OGUMA    日々軌 小熊廣美の日々新

規格外の書家を自認している遊墨民は、書は「諸」であるという覚悟で日々生きている。

気楽に綴らせていただきます。

名もなき俳人の梅の句

2023年02月01日 | 文化・芸術

梅の花遅速のありし人の世も 三枝

自由とは孤独が裏の夜の梅  三枝

一句目、平凡に流してもいい句かもしれないが、生き死にから何かとある競争社会を考えるとき、気になる句であった。

二句目、気丈にみせる人ながら、独り居のなかの静寂。

伯母の句集の中から、その伯母の葬儀の礼状に添えた梅二句。

大寒のとうふ掬えば皆うごく 三枝

とか、三枝支持。

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若者は山里をめざす

2023年01月18日 | 文化・芸術

埼玉県の消滅可能性都市NO.1、埼玉県唯一の村である東秩父村のドキュメンタリー映画である。

東秩父は、長年関わった和紙に関しては、まったく小川・東秩父と一体である。映画のなかにも出てきた和紙の原料である楮(こうぞ)の皮むきである「かしき」は、小川の和紙体験センターばかりでなく、東秩父の和紙の里にも何度も出向いた。

東秩父の最後の和紙職人と紹介されていた根岸さんは私も教えを乞うた一人であるが、この映画を製作した原村政樹監督によるとこの映画を待たずして旅立たれたのこと。3年目の若い和紙職人に希望を託そうか。

さて、この映画は小川から外秩父に沈む夕日を同時期にみていた同級生の涼から知ったのだが、場所は、新宿のK’sシネマ。そこでチラシを前もってもらっていたが、ちょっと田舎を美化して作っているドキュメンタリーの嘘っぽさがあるのかなとおもいながら観た。

それはいい意味で裏切られた。まったく美化している感じがない。半分地元意識でよく知っているところだが、そのままだ。チラシの真ん中に写っている田舎のねえちゃんは、これも実際、とっても自然ですてきな女性であった。

原村監督が舞台あいさつで、「山里は全国的に危機的状態である」と強く訴えていた。不便であったという昔は、便利になった今より、ずっと豊かな暮らしぶりがあったことに気づかされる映画である。

今週末からは、川越の映画館で上映されるという。

写真は、本当はもっと美人の西さん中心のポスターと原村監督。

 

その後は新国立の独立展へ。片岡先生、藤田先生の作品が印象に残る。

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臨春閣公開

2022年09月23日 | 文化・芸術

横浜本牧の三渓園。そのなかにある臨春閣は、紀州のお殿様のお屋敷を移築してきたときいていた。

5年をかけての改修工事が終わっての特別公開だったが、紀州からの直接移築ではなく、その間に大阪にあったらしい。それも、相当朽ちかけていた。

原三渓が、その建物を買うのか買わないのか、業者とのやり取りが、「三万円で」「二万なら」とか、今回の改修工事の様子を伝えるとともに、お金のやり取りまで解説してあるのが、なかなかのオシャレ。

三渓園スタッフのセンスに感謝。

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日本の夏じたく展

2022年05月14日 | 文化・芸術

コロナ禍で2年お休みし、14回目となる夏の風物イベントになった「日本の夏じたく」展。

横浜三渓園で5月21日22日の土日二日間となった。

メイン会場の鶴翔閣のロビーで、「扇子-用の美」。

日本画家の作家らとともに私の扇子もそこにある。

蒔絵作家の箱瀬さんの親骨を用いた一扇も出来上がってそこにあるのだと思う。

斎宮抄の「雪……月……花……」のほぼ臨書の一部と、蒔絵の模様に合わせた曲線模様の一扇。

わたしもどう出来上がったか楽しみなのである。

 

 

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祈りのカタチ

2021年11月03日 | 文化・芸術

「みてぐら」辛島綾さんの展示の一部。

しめ縄、御幣、糸を染め紡ぎ織る。

手仕事の美しさを超えて、人間の生きることの精神性を感じる展示。

 

