鞍馬寺の奥の院から、急坂を降ると西門に達し、鞍馬川の支流である小さな谷川の貴船川を渡り、街道を少し上ると、左手に、真っ赤な鳥居の列柱が見え、その参道の石段を上り詰めると貴船神社の本宮である。
元の本宮は、700メートル上流にある奥宮にあったのを、現在地に移したのだと言う。
祭神の高龗神は、水の供給を司る「水源の神」であり、貴船川の急流は貴船大神の御神威の象徴だと言うことであるが、奇麗な水が水音高く滔々と流れており、夏季には、この川の上に川床を張って、賑やかな宴会が催されるのである。
門をくぐると、真っ先に見えるのは、白と黒の2頭の馬の像で、この神社が“絵馬”発祥の地だと言うから面白い。
本宮には、結構外国人の観光客が来ていて、社殿に参拝すると言うよりも、おみくじの方に興味があって、この神社には、水占みくじと言うのがあって、おみくじを境内の水盤に晒すと字が浮き上がるのを面白がっていた。
さすがに、水は命の水源の神様の社である。
上ってきた参道の北側に、下る参道があって、奥宮に通じている。
さて、奥宮への途中に、中宮があるのだが、これは、縁結びの神様磐長姫命を祀ってあって、当然のこととして、若い女性の参拝者が多い。
それも、そうだが、この神社には、「相生の杉」と言って、根が同じの巨大な杉の木が二本並んでそそり立っていたり、また、奥宮に、
「連理の杉」と称する御神木があって、杉と楓の木が2本しっかりと絡み合って立っていて、夫婦や男女の仲がよいことの象徴だと言う。
さて、この神社のHPによると、
貴船神社が「恋を祈る神社」として知られるようになったのは、今から千年もの昔、宮廷の女流歌人として名高い和泉式部が、夫の心変わりに悩んだ末に貴船神社に参詣し、夫との復縁を祈願したところ、願いが叶えられたという話に始まる。と言う。
奥宮に行く途中に、高浜虚子が詠んだ
思い川 渡ればまたも 花の雨
にまつわる思い川があり、和泉式部もこの川で身を清めてから、本宮に参拝した。
奥宮は、境内はかなり広いのだが、奥に、舞台があって、その後ろに拝殿があり、ひっそりと静まり返っていて、殆ど、訪れる人はいない。
奇麗なうすいピンクの八重桜が何本か咲いていて美しく、五弁の椿の巨木がそそりたっていて、落ち椿が地面を荘厳しているなど、落ち着いた佇まいが良い。
さて、この貴船神社は、能「鉄輪」の舞台である。
前に、観世銕之丞師の「鉄輪」を観るつもりでチケットを持っていたのだが、急用で行けなくなったことがある。
銕仙会のHPを引用させていただくと、
”真夜中の貴船神社。藁人形に打ち付ける五寸釘の音が、鬱蒼とした木立に響き渡る…。呪詛や陰陽師といった、怪しげな世界の中で描かれる、妖艶なまでの嫉妬と恨み。”と言う凄まじい能である。
その後、シテ/辰巳 満次郎で、宝生流の舞台を観ている。
ストーリーは、
京の女が、真夜中、貴船神社に、自分を捨てて後妻を娶った夫に、報いを受けさせるべく、遠い道を幾晩も、貴船神社に詣でていた。社人に、神託を伝えよ夢のお告げがあり、丑の刻に来た女に、「三つの脚に火を灯した鉄輪を頭に載せるなどして、怒る心を持つなら、望みどおり鬼になる」と神託を告げる。女が神託通りにすると言うと、女の様子が一変して髪が逆立ち、雷鳴が轟き、女は恨みを思い知らせてやると言い捨て駆け去る。
下京辺りに住む元夫は、連夜の悪夢に悩み苦しんで、陰陽師安倍晴明を訪ねる。晴明は、先妻の呪いによって、命が今夜で尽きると見立てたので、男は助けを懇願し、これに応じた晴明は、彼の家に祈祷棚を設けて、夫婦の形代を載せ、呪いを肩代わりさせるため、祈祷を始める。逆さにして脚に火を灯した鉄輪を戴き、鬼と化した先妻が現れて、捨てられた恨みを述べ、後妻の形代の髪を打ち据え、男の形代に襲いかかるが、神力に退けられてしまったので、時機を待つと言って消える。
この能は、一説によると、『平家物語』の「剣之巻」及び『太平記』内の「宇治の橋姫」の物語が元になっているということだが、いずれにしても、この神社は、先の縁結びの神でもあり、和泉式部の話を考えてみても、男女の仲に深く関わった神だと言うことなのであろうか。
もう夏も近くなったのか、貴船川沿いの料亭などが川床の準備を始めだした。
