中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

「職場を襲う“新型うつ”」とは(解決好事例)

2012年05月14日 | 情報
日経新聞やテレビ東京で報道された、居酒屋チェーンきちりのユニークな新人教育を紹介します。
ここでは、日経新聞(12.4.11)ビジネス・イノベーターのための未来創造系ブログ(12.4.13)より転載しました。

居酒屋チェーンを展開するきちりは10日、新入社員だけで運営する店舗を大阪市内に開設した。
指示を仰ぐ上司のいない環境で経験を積ませ、実践的な店舗運営のノウハウを習得させる狙い。
店名も「新卒ダイニング Rookies(ルーキーズ)」として、通常の店舗と区別する。
今月1日に関西エリア採用で入社した男女9人が1年間勤務する。本社で基本的な研修を
受けたうえで調理や接客など店舗運営の一切を担う。メニューや内装も新入社員が中心となり
企画した。従来は約3日間の研修後に店舗に配属され、上司の下で働いていた。
店舗は大阪の繁華街、北新地の鳥料理店を業態転換した。客単価は夜で3000円前後を見込む。
新入社員だけで運営する飲食店は珍しい。関東エリア採用の新入社員についても「来年度採用から
検討する」(平川昌紀社長)としている。

4月に入り新入社員研修があちらこちらで行われています。
この新入社員研修というものは“お勉強”ではなく、仕事ができるように
“実践につなげる”ことがとても大事。その観点から、きちりが非常にユニークな取り組みを行っています。
居酒屋チェーンのきちりが2012年4月10日に大阪・北新地にオープンした店舗「新卒ダイニング Rookies」。
この店舗の特徴は、社員は新入社員のみ。上司に頼らずに、
新入社員が自ら考え、調理や接客などの店舗運営を行っていきます。
といっても、いきなり放り込むわけではなく、1日から本社で研修をおこなっていますし、
きちりはアルバイトから社員になるケースも少なくない会社。
当然本社からのサポートも入るでしょうから、無理の無いレベルでより深い現場経験を
新入社員が獲得することが期待できます。

この先のビジネスのあり方を考えると、以下の3つのワーキングスタイルのうち
ナレッジワーカータイプが必要です。
・マニュアルワーカー : 決められたことだけを決められたとおりにやる
・スキルワーカー : 課題を与えられたら、その解決のために自分のスキルを駆使して対応する
・ナレッジワーカー : 課題を自ら発見し、その解決のためにあらゆる手段を駆使する 
ナレッジワーカーには、自ら考え、行動することが必要です。それには責任と権限を与えること、
つまり本当の意味で任せることが必要になります。
しかし、新入社員に対する企業の研修のほとんどはマニュアルワーカー的、
もしくはスキルワーカー的になっているのが実情。
研修で「自分で考えて行動しろ」といっていたとしても、
実質的には研修する側(OJT、Off-JTともに)が考える範囲を制約していたり、
行動を実質的に指示(命令)しているケースは少なくありません。

この状態を解決するための試みとして、今回のきちりの「新卒ダイニング Rookies」は
非常に興味深いものがあります。ナレッジワーカーを育成するために、
実は阻害要因となっていたのは“教える側”、“指示をする側”の人間=上司・先輩。
であれば、その上司・先輩がいない環境で、実際に社会の厳しさにさらされて知識だけでなく多くの経験をつませ、
考えさせ、ナレッジワーカーに仕立て上げていくことが狙いとして見て取れます。
コメント
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