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くまさん

2021年09月14日 | 文化・芸術

美しくたくましい曲線である。桜の版木は堅い。

デッサンを版木におこした作品であるが、この曲線部分が先ほどの曲線の版木だ。

これは、高知の梼原(ゆすはら)に建てられた木造建築物のデッサンだ。

下の写真は、デッサンを版木に起こし、なお、手ぬぐいにしたもの。このデッサンは、銀座のティファニービルだという。

わたしもくまさんと言われる時があるが、デッサンが伝統木版画になることはない。

(あ、でも、いろいろと作品にしてもらっている。あらためて感謝である)

こちらのくまさんは、今、注目を集めつづける世界的建築家であるが、とてもいい性格をしているらしい。そういうところも、いまさらながら、見習わないといけない。

シンプルで、いい展示だった。

神楽坂は、マユミギャラリーで。明日15日まで。高橋工房主催

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映画「さくら」

2020年11月13日 | 文化・芸術

矢崎監督は、やはり文学的であり、詩的である。

今どきウケるだけの映画を作る気はまったく感じられない。

今日初日の映画「さくら」を新宿ピカデリーに観に行く。

コロナで半年延期となったが、さくらは春の花ではなく、犬の名前だ。

西加奈子の小説「さくら」を読んだのは今年になってからだったか。

家族再生の物語。脚本は矢崎組の朝西真砂さん。お話ししたことはないがFBでつながってはいる。原作から、どんな脚本を書き、どう映像になったのか、いつか訊ねてみたい。

それにしても、吉沢亮や寺島しのぶなど売れっ子俳優で固めた家族のなかで、北村匠海もよかったが、三人兄弟の妹役の小松奈菜にはびっくりさせられた。ビビット。TVのCMくらいしか知らなかったが。

お父さん役の長瀬さんには同情し、おかまの加藤雅也さんがアクセントとしては気に入った。

さくら役のわんちゃん、名演を忘れてはいけなかった。

今回、ピアノの音色が劇中,随所に静かに流れる。私の愛する国ハンガリーのピアニスト、アダム・ジョージという方をわざわざ使うのも、矢崎さんの詩的さだろう。朝西さんなのか?

家、食卓、公園、学校、病院という日常。わずかにおかまバー程度しか極端にいうとでてこない映画だ。

裏か表か、ではなくその途中に興味を持てる方がファン層なのかな、と思う。

 

さて、この映画が話題になった頃、友人の娘さんが就職するにあたり認印を頼まれた。

「さくら」という名前だ。出来上がった印をみて、とても喜んでくれた。

2つ作って余った方を矢崎さんにメールでみせた。

「あまりもの」と正直に書いた。「ほしい」の返事はなかった。じゃんじゃん。

 

 

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コロナ禍の娯楽天国公演

2020年11月13日 | 文化・芸術

角野くんのパフォーマンスのようなみごとな会場案内をみていて思った。

こんなコロナ禍で、おしゃべりを避けるなら、みんなで手話を少し学んだらいいだろうと。

政府広報CMで毎回、手話をテレビなどで流してくれたらいいのに、と。そしたら聴覚障がいの方との距離が近くなるかな、と。

さて、コロナ禍でできなかった公演もあるなか、毎年この時期の本公演は、練りに練ってのオムニバス公演AからCの3作。

わたしは、座長小倉ではなく新人に近い遊佐明日香作だという作品が1つ入ったのが気になり12日の「Bステージ」を観る。

遊佐はまだ新人でそこらにいる娘と思っていたら、役者としても舞台映えする役者になってきている。

歌も真木のうまさに魅了されたことがあったが、今回、遊佐も堂々のツイン。

 

