中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

社員の自殺は「労災」

2016年11月09日 | 情報

報道を読む限りでは、労災認定基準に合致しますので、単純に労災認定されて然るべきと考えますが、
どのような経緯があったのでしょうか。自死から地裁判決まで、5年間を要しています。

上司からエアガン・つば…佐川急便22歳自殺、労災認定
朝日 16.10.27

佐川急便で上司からエアガンで足元を撃たれたり、つばを吐きかけられたりするパワハラを受けて
自殺した男性(当時22)の遺族が、労働災害と認定されなかったことを不服として国を訴えた訴訟で、
仙台地裁(大嶋洋志裁判長)は27日、労災と認め、遺族補償金などの支給を認める判決を言い渡した。
不支給とした仙台労働基準監督署の処分を取り消した。
判決によると、男性は2010年3月、佐川急便に入社。
東北支社仙台店(現南東北支店仙台営業所)で経理などを担当していたが、11年12月にうつ病の診断を受けた。
4日後には自宅で制服姿で首をつって自殺。
遺族は12年2月に労災保険法に基づき遺族補償一時金と葬祭料の支給を仙台労基署に申請し、
同年12月に不支給処分となった。
男性は直属の上司から日常的に仕事のミスで注意を受けていた。
自殺する直前にはエアガンで撃たれたり、つばを吐きかけられたりする暴行や嫌がらせを受け、
SNSに「上司に唾(つば)かけられたり、エアガンで打たれたりするんですが、コレってパワハラ?」と投稿。
自分のスマートフォンにも「色々頑張ってみたけどやっぱりダメでした。
薬を飲んでも、励ましてもらっても、病気の事を訴えても理解してもらえませんでした」と書き残していた。
上司はうつ病になったと訴える男性に「そんなの関係ない。迷惑かけられて大変だった」と残務処理を指示。
判決は一連の行為を「社会通念上認められる範囲を逸脱した暴行または嫌がらせ行為」とし、うつ病は業務上の発症と認めた。
仙台労基署は「今後の対応については関係機関と協議していきたい」、
佐川急便は「事実関係を確認しています」とコメントした。

佐川急便従業員の自殺 労災認定
河北新報 10/28

2011年に自殺した佐川急便東北支社仙台店(仙台市宮城野区)の男性従業員=当時(22)=の遺族(岩手県宮古市)が、
労災を認めずに遺族補償一時金などを不支給とした仙台労基署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、
仙台地裁は27日、「自殺は上司の嫌がらせが原因」として処分を取り消した。
大嶋洋志裁判長は「男性は上司からエアガンで撃たれたり、唾を掛けられたりするなど暴行や嫌がらせを受け、
うつ病を発症した」と述べた。
判決によると、男性は10年3月に佐川急便に入社。
男性上司から日常的に注意や暴行、嫌がらせを受けてうつ病を発症し、11年12月に自宅で自殺した。
遺族は労災遺族補償一時金などの支給を請求したが、仙台労基署は12年12月、
「死亡が業務によるものとは認められない」として労災を認めず、補償金を支給しない決定をした。

佐川急便社員の自殺は「労災」 仙台地裁が認定 
日経 2016/10/28

佐川急便の仙台市の事業所に勤務していた男性社員(当時22)が自殺したのは
上司のパワハラでうつ病になったのが原因だとして、
遺族が、労災と認めなかった仙台労働基準監督署長の決定を取り消すよう国に求めた訴訟の判決で、
仙台地裁は自殺は労災だと認定し、遺族補償一時金などを不支給とした決定を取り消した。27日付。
大嶋洋志裁判長は判決理由で、上司から足元に向けてエアガンを撃たれたりつばを吐きかけられたりされ
「業務上許容される指導を逸脱した暴行または嫌がらせを受け、うつ病になった」と指摘。
その上で「退職を申し出たのに、上司から病状に理解のない指示を受けて引き続き仕事を要求されたことで、
強度の心理的負荷を受けた」として、自殺との因果関係を認めた。
佐川急便の担当者は取材に「判決の内容を確認しておらず、コメントできない」と述べた。
判決によると、男性は佐川急便に勤務していた2011年12月22日、うつ病と診断され、
同26日、自宅で会社の制服姿で首をつって自殺した。
仙台労基署長が労災と認めない決定をしたため、岩手県宮古市の遺族が14年9月に提訴した。〔共同〕


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