バスが行ってしまったので、叡電乗り場まで2キロの山道を歩いたのだが、貴船川沿いに、シャガや八重桜、山吹などの花が咲いていた。
山々の新緑が美しかった。
元の本宮は、700メートル上流にある奥宮にあったのを、現在地に移したのだと言う。
祭神の高龗神は、水の供給を司る「水源の神」であり、貴船川の急流は貴船大神の御神威の象徴だと言うことであるが、奇麗な水が水音高く滔々と流れており、夏季には、この川の上に川床を張って、賑やかな宴会が催されるのである。
門をくぐると、真っ先に見えるのは、白と黒の2頭の馬の像で、この神社が“絵馬”発祥の地だと言うから面白い。
本宮には、結構外国人の観光客が来ていて、社殿に参拝すると言うよりも、おみくじの方に興味があって、この神社には、水占みくじと言うのがあって、おみくじを境内の水盤に晒すと字が浮き上がるのを面白がっていた。
さすがに、水は命の水源の神様の社である。
上ってきた参道の北側に、下る参道があって、奥宮に通じている。
さて、奥宮への途中に、中宮があるのだが、これは、縁結びの神様磐長姫命を祀ってあって、当然のこととして、若い女性の参拝者が多い。
それも、そうだが、この神社には、「相生の杉」と言って、根が同じの巨大な杉の木が二本並んでそそり立っていたり、また、奥宮に、
「連理の杉」と称する御神木があって、杉と楓の木が2本しっかりと絡み合って立っていて、夫婦や男女の仲がよいことの象徴だと言う。
さて、この神社のHPによると、
貴船神社が「恋を祈る神社」として知られるようになったのは、今から千年もの昔、宮廷の女流歌人として名高い和泉式部が、夫の心変わりに悩んだ末に貴船神社に参詣し、夫との復縁を祈願したところ、願いが叶えられたという話に始まる。と言う。
奥宮に行く途中に、高浜虚子が詠んだ
思い川 渡ればまたも 花の雨
にまつわる思い川があり、和泉式部もこの川で身を清めてから、本宮に参拝した。
奥宮は、境内はかなり広いのだが、奥に、舞台があって、その後ろに拝殿があり、ひっそりと静まり返っていて、殆ど、訪れる人はいない。
奇麗なうすいピンクの八重桜が何本か咲いていて美しく、五弁の椿の巨木がそそりたっていて、落ち椿が地面を荘厳しているなど、落ち着いた佇まいが良い。
さて、この貴船神社は、能「鉄輪」の舞台である。
前に、観世銕之丞師の「鉄輪」を観るつもりでチケットを持っていたのだが、急用で行けなくなったことがある。
銕仙会のHPを引用させていただくと、
”真夜中の貴船神社。藁人形に打ち付ける五寸釘の音が、鬱蒼とした木立に響き渡る…。呪詛や陰陽師といった、怪しげな世界の中で描かれる、妖艶なまでの嫉妬と恨み。”と言う凄まじい能である。
その後、シテ/辰巳 満次郎で、宝生流の舞台を観ている。
ストーリーは、
京の女が、真夜中、貴船神社に、自分を捨てて後妻を娶った夫に、報いを受けさせるべく、遠い道を幾晩も、貴船神社に詣でていた。社人に、神託を伝えよ夢のお告げがあり、丑の刻に来た女に、「三つの脚に火を灯した鉄輪を頭に載せるなどして、怒る心を持つなら、望みどおり鬼になる」と神託を告げる。女が神託通りにすると言うと、女の様子が一変して髪が逆立ち、雷鳴が轟き、女は恨みを思い知らせてやると言い捨て駆け去る。
下京辺りに住む元夫は、連夜の悪夢に悩み苦しんで、陰陽師安倍晴明を訪ねる。晴明は、先妻の呪いによって、命が今夜で尽きると見立てたので、男は助けを懇願し、これに応じた晴明は、彼の家に祈祷棚を設けて、夫婦の形代を載せ、呪いを肩代わりさせるため、祈祷を始める。逆さにして脚に火を灯した鉄輪を戴き、鬼と化した先妻が現れて、捨てられた恨みを述べ、後妻の形代の髪を打ち据え、男の形代に襲いかかるが、神力に退けられてしまったので、時機を待つと言って消える。
この能は、一説によると、『平家物語』の「剣之巻」及び『太平記』内の「宇治の橋姫」の物語が元になっているということだが、いずれにしても、この神社は、先の縁結びの神でもあり、和泉式部の話を考えてみても、男女の仲に深く関わった神だと言うことなのであろうか。
もう夏も近くなったのか、貴船川沿いの料亭などが川床の準備を始めだした。
バスが行ってしまったので、叡電乗り場まで2キロの山道を歩いたのだが、貴船川沿いに、シャガや八重桜、山吹などの花が咲いていた。
山々の新緑が美しかった。