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MDの終焉は必然だった?

2021-12-04 22:27:53 | マーケティング

朝日新聞のWebサイトに「一つの時代が終わった感が無いな~」という記事があった。
朝日新聞:さよならMD、店頭からも辞書からも消える 平成に刻まれた記憶は消えず

MD(=ミニディスク)そのものを知らない、という世代も増えてきているのでは?という気がしている。
「知らない」というだけであれば、時代の移り変わりと共に消えた商品、ということになると思うのだが、「MDは知ってはいるが、MD版のアルバムを買ったことが無い」とか「MDプレイヤーそのものを持っていなかった」という方も多いのでは?という気がしている。

MDの前に登場した音楽を聴くツールは、CDだった。
ご存じの通り、CDで音楽を聴く為に必要なモノはCDプレイヤーだ。
MDが登場した当初は、移動しながら音楽を聴く為にはCDは音飛びが激しくて、聴けたものではない、ということが再三言われていた(と、記憶している)。
その音飛びが無いのが、MDだったのだ。
確かに、CDプレーヤーを持ち歩いて音楽を聴くには、音飛びが激しく、聴けたものではなかったが、多くの人は「CDからカセットテープへと録音し、カセットテープで聴いていた」のでは?という印象を持っている。
MDが無くても、生活者はそれまでの道具(=カセットテープとカセットデッキ)を使い、そこそこ音楽を外で聴く方法を見つけていたのだ。

MDそのものは優れた「磁気記憶ツール」であったとは思うのだが、データを読み取るためのプレイヤーはCDプレイヤーなどに比べると高価だった(という印象がある)。
それだけではなく、レコードでリリースされた楽曲などをCD化してリリースされるなどしたが、MDでリリースされるアルバムなどが少なかったような気がしている。
お気に入り(今でいう推し)のミュージシャンの楽曲が、MDでしか聴けないというのであれば、無理をしてもMDプレイヤーを購入する、ということはあったかもしれないが、CDで発表される事の方が多かったような印象もある。

既にCDは普及し、その後CDそのものはデータ保存という点でも、一般的に使われるようになり、CDの発展形として映像がDVD化、Blu-ray化されていくようになるのと同時に、DVDプレイヤー、Blu-rayプレイヤーが登場し、価格も手ごろになっていけば、当然のことながらプレーヤーそのものを扱っている家電量販店が少なく、MDだけでリリースされる楽曲も少なければ、普及そのものが難しかったように思う。

このような状況を見て、「VHS vs β」というビデオの再生方式の市場淘汰を思い出したのだ。
β方式とVHS方式では、β方式の方が画像が美しく、コンパクトだった。
「ビデオを見る」という点を考えれば、圧倒的にβ方式の方が、有利なはずだったが、結果はご存じの方も多い通りだ。
なぜβ方式よりも画像もそこそこ、テープも大きいのにVHS方式が普及したのか?と言えば、「レンタルビデオ店」で並ぶビデオ作品が、圧倒的にVHS方式を採用していたからだ。
その結果、アッサリとβ方式は市場から淘汰される事になってしまったのだ(プロの現場では、長い間β方式が使われていたようだ)。

このように市場で生き残るためには、「良い製品だから残る」という訳ではない。
ビデオテープの方式の様に、「レンタルビデオ店」の店頭にβ方式の作品が並ばなければ、生活者は借りる事ができないし、ビデオデッキも売れなくなる。
同様に、MDで発売される音楽作品が増えない限り、MDプレイヤーを購入したいという人は増えないし、その逆でもある。
元々、短命な商品だったのでは?

しかし今となっては、そんな問題よりもダウンロードやストリーミングで音楽を聴く事が、当たり前になったことでMDそのものの存在が忘れ去れてしまったような気がしている。
CDは残り、カセットテープやレコードが復活しても、MDは復活することはあるのだろうか?

 



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