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ユニクロが、オーダーを始めるのはなぜ?

2016-03-02 18:28:54 | ビジネス

ユニクロのサイトを見ていたら、「オーダージャケット」と「オーダーシャツ」の表示があった。
ユニクロ:あなたのジャストフィットが見つかる(リンクはストレッチウールジャケット)

よくよく見ると、オーダーというよりも「お直し」というニュアンスのようだが、ユニクロがオンライン限定とはいえ、このようなサービスを始めるというのは、「お直しサービス」の需要が高いからだろう。
特に、メンズのジャケットやシャツは、着ているその人にサイズがあっていないと、なんとも不格好に見えてしまう。
バブル以降、海外ブランドのアパレルが日本でも販売されるようになると、日本人サイズと合わず、変に袖の長いジャケットなどの上着を着ている人を見かけることも多くなった。
テレビに登場するタレントさんたちも、サイズが合っていないジャケットや上着を着られているのを見かけることが、多かった。

現在、ユニクロが積極的に海外展開をしているのは、ご存じのとおりだ。
海外展開を積極的にするためには、服のサイズが問題になる。
最近の日本の若者も体つきが、随分良くなり背が高いだけではなく、手足の長い若い人たちも多くなってきているとはいえ、まだまだ「日本人体形」と言われる方のほうが多いだろう。
そう考えると、ユニクロの「お直し有料サービス」は、日本人向けのパターン(型紙)から海外でも使えるようなパターン中心となっている、ということかもしれない。

もう一つ考えられるのは、ここ2,3年ユニクロが積極的に行っている海外デザイナーとのコラボの関係ではないか?という点だ。
レディースのイネスだけではなく、昨年秋からはサンローランのスタジオなどで経験を積んだ、デザイナー・ルメールとのコラボがあった。
ただ、ルメールとのコラボそのものが成功しているのか?というと、疑問な点がある。

今年は例年以上の暖冬だったとはいえ、レディースなどは早々の値下げを行っていた。
にも拘わらず、売れ行きが芳しくなかったのか?当初「大型店舗限定」であった商品が、一般店舗でも扱われるようになり、その後も値下げが続いたからだ。
昨シーズンのトレンドと言われた「ガウンコート」などは、もともとコートとしては決して高い価格ではなかったと思うのだが、最終値では当初よりも60%近くの値引きとなって、完売したのでは?という、状況だったような印象がある。
デザインが良くても、「ユニクロ価格」と言われるような廉価さが、多くの生活者にとっては魅力なのでは?ということを感じさせた値下げだった。

とはいえ、ユニクロ側は、商品そのものの価格を上げたいように感じている。
となると、新しい「価値」を付ける必要がある。
それが「有料お直しサービス=オーダー」なのでは?という、気がしている。
サイズを日本向け・海外向けと分けると、コストがかかってしまう。
しかし「ジャストフィット・オーダーサービス」を加えることで、これまでサイズが合わなかったシニア(というよりも高齢者)にも、購買層を広げることができる。
ユニクロ側にとっても、購買者にとっても魅力のあるサービスの提供、ということになるということなのかもしれない。