楽しんでこそ人生!ー「たった一度の人生 ほんとうに生かさなかったら人間生まれてきた甲斐がないじゃないか」山本有三

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藤村の夜明け前(旧中山道を歩いて気づいた事10)

2013年02月02日 09時24分11秒 | つれづれなるままに考えること

(12輪花をつけた胡蝶蘭:蘭を育てるのは難しいことを知った)

(夜明け前)
三人の姉たちが藤村の詩集に熱を上げて、
しきりに暗唱をしていたのを思い出す、
ボクが高校生のころのことであるから、もう60年も前のことである。

その詩が載っている全集は島崎藤村とあって、
赤い厚紙の表紙でずいぶん分厚い本であった。
一部詩集になっており、ほかに「夜明け前」「破戒」、
今は記憶がないが、そのほかに数編の小説が掲載されていたように思う。

姉たちが暗唱して口ずさみ、ボクの記憶に残った詩は、
「まだあげ染めし前髪の・・・」であり、また別の詩は
「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ」であった。
ページをぱらぱらめくっていくと詩集があり、
ボクが聞き覚えた詩は、「初恋」であり「千曲川旅情の歌」であることを知った。

さらにページを繰ると「夜明け前」と言う名の小説があり、
そうとうな長編であったという記憶が残っている。
姉たちが口ずさんだ詩の内容から、
高校生のボクには「夜明け前」は、かなり難しそうな小説に思えたので、
いつかは読もうと思っていたが、長いこと忘れていて読む機会を逸していた。

中山道を一人で歩いて長久保宿まで来て、
いよいよこの先は木曾街道と思うと、
有名な一節「木曾はすべて山の中である」が思い起こされて、
藤村の「夜明け前」を避けては進むことができなくなった。
図書館で本を借りて読んでみると、
高校生時代に勝手に難解と思い込んでいた「夜明け前」は、
実は非常に解りやすいやさしい文章で書かれている。

こんなことなら
高校生時代の暇がたくさんある時に読破していれば、
中山道を歩くのにいろんな参考になることが書かれていて、
当時を理解するうえで参考になったのにと悔やまれる。
なぜなら、今は残された時間を思うと、
一刻も無駄にしたく無いと思うからである。

(今年も咲いた月下美人)

さて「夜明け前」であるが、何を意味しているかというと、
「文明開化の夜明け前」をさしている。
ペリーの黒船来航から始まる日本の動揺、安政の大獄、
寺田屋事件、尊皇攘夷、薩摩と長州、会津と水戸、桜田門外の変、
水戸浪士組、新撰組など。

徳川幕府の崩壊から江戸城無血開城、天障院篤姫、
皇女和宮の話など、激動の時代について、
木曾から美濃までは「夜明け前」を読めば
歩くこともなさそう思えるようになってきた。

昔から、ベストセラーになる小説は時代を背景にしたものが多い。
群雄割拠時代の「太閤記」、古くは「太平記」「平家物語」など。
「夜明け前」が幕末から明治の開化までの歴史小説として、
民間人を主題にしてベストセラーになった小説であることは十分うなずける。

太平洋戦争の時代を背景にした長編小説の傑作はどれであろうか?
どなたか手を挙げて創作されてはいかがであろうか?

ベストセラーになるのを請合います。

(月下美人に似ているがこれは孔雀サボテン(黄色)
コメント (16)
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