熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

大晦日:バーンスティンの第9を聴いて終る

2021年12月31日 | 生活随想・趣味
   何時もなら、家族で、リビングでNHKの紅白を見ながら過ごすのだが、もう、我々老年の世界ではないので、書斎に移って、読み残している本を整理しながら、行く年を反芻していた。
   ところが、そんな大邸宅でもないので、紅白の歌声が微かに聞こえてくる。あ! 懐かしいあの歌は、「いい日旅立ち」。
   無性に懐かしくなって、テレビの前に出てみると、水森かおりが、この歌を歌っていて、バックに日本の風景が流れていて、最後は、清水の舞台でのライブとなった。私には、好きな歌が三つあって、この「いい日旅立ち」と「琵琶湖周航の歌」と「神田川」。それに、京都は、我が青春の学び舎、懐かしさがこみ上げてきて、最後までテレビの前にいて、書斎に戻った。

   ウィーンの大晦日を真似て、シュトラウスの喜歌劇「こうもり」を見て過ごそうと思ったのだが、残念ながら、DVDの山の中で探せず、諦めて、収録してあった4Kのバーンスティンのベートーヴェンの第9を聴いた。
   1979年のウィーン国立歌劇場でのウィーン・フィルの演奏で、独唱:ギネス・ジョーンズ(ソプラノ)、ハンナ・シュヴァルツ(アルト)、ルネ・コロ(テノール)、クルト・モル(バス) 合唱:ウィーン国立歌劇場合唱団である。
   1980年代には、出張や在住でヨーロッパに居てクラシック音楽には通い詰めたので、お馴染みの楽団やアーティスト達なので、それぞれの懐かしい舞台を思い出しながら聴いていた。
   バーンスティンを、最初に聴いたのは大阪万博の時、フェスティバルホールで、そして、ニューヨーク・フィルとコンセルトヘボウ、最後は、最晩年で、ロンドン響で自作「キャンディード」のコンサート・オペラであった。ハンナ・シュヴァルツだけは聴く機会がなかったが、ロイヤル・オペラには随分通っていたので、モルなど他の歌手は聴く機会が多く、ジョーンズとコロは、特に、ワーグナーの楽劇で素晴しい舞台を見せて貰った。もう、40年以上も前の演奏なので、私のような老人ファンでないと聴く機会がなかったはず。
   先ほどの「いい日旅立ち」と同じで、丁度、クラシックファンとしてよちよち歩きを始めた頃の往年の憧れのアーティスたちが、眼前に蘇ってきているのであるから、無性に懐かしい。
   第9も、あっちこっちで随分聴く機会があったが、このバースティンのこの舞台はアーティストが超弩級の凄い演奏で感動的であった。
   私は、唯一のオペラ「フィデリオ」と共に、ベートーヴェンが、思想を垣間見せている凄い作品なので、心して聴いている。
   

   今年は、コロナコロナで、何も出来ずに、いつの間にか終ってしまった。

   遠くに、鎖大師の除夜の鐘が、微かに聞こえている。
   
コメント
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