又兵衛桜

３年前のことですが、仕事で大変お世話になったＯさんが体調を崩し自宅で療養されているという事を聞き、５月の終わり頃だったと思いますが大宇陀町本郷のご自宅へお見舞いにお伺いしました。　
有名な又兵衛桜対岸の高台にＯさんのご自宅があり、旧国鉄時代の思い出が一杯詰まった洋間にお通しいただきました。今は葉桜になった又兵衛桜を眺めながら、少しやせ細ったＯさんはご自身のご病気の話には全く触れられず、旧国鉄マンとしてこれまでの楽しかった話や、民営化されたときのご苦労など色々なお話をお聞かせいただきました。　
ＪＲ西日本を退職後は地域のために活動され、その中でも又兵衛桜の保存には大変力を入れられていたようで、「今は葉桜ですが、来年の桜のシーズンには是非おいでなさい、ここから見る満開の又兵衛桜は素晴らしいですよ」と何度もおっしゃっていただきました。　楽しいお話はつきませんが、おいとまする段になってガラス扉のついた書棚の中にアガリスクが数箱おかれてあったのが大変気になりながら帰りました。
その年の暑い夏がすぎ秋の気配が近づいたころＯさんの訃報が届きました。　翌年の春、Ｏさんに勧められたとおり又兵衛桜を訪れてみました、初めて見る又兵衛桜は圧倒的な存在感でそこにあり、いつまでもその場から離れることが出来ずにいた事を思い出します。
又兵衛桜は戦国時代の武将 後藤又兵衛ゆかりの屋敷跡にあり勇壮な姿を今も見せています。樹高は１３ｍあまり幹回り３ｍ・樹齢は３００年と言われています。写真は一昨年初めて訪れたときの写真です。（sony DSC‐S85）