お寺さんぽ Ver.03

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大黒天 仏像編 (天部・仏像)

2008年01月02日 | 仏像
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日は七福神メンバーとしてもお馴染みの「大黒天(だいこくてん)」なのでした。

笑顔で近づいてくる奴には注意しろ!!
かつて、「我々は兄弟だ」とか言っていた「ザラブ星人」
実はウルトラマンを陥れる凶悪な侵略者だったのでした、という例(←どんな例えだ)
…にもあるように、やたら馴れ馴れしい奴ってーのは疑ってかかるべきなのです。
ここ、重要なポイントですよ!テストにでますよ!(でない)

そんな訳で、”笑みの下には極悪非道な素顔”のある「大黒天」さまなのでした。
そこの小さいお子様、一部は本当ですが大まかには冗談なので、鵜呑みにはしないように。
いませんか、ああそうですか。

梵名は「まはかーら」です。
このうち、「マハー」は「大」の意味。
そして「カーラ」は「灰色の魔女」…ではなくて「黒色」の意味でした。実はこれ梵語「カーラ・ラートリ」っての略であるそうです。
(※「カーラ・ラートリ」ってのは「黒闇天(こくあんてん)」…悪そう)
これを漢訳して「摩訶迦羅天(まかからてん)」あるいは「大黒天神」などとも言われます。

ちなみにこの「摩訶迦羅天」という別称は現在でも使用されており、後述する憤怒相の大黒天をそう呼んで区別していたりします。基本的には同じことなんですけどね。

古代インドでは、「シヴァ神」の化身にてあらゆるものを消滅させる破壊神。
または「大自在天」の化神とも言われ、”森林中を遊行しながら人間の血肉を食らう”という、強暴な戦闘神として恐れられていました。
こんなんが本性なんですよ。
他の七福神メンバーもびっくりな素顔ですよね。

それが仏教に取り入られ、戦闘神・財福神としての性格が与えられ、次第に恐ろしい形相から温和な福の神という後者の性格が強調されていきました。
中国では食厨神として一般的。
日本に伝わってからは、寺院の守護神・豊饒神・冥府神・生産神・戦闘神…など、多彩な顔を持つようになるのでした。

さて、お待ちかねの見分け方。
身体は青色で、三面六臂の憤怒相。
左右の手に剣を横で握り、次の手には人頭、羊を掴みます。
像の背後に象皮(ぞうひ)を張っております。
この象皮のあたりが、よく知られる大黒さまの袋とよく似てるところなの。
「胎蔵界曼荼羅」ではこの説と同じで、三面三目六臂の憤怒相。
また、八臂のものもあるそうです。
この恐い大黒様はレア像なので、出会えた貴方はラッキーです。
ひでるさんは直に見たことありません。

さて、そんなんだったのが、前述したように、信仰の変遷と共に変化していきました。
実はそうした三面六臂の恐い大黒様のほか、一面二臂の現在一般的に想像されるような象も古くから製作されているのです。

一面二臂のものは寺院守護神として神将形。
右手に小さな袋包みの口を握り、左手に宝棒を持って岩座に座るもの、狩衣(かりぎぬ)を着て、左肩に袋を背負うものがあります。
この形のものが、現在の「大国主命(おおくにぬしのみこと)」信仰と習合した大黒天のモデルとなっているようです。
大きな頭巾を被り、袋を背負い、右手に打出の小槌を持ち、米俵の上に乗る姿ですね。

福岡・観世音寺の大黒天は一面二臂の立像で藤原時代という最古の像。
意外ですが、国宝でなくて重文。
ややキツい表情で一木造の傑作です。
ちなみに、こちら観世音寺は特別史跡「大宰府跡(だざいふあと)」の東に位置し、日本三戒壇の一つが設けられていたという、由緒正しい名刹なのでした。でした。


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※はい、「灰色の魔女」の元ネタはこちらでした。
 いやーなっつかしいですねー。



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