熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

住所表示システム、面か線か

2024年06月24日 | 海外生活と旅
   今日の日経の文化面に、下嶋一浩さんの「京都に出没、謎のひげ紳士」というコラムが掲載された。仁丹が設えた京都の道路標示看板の話だが、私が注目したのは、京都の住所表示である。
   西洞院通花屋町下、花屋町通西洞院西入、と言った日本では特異な条里制の住所表示である。

    日本の住所は、奈良や平安の時代には、京都のように、条里制の住居表示方法を導入したのだが、なぜか、そこから離脱して、面で住所を表示する方法に変わった。
   道路は付属物で名前がなく、一番最初に家が建った所が一丁目一番地で、次に建った所が二丁目、従って、最近では住所表示の変更で大分ましになったが、面表示なので順列が歪で分かりにくい。 

    余談だが、今は知らないが、サウジアラビアも、道路名も住所もなく、昔は、総て郵便は私書箱であった。
   タクシーに乗ったら余程上手く説明しないと目的地に行き着けないので、出張で何回か行ったが、タクシーには乗らなかった。 

   ところで、大まかに言うと、欧米の場合は、まず、道路ありきで、総ての道路に名前が付いていて、市役所に近いところから、その道路沿いに住居番号が付けられている。通りの一方の片側は奇数、反対側は偶数表示で、そして、次の交差点から、10番台乃至100番台の番号が一つずつ大きくなる。
   従って、通りの名前と、住居番号さえ分かれば、大体間違いなく正しい住所に行きつける。

    尤も、理屈はそうだが、実際には、入り組んでいたり、大きな門の中にまた通りがあって名前が付いていたりで、集合住宅が密集している場合など中々難しく、ウィーンで、シュタット・オペラの著名指揮者のアパートを探すのに難渋した記憶がある。
   ロンドンの場合も、アッパーかアンダーかの確認をミスして上下を間違って困ったロンドンっ子もいた。
   それにローマ時代の入り組んだ路地がそのまま残っていて、これが道かと思う様な所も多いのがロンドンで、兎に角、場所探しは何処も大変である。 
   現在は、デジタル革命でカーナビなど進化して問題ないのであろうが、そんな牧歌的なアナログ時代が懐かしい。 
 
   ずっと昔の話だが、それでも、ロンドンのタクシー運転手の資格取得試験は難しかった。
    運転手に聞いた話では、お客の要求する場所に最も早く最も経済的かつ正確に行かなければならない義務がある、と言うことで、
   その為に、試験を受ける前には、ロンドン中の道と言う道は総て単車で回って道を覚えたのだと言う。試験官の顔が鬼に見えるとも。
   ここで工事をしていて通行止め、ここで何時から何時まで通行禁止、それでは、ここからここへどう行くのか等々、複雑な難しい質問をされたら、道だけではなく交通標識、交通ルール等など一切を知っていないとダメである。
   実際に、ほんの数百メートルだが間違って行って引き返したことがあったが、運転手は自分が間違ったのだから、料金は要らないと固守されたことがある。
   道が分からないのでタクシーに乗ったのに、「お客さん、先日、岡山から来たとこなんですけど、どの道行きましょうか?」と言われた日本とえらい違いだったのを強烈に覚えている。

   住所表示システムを、面で表示するか線で表示するか、国民性の違いが垣間見えて興味深い。
   
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