お寺さんぽ Ver.03

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兜跋毘沙門天 (仏像・天部)

2007年12月10日 | 仏像
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日は七福神や軍神「上杉謙信」とセットで名高い「毘沙門天」、その亜種であります「兜跋毘沙門(とばつ・びしゃもん)」についてです。

四天王中でダントツに作例が多く、単独でもあちこちで信仰される毘沙門天。
人気あるだけやたら登場するんですが、人気者には必ずモノマネや偽者が登場するのが常なのです。
山田康雄と栗田貫一、ウルトラマンにおけるザラブ星人ですね。
そんな訳で、毘沙門天にもモノマネというか異形仏がいくつかあるんですが、最も有名で作例も多いのが「兜跋毘沙門天」なのでした。

細かい事は実際の「毘沙門天」でやりますんで、いきなり見分け方から。
右手に戟、あるいは宝棒をとり、左手掌に宝塔を持っています。
こんなんはほぼ毘沙門天と一緒で、異なるのは次からです。
頭部には鳥冠(ちょうかん:三面立ての冠で正面に鳥が描かれる)を被り、斗祓(とばん)と呼ばれる西域起源の鎧を着ております。
また、足下には地天女(ちてんにょ)がおり、両腕で支え、左右に毘藍婆(びらんば)、尼藍婆(にらんば)の二鬼が配されているのでした。
なんと、邪鬼ではなく、こともあろうに女の子(?)を踏みつけているという、男の風上にも置けない野郎なのです。 
見分けに最も簡単なのは足元見ることですね。

実際こんなんは経典に存在せず、発掘遺品から推察されるには西域のコータン地方を起源としており、そちらで信仰されていた毘沙門天が中国、そして日本へ伝わったものとされているようです。
「兜跋」の語源は着ている西域鎧「斗祓(とばん)」とか、中国地名の「吐蕃(とばん)」、「吐魯番(とるふぁん)」、あるいはチベットのマントの意味とか色々言われていますが、どちらも決定打に欠け、定かではありません。

日本では、京都・東寺にある「兜跋毘沙門」が現存最古のもの。
こちらは王城守護のため、かの有名な「羅城門」階上に安置されていたものなんだって。
唐作成のものらしく、技法から「魏氏桜桃(ぎしおうとう)」という材料まで日本のものではないそうです。
当然ながら国宝。

唐の玄宗(げんそう)皇帝時代。
中国西域の安西城(あんせいじょう)が敵に包囲された時、なんと「兜跋毘沙門」が城の楼門に出現し、敵を退散させたという伝説があるそうです。
まるで、「バラージの青い石」の回の「ノアの神」みたいですね。
(※ちなみに登場怪獣はアントラー)

そんな流れから、平安時代には”外敵から守る”という意味が与えられて東寺に配されたほか、特に九州地方・東北地方では盛んに制作されることとなるのでした。
日本で作例が多いのはそのためであるようですね。
お寺をさんぽしていると、意外にお目にする機会が多いと思います。
ちょっと探してみてはいかがでしょうか?

(※ちなみに、写真は”川崎大師の毘沙門天”です。兜跋なんですね)

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※この方も「兜跋毘沙門」ですよ。たぶん。

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※こんなんほしいんですけど…もう過去にTVで見たものですからねぇ…。



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