熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

PS:マーク・ジョーンズ「ファシズムはどのようにして起こるのか How Fascism Happens」

2024年09月01日 | 政治・経済・社会時事評論
   プロジェクトシンジケートの論文、ダブリン大学ユニバーシティ・カレッジの歴史学助教授マーク・ジョーンズの「ファシズムはどのようにして起こるのか How Fascism Happens」
   まず冒頭で、
   ヒトラー政権から逃れた最初のドイツ人難民の 1 人となったトーマス・マンに言及。1938 年まで、彼はほとんどの時間をスイスで過ごし、ヒトラーの権力が増大し、ヨーロッパでの戦争の可能性が高まったため、米国に移住し、ヒトラーがヨーロッパを征服していた最盛期でさえ、マンは、頑固に楽観的であり続け、最終的には「民主主義が勝利する」とアメリカ人に約束した。という逸話から民主主義を説いた。
   しかし、本当にそうなるのだろうか?と疑問を呈して
   今日では多くの人がそう確信していない。と警鐘を鳴らす。
   ニューヨーク大学のルース・ベン=ギアットが指摘するように、私たちは「強権者」の新たな時代に生きており、世界の多くの地域で民主主義が後退している。憎悪に駆り立てられた暴力は大西洋の両側でより一般的になり、かつては考えられなかったことが常態化している。今年11月、マンがかつて民主主義が勝利すると約束した国で、何千万人ものアメリカ人が、2020年の選挙で敗北したことに応えて米国議会議事堂へのファシスト的な襲撃を扇動した候補者に投票することになる。として、
   重大な歴史的局面に遭遇しているアメリカ社会、その至宝ともいうべき民主主義の危機、その崩壊を危惧しているのである。

   民主主義を守る必要性を考えると、歴史の知識はかつてないほど重要になっている。幸いなことに、今年の米国選挙を前に、歴史家のリチャード・J・エバンスとティモシー・W・ライバックはそれぞれ、過去を掘り下げて、ますます懸念が高まる現在を乗り切るためのガイドラインを提供する本を出版した。として、克明に説明して、当時のナチズムの歴史を追求し、いかにしてファシズムが台頭したのかを説いている。

   エヴァンスとライバックは、両者の相違にもかかわらず、ドイツの歴史を、自由民主主義が現在直面している問題を見るための強力なレンズと見ている。したがって、エヴァンスはワイマール共和国の崩壊を「民主主義の崩壊と独裁の勝利の典型」と見ており、ライバックは著書『テイクオーバー』を、ナチスが選挙で最高潮に達したわずか数日後の1932年8月初旬から書き始めている。運命的な決断の時である。

   専門的な話が主体なので詳細は省略するが、次の文章で本稿を閉じている、
   『ヒトラーの人民』を読むと、今日の民主主義を弱体化させることに加担したり、公然と利益を得ている人々との類似点に気づかずにはいられない。私たちは皆、エヴァンスの怒りを共有すべきだ。民主主義が敵に内部から弱体化させられるとどうなるかは、歴史がすでに示している。私たちは、巧妙なプロパガンダやテクノロジーで強化された嘘の猛攻撃に直面しているが、マンの正しさを証明する時間はまだある。

   時間はまだあると言うのだが、11月のアメリカ大統領選の結果次第では、アメリカの民主主義の命運が危機に立つ。
   マーク・ジョーンズの見解は、あまりにも明白なので、紹介だけにとどめる。
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