絵のタイトルは、「ひねもすのたりかな」です。
山の民は、この時期多忙です。
海の民は、のんびりと糸を垂れる。
どちらも獲物を待っている。
寒い朝、福寿草が花を開いた。ああ、春が来たと喜んだ。
草がどんどん伸びて、地面を削るように草取りをする。
今年も熊谷草が扇形の葉を開いた。周りの草をていねいにむしった。
林の若葉が赤から緑に変わっていく。
空き家を5軒回り、草を刈る。
家主は居ねど、それぞれの想いが残る。
陽の光が届くように剪定した。伐った枝は山に捨てた。
雨の後は、樹液がほとばしっていた。零下になる朝には凍った。
友人が山菜取りに誘ってくれた。
採れた山菜を山に行けない人に配った。
そして、多くの人から庭で採れたたらの芽をいただいた。
畑の草が伸びる。慌ててカンリキ(耕運機)を走らせる。
芽は出ていないが、地下で根はしっかり準備をしている。
じゃが芋を植えた。
冬越しの玉ねぎと、にんにくとキャベツは葉を伸ばした。
豆の伸びるつるのために笹を刺した。支柱用の雌竹を伐ってきた。
苗を買いに行った。
かぼちゃ、なす、トマト、ピーマン他を買った。
耕作放棄地にコスモスの種を蒔くことにした。
枯らした経験を活かして、土に有機肥料を入れ風よけをしながら植えることになる。
妻は、種と種芋を蒔いた。辛子にピーナッツと里芋などである。虫よけの花の種も蒔いた。
そのうち、さつま芋の苗が余ったといただくであろう。
福寿草の頃は、春が来ると喜んだ。
熊谷草の頃には、身体のあちこちが筋肉痛である。
1.5反の畑が作物で埋まるのも、すぐのことになりそうだ。
朝と夕にタンク一杯の草刈をする日が続く。
カフェの仕事がない分、気になっていた仕事ができる。
空き家(3軒目)の片づけに時間を割こうと懸命である。
大学を卒業できない夢を見た。単位不足故、かけもちで授業を受けた。
あの頃に較べて、今も負けないくらい時間割が短冊のごとくである。
今は良い。
皆に遅れないようにと走らない。
ノルマもない。
腹を空かせた子供が待ってもいない。
追われることはもうなくなった。
やりたいことを追っかける毎日である。
落ち着いたら都会に出かけよう。
やり残したことがある。
福寿草 喜ぶ間なく 熊谷草
2020年5月8日