熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

BBCプロムス・イスラエル・フィル妨害される

2011年09月26日 | クラシック音楽・オペラ
   今日の日経朝刊の「文化往来」コラムで、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開かれたプロムスのイスラエル・フィルの9月1日のコンサートで、パレスチナ占領政策に反対する団体が演奏を妨害したと報道していた。
   「パレスチナ」と書いた布を掲げて叫び声を上げ、ベートーヴェンの「歓喜の歌」を替え歌で歌ったり、ギル・シャハムの奏するバイオリン協奏曲でシュプレヒコールを行うなど、4グループに分かれての30人ほどの計画的犯行だと言う。
   このコンサートは、BBCのTVで放映されることがあるのだが、1927年からラジオ中継は欠かされたことはないのだが、今回は中断されたらしい。
   しかし、指揮者のズービン・メータが、アンコールに、プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」から「ティボルトの死」を演奏して、対立が生む無残な死を暗示し、政治的な対立への音楽の回答を示したと言う。

   プロムスの舞台のロイヤル・アルバート・ホールは、立派な巨大な円形サーカス場のような多目的ホールで、真ん中の平土間の周りに、オペラハウスの様に円形状に客席が積み重なっていて、収容人数はかなり多い。
   私は、ここで、テニスの国際イベントや、日本からの若貴時代の大相撲を見たことがあるし、このプロムスなど、コンサートには良く出かけた。
   ウィーン・フィルやベルリン・フィルなどもここで何度か聴いた。
   決して音響効果が良いとかと言った理想的なホールには程遠いが、祝祭気分を味わえるなど雰囲気のある劇場である。

   私は、この記事を見て、性格は大分違うが、留学時代に経験したフィラデルフィアのアカデミー・オブ・ミュージックでの、ムラビンスキー指揮のレニングラード・フィル演奏会のことを思い出した。
   あの当時は、ソ連が、在住のユダヤ人の専門家や医師など高度な技術や識見を持った人々のイスラエルへの出国を認めずビザを発給しなかったので、在米のユダヤ人たちが激しく抗議活動を展開していた。
   演奏会当日、会場入り口で、ユダヤ人たちが抗議活動を行っていたが、会場の座席の真ん中から半分は、完全に空席で、誰も座っていないのを見て、その異様さにびっくりした。
   日本の様に、空席があれば、席を移動すると言った人が居ないので、右だったか左だったか忘れたが、半分の座席が空席のまま、最後まで演奏されて終わったのだが、アメリカでは、興行主の多くがユダヤ人なので、このようなことが出来るのであろう。
   あのカラヤンだって、ナチだったと言うことで、戦後長い間、アメリカから締め出されていた。

   長い間、ヒットラーが、ドイツ主義のワーグナーを愛好していたと言うこともあって、ユダヤ人指揮者などが、ワーグナーの作品を演奏しなかった時期があったようだが、私など、ロンドンのロイヤル・オペラで、ワーグナーの楽劇やオペラを、ベルナルド・ハイティンクの指揮で殆ど聞いたし、先日も、ユダヤ人とパレスチナ人混成のユース・オーケストラの演奏をTVで見た。
   しかし、今回は、パレスチナのアッバース議長による国連加盟申請の演説が世界の耳目を集めると言う時期とも重なったので、テンションの高まりとプロパガンダの所為もあったのであろう。
   とにかく、文化芸術の場で、露骨な妨害行為を行うと言う蛮行は、むしろ、逆効果となると思うのだが、結構、あっちこっちで起こっているらしい。
   戦争に明け暮れていたギリシャ人でさえ、一時的に戦いを止めて、オリンピックを開いてスポーツ競技を楽しんだのであるから、少なくとも、芸術やスポーツだけでも、聖域として残しておいて欲しいと思っている。
   
(追記)この口絵写真は、インターネットから借用したのだが、プロムスの演奏前の1情景である。平土間は立見席で、ファンに、全演奏会ないし半分の演奏会の切符が安く提供される。
周りのサークル席も、普通のコンサート・チケットよりは、かなり安い。
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