「ごはんですよ」のおばあちゃん役に笑い、新作書下ろしの「音羽菊之丞一座」の座長役の気合あるドスのきいた声と自在に変化する高畑をみていると、有名無名関係なく、いいものはいい。面白いものは面白い。とつくづく思う。高畑の演劇に懸ける情熱をあらためて見た。

男優人は手堅い中、今回、澤田が目立ったBステージ。

今回は、みんなよかった、と思えるのは、舞台に立ちたいという“情熱”を感じたからか。

座長小倉の最後の口上は、いつもそこだけ真面目なのだが、今回、演劇人やステージに立つ人間を代表しているような挨拶で、舞台は面白いのだ、世界で日本が一番劇団が多いのだ、この窮状をなんとかしたい、と小倉の言葉に心が泣けた。

公演は、座長による劇団員のコンビニ以外?の外出禁止令からPCR検査等々徹底的。会場の萬劇場でも、手振り身振りで会話なし、座席は一席一席ビニールシートとそこまでやるか、を楽しく演出。

コロナ禍で、なお絆を深めただろう座員たち。

チームとしては最高だろうと、いつも小倉を私は羨ましがっている。

 

 

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下田愛の集大成なる!

2020年08月14日 | 文化・芸術

下田の歴史漫画の集大成が、ようやく完成いたしました
先日、下田市教育委員会に寄贈に行った時のことがテレビ静岡のニュースになりました
https://www.fnn.jp/articles/-/73856

と、杉本さんから。発売は8月21日とか。

 

知り合った頃は、髪もふさふさだった。剣名舞の愛弟子といっていいのか、よき仲間といっていいのか。

今は社長業をやりながららしいが、社員がよほどしっかりしているのだろう。

社長は、下田通いで、お吉さんの小説、劇画化にはじまって、とうとう一般にはしられてない助蔵さんにまで。

 

今の時代、なにか事が成る裏には、なんかいやらしさを感じることが多い中、この人の一途さはすがすがしい。

下田愛いっぱいの劇画になったのだろう。

主人公はハリスに仕えた助蔵さん。主役は庶民。これもいいねー。

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ねむの花

2020年07月10日 | 文化・芸術

病み切りて静かに逝きぬ合歓の花 はる

 

最後は長く患って逝ったという。

剣道柔道の高段者でもあったので、身体強く最後は往生際が悪かったか、生への悦びがあったのか。

7月7日、秩父は合歓の花があちこちにあって淡い紅を咲かせていた。

1977年まで生きていた伊昔紅。

生前には知らず。兜太の存在を知った頃か。その風体を一目見たかった。

息子の兜太にかくれている感があるが、面構えも兜太よりいいかもしれぬ。

 

その妻となったのも「はる」さんという。伊昔紅は本名元春。

「壺春堂」という医院の名は、今も残る王一亭の扁額「一壺春」にあるように、

一壺春耐可忘形 伯倫若有長生術

から採られたか。

それとも、懸壺済世、壺公の仙人からの「壺春堂」だったのか。

「春」は、自分の名、そして奥さんの名までもそこにはあるのだから。

 

伊昔紅の字はきちっと書けば書けて、いい。

ここにあるのは、軽く書いたもよう。伊昔紅のものだという。

冴え返るわが掛け声の何処へいく

 

新コロナが収まったら、秩父での地に足付けた生き方をここから吸収したい。

記念館として開館はしたものの、また改装途中でもある伊昔紅・兜太の生家だが、

夜、電気がついていたので覗いたら、保存会の方が快く招き入れてくれた七夕の夜。

また、ゆっくりと行きたいところだ。食事は伊昔紅から俳縁のある吉見屋のうなぎか。

 

北京から帰ってきて、仕事がない私は知人が設計した施設の現場監督になった。もちろん素人であるが、やればどうにかなるもんである。

そんな一時、左手首付近をちょっと切ってしまって、血が止まらない。

そこで伊昔紅の跡を継いだ千侍先生に治療してもらったことが懐かしい。

 

 

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