お寺さんぽ Ver.03

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閻魔天 (天部・仏像)

2011年04月17日 | 仏像
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日は「閻魔天(えんまてん)」です。
皆さんお馴染みな、おっかない顔の「閻魔大王」とはちょっと違います。
…というか、そっちをやりたいので、その原点であるこちらをやることとしました。
なお、この方はほとんど見掛けず、資料もないため、↑イメージはひでるさんが描いてます。
大雑把にはあんな感じよ。


梵名「ヤマ」、あるいは「ヤーマ」を音写したものが「閻魔」です。
他に「夜摩(やま)」、「焔摩(えんま)」、「焔魔(えんま)」…といった表記もある様子。
また、それに「王」の意味がある梵名「ラージャ」をつけて「閻魔羅社(えんま・らしゃ)」、それを略して「閻魔羅」、「閻羅」というのもありました。
その「ヤマ」には”一対をなす”という意味があり、「双王」とも訳されます。
彼には「ヤーミー」という双子の妹がいたんだって
…どんな顔してるんだろ。

その「ヤマ」は、最初は天上の楽土に住んでいた光明神の一人。
それが人類最初の死者となって冥界へ行き、そのまま死後の世界の支配者となったのでした。
暗黒世界を主催する彼は地獄の王とされ、いつしか死者の生前の行為に従って、賞罰をつかさどる神となっていったのです。
インドの「ヴェーダ神話」、「マヌ法典」では、だいたいそんな感じの内容。
それらの性格が仏教にも取り入られ、さらに密教では十二天の一人として”南方を守る護法神”とされたのでした。

これが中国に伝わって…道教の冥界思想と融合した姿が…冒頭でちょろっと書いた「閻魔大王」です。
別にやりたいので、今回は詳細についてばっさり割愛しますね。
(※ただ、各本の記述はどっちだか曖昧なものもあり、よく分かりません。次の「閻魔大王」記事とセットで見ていただければ幸いです。…まだ書いてないけど)
日本では、密教と共に「閻魔天」が平安時代に、「閻魔大王」はやや遅れて鎌倉時代に伝わった様子。
十二天の一人として信仰されるほか単独の信仰もあり、天台密教「冥道供」では本尊とされます。

その姿は、叙事詩「マハーバーラタ」では王冠をかぶって片手に棍棒、片手に索を持ち、水牛に騎乗していました。
それが密教になると菩薩形。
片手に人頭をつけた半円月のステッキのような、”人頭幢(※)”を持っていて、水牛に半跏座で騎乗しています。
菩薩で水牛なら、ほぼ間違いなく「閻魔天」である筈。
仏像はほとんど見掛けませんが、京都「醍醐寺」には大きいものがありましたよー。
これは必見。

(※)人頭幢(じんとうどう):
儀式または軍隊の指揮などに用いた旗の一種。彩色した布で作り、竿の先につけたり、柱に懸けたりした。
人頭とあるので、先には人の頭がついている。

密教での「閻魔天」は亡者の救済、死すべき者の延命などのご利益があります。
なお、「地蔵菩薩」の化身とも言われています。


[関連記事] 【天部、その他】
⇒ 仏像の種類 (お父さんのための仏像講座) [前編] [後編]
⇒ 木彫の技法について (お父さんのための仏像講座)
⇒  お寺で動物ウォッチング「鳥獣座について」(お父さんのための仏像講座)
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※「えん魔くん」は閻魔大王の甥だそうです。
 なんかリニューアルのやつやってますね。


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