熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ストリートビューの情報収集が危ない

2022年08月18日 | 書評(ブックレビュー)・読書
   ショシャナ・ズボフの「監視資本主義: 人類の未来を賭けた闘い」は、私にとっては、門外漢で非常に難しい本であり、片手間に、少しずつ拾い読みしている。
   GAFAなどの巨大IT企業によって構築されつつある「監視資本主義」の威力の凄まじさとその恐ろしさに驚愕しつつ、読みながら、民主主義の将来さえ危うくなるのではないかと言う気にさえなっている。

   さて、日頃何となく便利に使っているグーグルのストリートビューなのだが、これが、グーグルのクルマが、風景を撮影して録画しているだけかと思っていたら、実際には、データ収拾を目的としており、そのクルマは、個人のWi-Fiネットワークから、密かに個人データを収集しているというのである。

   グーグルは、収集したのは公に送信されているWi-Fiネットワーク名だけで、Wi-Fiルーターのアドレスは識別しているが、そのネットワークで送られる個人情報は識別していないと主張していたが、
   ドイツのセキュリティ専門家の分析で、ストリートビュー撮影車が暗号化されていない個人情報を各家庭から集めていたことを裏付けられた。
   グーグルは暗号化されていないWi-Fi通信から、個人情報「ペイロードデータ」を傍受し、保存したことを、渋々認め、謝罪のブログ投稿で「場合によっては、すべてのeメールとURL、およびパスワードが補足された」という。
   テクノロジーの専門家は、収集されたペイロードデータには、氏名、電話番号、クレジット情報、パスワード、メッセージ、eメール、チャットの記録が含まれ、さらに、オンラインの出会い系の記録やポルノ閲覧記録、医療情報、位置データ、写真、ビデオ、オーディファイルまでもが含まれていることを突き止めた。
   この専門家達は、こうしたデータを纏めて、身元を確認出来る個人の詳細なプロフィールを作ることが出来る、と結論づけた。と言うのである。
   グーグルは、個人データの収集は中止したと言うが、著者は、本当だろうか確かだと誰が言えるだろうか、本当だとしてもこれまで得た膨大な情報やデータは無傷のままだと糾弾している。
   
   グーグル・マップ、グーグル・アース、等々の創意に富む多様な形状は、重要な慣行の添え物に過ぎない。その慣行とは、大量の原材料を得るために抽出構造を永続的に拡大することであって、目的は、より魅力的な予測商品を作って、より多くの顧客を惹きつけることである。
   この抽出要求は原材料の供給規模を容赦なく拡大し、行動余剰の狩りに国境は存在せず、その強奪を免れる領域もない。
   人間の経験の没収、データヘの変換、およびデータの使用をめぐる決定権の主張等がこのプロセスに影のようにつきまとい、その結果、検索から始まったグーグルのサプライチェーンは次第に拡大し、クリックやクエリから遠く離れて、さらに野心的な新たな領域を網羅するようになって、オンライン環境のすべてを包含している。
   我々の生活が、インターネットでのコンピュータが介在するあらゆる構造と接触する度にバーチャルな糸が紡ぎ出され、行動余剰という新大陸が織り上げられ、監視資本主義の指揮の下、「抽出構造」という別の目的で用いられている。
   このプロセスはオンラインで始まったが、実世界にも広がっている。グーグルが検索会社なら、何故、スマートホームデバイスやウェアラブルや自動運転車に投資するのであろう、と言う。

   我々の個人情報が、一網打尽、グーグルに抑えられているとしたら恐ろしいことだが、
   ここからは、私の理解力が不足する領域なのだが、
   AIを駆使したプログラムやディープラーニングなどで、我が個人情報を操作するエンジンが駆動して、都合の良い情報ばかり送り付けられたり、あるいは、思想的に洗脳されたり、操られたり、人知を超えたところで誘導操作されるようなことが起こりえないか、危惧せざるを得ない。
   プログラム次第では、既に選挙などで操作されているように、民主主義など吹っ飛んでしまうかも知れないのである。

   ビッグデータ時代という言葉には、何となくポジティブな印象があるのだが、中国やロシアのように政府機関ではないが、得体の知れない強大なIT企業に徹底的に監視され続ける、監視資本主義へとまっしぐらだと聞くと、心配になってくる。

   
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