故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

それでも、緩めない

2014-07-27 05:09:08 | プロジェクトエンジニアー

001
梯子を外されるようなことが、時々ある。
工事現場には危険が潜んでいる。原因の第一が勘違いである。
経験者は、安全に見えても潜んでいる危険を察知できるようになる。多くの人は、自分の五感で危険を予見するのではなく、先輩に教えてもらった規律で、未然に防ぐまねごとをするのである。
上に登っている人にとっては、梯子は下に降りる貴重な手段である。しかし、なにげなく通りかかった人から見ると、梯子は通路を塞ぐ邪魔者なのである。そして規律に従って片付けてしまうのである。仕事の流れが分かっていれば、上に人がいることを認識でき、外すことはないのである。

集団社会では、しばしば起こる現象である。
今日のように、縦割りのセクショナリズムで構成される組織でよく見られるのである。そのセクションごとに規律は異なるのである。「売り上げを競うな、サービスを競え」を社是としている眼鏡やさんがある。私は、この社是が気に入って、この眼鏡屋さんを長年利用している。この考え方だと、梯子を外すようなことは起こりにくいのである。

売上至上主義は、まことに自分勝手な発想で、自分の組織のことだけを考えるようになるのである。セクショナリズムを優先するあまり、ひどくなるとコンプライアンスを無視することも起るのである。会社が発行している仲良し新聞を読むことで満足し、いつしか一般紙を読まなくても生きていけるようになるのである。一つの組織に長くいると、気がつかないうちにそうなりやすいのである。成功者である社長は、いつしか裸の王様となってしまうのである。洋の東西や時代の流れの中で良く見られる現象である。

工場を「作る側」と「使う側」において、どちらの側も「売り上げ重視」の考え方に立つとしたら、「作る側」は良かれと思って勝手に作り、「使う側」は、壊れるまで使ってしまうのである。その後、どちらもお互いを認めなくなり、関係は冷めていくのである。

誰でも、梯子を外すことを知らず知らずやってしまうことがある。工事現場では、危険予知を「KY活動」と略して呼び、日々実践している。これが、組織の中に埋もれてしまうと、「空気を読めない」(KY)人たちだらけとなり、梯子を外すような危険を平気でやるようになるのである。やがて、組織のボトルネックとなりリスク(危険)を吐きだすようになってしまい、その毒で組織は消滅するのである。

では、どうすればその「梯子を外す」ことを阻止できるのか。
眼鏡やさんの社是のように、「売り上げを競うな、サービスを競え」と考え方を改める活動をするのである。工事現場では、作業者を安全に家族の元へ返すことを第一に考えるのである。
真のサービスを競うに
は、相手のことを考え、満足させる工夫と工夫を実現できる考え方と技術を磨かなければできないのである。すべての人が、プロフェッショナルとなるには、変化に気づく人がまず実践し、草の根運動を展開することである。それには、大いにサービス精神旺盛な人がふさわしい。そのサービスは無償であるほど価値が出るのである。 

私は、時々孤独になることがある。
それでも緩めるわけにはいかない。

2014年7月27日

コメント
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