物言わぬ石膏像、多くを語る

　　　ウインドウ内のモーツアルト

　　　
眼力（めち”から）があると言われます。

川畑康成は、インタビューに来た女性記者を
眼力で裸にしてしまうほどであったとか。
なでるように見る眼（まなこ）にいつしか着ているものを
剥ぎ取られるような感じがしたと、女性記者はいわれたとか。
石原慎太郎さんが書かれています。

年賦が刻まれたような目の老人にあうことがあります。
何もかも御見通しなのです。
その後、にっこりと笑顔に変わります。
底知れぬ親しみと慈しみを感じて暖かくなります。

じっと視る視線を感じます。
幼子が何か求めているのです。
今にも泣きそうです。
愛おしいのです。

浮気がばれた亭主は、般若の目に遭遇します。
かみさんにとても愛されているのです。
かみさんは、殺してやりたいほど見つめています。
上の空を見るしかありません。

冒頭の絵は、ザルツブルグで会った「ウインドウのモーツアルト」です。
時空を越えて何かを訴えています。
天才ゆえの悩みでしょうか。
仕事をやり残した苦悩の目でしょうか。

物言わぬ多くを語る目に会うことがあります。
そんな時、皆さんはどうされますか。

みつめますか。
それとも、目をそらしますか。

その時の自分の心情で、その目と向き合うことになります。
その人の眼は、私達の心の投影であり自分自身なのです。
素直な気持ちで感じることです。

いつ見ても　鏡の中は　美人顔

２０１５年８月１６日