お寺さんぽ Ver.03

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訶梨帝母[鬼子母神] (仏像) 

2008年08月31日 | 仏像
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日は優しい母親ちっくな仏像「鬼子母神(きしぼ(も)じん)」、あるいは「訶梨帝母(かりていも)」です。
…えー、実際には双方の名で呼ばれるんですが、いちおう後の説明に絡め易いということで以後は「訶梨帝母」で書いていきます。
よく耳にするのは「鬼子母神」の方かもしれませんけどね。

インドではかなり早くから信仰されたという、こちらの方。
まぁ、”子を優しく抱く母の像”というのは、あちらのマリアさまなどと似て、それだけでなんとなく神々しさはありますからねー。
時代的にも、流行って当然だったかもしれません。

さて、この「訶梨帝母」さまには、とある有名なエピソードがあります。
もともとは、鬼神「般闍迦(はんじゃか、ぱんしか)」の妻という「訶梨帝母」さま。
五百から一万人と言われる、実に子だくさんな大家庭(?)の母親なのでした。
しかし、その性質と言えば大変に邪悪、さらには兇暴で、”常に他人の幼児を捕らえては喰らう”というトンデモな鬼女だったのです。

ある日、悲しむ人々らの訴えを受けた「釈迦」は神通力によって、彼女が最も愛したという末子の「嬪迦羅」を隠してしまいました。
方々を狂ったように探したもののまるで見つからず、大いに嘆き・悲しむのです。
大勢いる子のうち一人でもいなくなればそのようになる。まして少ない子のうち、一人でもいなくなった親の心はどうだろうか
そう諭され、子を失う母の苦しみを知ったのでした。
この後は絶対に人の子を殺さない
「釈迦」は彼女にそれを誓わせ、子を返したのです。

…以後、改心した「訶梨帝母」さまは子の代わりに吉祥果(ザクロの実)を食べ、逆に安産と子を守護する神様になったのでした。
めでたしめでたし。

子供を返した次の瞬間、「訶梨帝母」さまによってタコ殴り(あるいは惨殺?)にされる「釈迦」の映像が浮かんだひでるさん(笑)
テレビなどでもよく取り上げられますが、もし現代の世で同じようなことをやったなら、どれだけ正しいことでも相手は素直に聞いてはくれないでしょうねー。
逆に訴えられたりして。

さてはて、梵名は「ハーリーティー」
お名前の「訶梨帝」はその音写で、別に「訶利底」とも書くのだとか。
見分け方としては、基本的に天女形(密教の場合)
左手で子供を抱き、右手で吉祥果を持っています。
立っているものが多いですが、宣台(せんだい)に腰掛けるもの、座って右足を踏み下げているもの(半跏踏下)というのもあります。
たいていは童子らに取り囲まれてます。
特に混同しそうな像(※僧形ならばお地蔵さま)もなく、形式が浸透しているものなので、分かり易いことと思います。
有名なところでは、「醍醐寺」に国宝の絵が、「東大寺」には重文「訶梨帝母像」があるそうです。
あまりバンバン見かけるタイプではないので、目撃した方はラッキー。

ちなみに余談ですが、いまは懐かしい「逆転イッパツマン」の音楽「シビビーン・ラプソディー」にて、「おそれいりやのキシボブタ♪」と歌われておりますが、これは「恐れ入谷の鬼子母神」という洒落のもじり。
その元は、東京都下谷は「真源寺」に祀られる「鬼子母神」のことなのでした。
「山本まさゆき」さんは本当にこんなん好きな方ですね。

なお、「法華経」では「法華経を読誦し受持する者を擁護せんと欲す」という…あ、このままだと分かり辛いですね。
「法華経を唱え・。覚えて教えを忘れない者を助け守りますよぉー」
だいたいそんな役割。、
「日蓮宗」では、法華経を守護し、現世利益の神さまとして「十羅刹女(じゅうらせつにょ)」、「半支迦大将(はんしか・たいしょう)」らと共に祀られ、信仰されています。
こちらは除病、除災など広い利益が求められているためか、ちょっと異なる鬼神形なのだとか。
いやぁ、そっちも見てみたいですねー。

最後に真言は「おん、どどまり、ぎゃきてぃ、そわか
子授け、安産、子育てほか、盗難よけなんてご利益まであったりします。
ただし、本来は鬼神の天女で、人に見られるのを嫌うため、夜にお願いするのがいいんだって。
もともと鬼神でも美人と評判であったそうなんですが…。



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