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「南青山」のブランドイメージと子育て支援センター

2018-12-16 20:48:40 | アラカルト

昨日から「南青山」という地域の名前が、ニュースなどでにぎわしている。
Huffpost:青山の子育て支援センター建設に住民反発 「ブランドイメージを守って」

港区の南青山に子育て支援センターを建設するにあたって、地域住民への説明会が開かれ、参加された方からは反発の声があった、ということのようだ。
その中で出てきた言葉が、「(南青山という)ブランドイメージに子育て支援センターは似合わない」ということのようだ。
会社員時代、月のうち2~3回は東京に出張することがあり、時折青山にも行くことがあった。
確かに、青山という地域は「おしゃれ」な街、という印象がある。
その理由の多くは、国内外のファッションブランドのショップがあったり、根津美術館のような芸術を感じられるような場所、高級飲食店などもあるからだろう。
銀座とは違う、おしゃれなファッションの街、ということかもしれない。

そしてその地域で暮らしている人たちの中には、そのような「おしゃれでファッショナブルな街」で住居(マンションを含む)を構えたい、という方がいてもおかしくはないだろう。
ここで気になったのは、「南青山」という地域に住んでいる人が創り上げてきた「南青山」という地域のイメージに憧れて(?)住居を構えている人と、そのような地域のイメージとは関係なく住んでいる人とでは「南青山」という地域のイメージは違うのでは?ということだ。

過去、白金のような「セレブな街(?)」といわれるようなところにも行ったことがあるが、「セレブ感」があるのは大通りに面したところで、一歩中に入ると戦後~高度成長期に建てられた建物が所狭しと建っている、という光景を見たことがある。
青山近辺は、1964年の東京オリンピック開催で整備され、1970年代当時の若手デザイナーたちが、銀座などでアトリエを構えることができず、青山近辺にアトリエ兼店舗を持つようになった、という話を随分聞かされた。
もちろん、今は無くなってしまったがかつて表参道にあった「同潤会 青山アパート」には、建設当時は軍人や役人、大学教授のような「名士」と呼ばれるような人たちが住んでいた、というのは有名な話だ。

もしかしたら、今回反対をしている人たちは、このような「同潤会青山アパート」や表参道を中心としたファッションブランドのショップが並び立つ「おしゃれな青山」に価値を感じて、住んでいる方々なのでは?という気がするのだ。
このような人たちが「青山」という地域のイメージを創ってきたのではなく、その創られたイメージに憧れて住居を構えたのでは?
だからこそ、「青山というブランドイメージが下がる」と、声高に言ってしまうのでは?

あくまでも個人的な意見だが、様々な理由で親と離れ離れにならざる得なかった子供たちだからこそ、「一流のモノ・コト」に触れるチャンスが必要なのでは?という気がしている。
何故なら、そのような環境の子どもたちの多くが、「一流のモノ・コト」に触れる機会がほとんどないからだ。
特に感性が豊かで、スポンジのように様々な経験や体験を吸収していけるのは、本当に短い。
親の経済力が、子どもの進学果ては就職などに影響を及ぼす、といわれている時代だからこそ、様々な理由で親と離れ離れにならざる得なかった子供たちには、行政がかかわって文化的なモノなどに自然に触れさせる機会を与えてほしい、と思うのだ。
それが逆に「南青山」という地域の多様性となり、より豊かな文化を創造し「南青山」という「地域ブランドイメージ」を育てていくことになるのでは?



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