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熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

究極の電気自動車エリーカ時速370キロ・・・慶大清水浩教授イノベーションを語る

2008年09月19日 | イノベーションと経営
   慶応大学の清水浩教授は、イノベーション ジャパン 2008で、「電気自動車で時速400kmに迫る! 産学連携Eliicaプロジェクトの挑戦」と言う演題で特別講演を行い、素晴らしい究極のエコカーの破壊的イノベーションについて熱っぽく語った。
   電気自動車を作り続けて30年、8台目の8輪車エリーカを音もなく走らせて、轟音をたてて疾駆するスポーツカーの最先端を行くポルシェ911ターボを、凌駕する素晴らしい加速力を見せ付けて聴衆を圧倒した。
   排気ガスを出さない、エンジン騒音も無縁、必要なエネルギーはガソリン車の4分の1と言う究極のエコカーであり、
   自宅のコンセントに繋いで、一回5時間のフル充電で300km走ると言うから東京と名古屋の距離である。夜間に充電すれば僅か300円しかかからないから、1km1円と言う驚くべき燃費である。
   しかし、まだ、車の形をしている、これではおかしい、もっともっといい形は、必ずあると言うのだから恐れ入る。

   清水教授は、このエリーカは試作品で、まだまだ、実用化製品化には解決しなければならない問題が残っていると言う。 
   この日の講演では触れなかったが、このエリーカ1台に2億円かかっている。
   いくら出しても良いから譲ってくれと引き合いが来ているが、近く、200台程度ハイスペックの電気自動車を、1台3000万円程度で市場に出すと言う話がある。
   高いのは、大型リチュームイオン電池で1台分2000万円すると言うことだが、大量生産ベースに乗れば安くなるであろうし、時間の問題であろう。
   

   清水教授のプロジェクトの凄いところは、ガソリン車のエンジンを外してモーターに切り替えると言う発想ではなく、当初から、ガソリン車の改造と言う考えを捨てて電気自動車と言うコンセプトで制作しているので、車一つ一つにモーターを取り付け、電池とインバーターは台車方式の床に組み込んでいるので、トランスミッションやプロペラシャフトと言った無駄な動力伝道装置などもないから車内に広い空間が出来る。
   清水教授は、ハイブリッドカーは、在来方式の内燃機関エンジンの電動アシストの自動車であり、クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」の言っている持続的イノベーションの延長・進化に過ぎないと言う。
  

   電気自動車のリチューム電池を満たす動力源については、エコシステム発電に限れば、太陽電池に止めを刺すと考えており、それも、地球上の1・5%に太陽電池を設置するだけで、世界中の人間がアメリカ人と同じくらい贅沢に電気を消費することが出来ると言う、正に前途洋々のエネルギー源で、しかも、天然資源の浪費の一切埒外である。
   また、このエリーカを支えている技術は、「リチューム電池」「ネオジウム鉄磁石」「トランジスタ」の3本柱で、総て日本発ないし日本で開発された技術で日本の誇る最先端技術の活用だと言う。
   清水教授方式の電気自動車は、動力エネルギーの転換も含めて、正に、従来の自動車とはまったく違った自動車であり、自動車及び輸送の概念を根底から革命的に変革する破壊的イノベーションだと言うのである。

   現在、炭素排出量の20%は自動車によるものであり、太陽電池によって発電された電気エネルギーによって動く電気自動車に切り替えられれば、深刻な地球温暖化問題の相当部分は解決に向かう。
   私が興味を持つのは、
   清水教授のイノベーションに対する真摯な姿勢で、これまでの自動車の延長では決して人びとは満足しない。車の価値は、「加速性」「室内空間の広さ」「乗り心地」の3つに集約され、この3つが大きければ必ず売れると言う発想で、今までになかった自動車を作り上げると言う創造的破壊への飽くなき探究心である。

   現在、複数の自動車会社が、近く電気自動車を発売しようと計画しているが、エンジンをモーターに置き換えただけの電気自動車であろうが、これは、根本的に、清水教授のエリーカとは似ても似つかない電動式エンジン搭載の在来種の車であろう。
   ガラガラポンで初期化して、発想を根本から変えない限り、破壊的イノベーションは生れない、重要な基幹産業である自動車産業においても、如何に、現状の柵から脱皮することが難しいことかを、清水教授の電気自動車エリーカが教えてくれているような気がしている。
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