって前兆を捉えることができる」という結論で、一部専門家の強い異論を押し切ってしまった。

 しかし、東大地震研の中田節也教授がロイターに語ったところでは、カルデラ噴火の異常を確実に捉えられるのは「数カ月前、数週間前」で、これでは原子炉の核燃料を安全な場所に避難させることはできない。通常、炉から抜き出した燃料棒は格納容器の横のピットで「5年程度冷やしてから」でないと運搬できないからだ。

御嶽山の南45キロ、富士山の北30キロを通るリニア中央新幹線も、計画そのものを中止するかどうかを考えなければならない事態であるはずだが、安倍政権とJR東海に遠慮してか、大手メディアは何も触れようとしない。

 こうして大多数の国民は自分らが本当に直面している「いのちの危機」の本質について何も知らされないまま、「影響? ないと思う」という官房長官のウソを信じ込まされていくのである。