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懲罰的社会がいくつ先は?

2023-09-16 21:22:14 | 徒然

先日来から問題になっている「ビッグモーター」の問題。
この問題に関しては、損保会社7社に対しても金融庁の調査が入るようだ。
朝日新聞:減点されたら賞与減「切るしかない」 ビッグモーターの環境整備点検 

この「環境整備点検」の中に、街路樹の伐採が含まれていたのだろう。
ビッグモーター店舗近辺の街路樹がことごとく伐採されている。

確かに街路樹があれば、店舗に展示している中古車が見えにくい、ということはあるだろう。
それは、店舗レイアウトを検討すれば、カバーできる問題なのでは?という気がするのだが、どうやらそのような発想がビッグモーター側にはなかったようだ。
何より、街路樹が植栽されている土地はビッグモーターとは関係のない土地だ。
自分たちとは関係のない土地の植栽を勝手に伐採や刈り取るような行為は、法的に禁じられているという感覚が無かったのだろう。

にもかかわらず、そのような行為をしてしまった理由を考えると、「減点されると賞与が減らされる」という理由があったからなのでは?と、想像するコトができる。
いわゆる「懲罰により人を組織に縛り付ける」という、考え方だ。
そしてこの「懲罰的組織」というのは、実は日本企業の悪しき文化だともいえる。

ビッグモーターのような企業と一緒にするのは、おかしな話だと思われるかもしれない。
例えば、「仕事で失敗をすると出世コースから外れる」という人事文化を持っている企業は、案外多い。
「仕事で失敗」と言っても、その内容は様々なのでその理由も問わずに考えるのは、変ではないか?という声もあると思う。
確かにその指摘は、間違っていないと思う。
失敗の内容によって、時には降格や左遷ということはあってもおかしくはない。
問題にしたいのは、企業の言いなりにならないと、懲罰を与えるというビッグモーターのような企業をはじめ、新たな分野に挑戦し、結果が出なかったという理由で、評価を下げるということを指している。

まず、ビッグモーターのような企業文化を持っていると、多くの場合「職務の目的を考えて、仕事をする社員」は育つことは無い。
「人の言いなりになるだけの社員」をつくってしまう、ということだ。
懲罰の内容も生活にかかわる「給与や賞与」を対象としているために、企業トップはもちろん自分の上司にも、「社会的におかしいのではないか?」という企業が犯している社会的問題に声を上げさせないようになってしまう。
いわゆる「ブラック企業」の典型の一つだ。

もう一つは、新たなことに挑戦し、失敗したことに対するネガティブな評価をする、ということで起きる企業の損失という問題がある。
新たなことに挑戦する、ということ自体それ相当の勇気が必要なことだと思うのだが、その「挑戦する勇気」ではなく「結果としての失敗」ばかりフォーカスし、評価をすることで企業内から新たなイノベーションが起きなくなってしまう。
その要因となっているのが、日本企業の「懲罰的人事評価」だ。
このような場合、どこに失敗があったのか?ということを精査し、新たな問題点を洗い出し、再び挑戦するコトでイノベーションを起こすことができる。
例えば、島津製作所のフェロー職をされているノーベル物理学賞を受賞した田中耕一さんの場合、失敗から生まれた研究であった。
企業にとって、「失敗」をどのように結び付け成功へと発展させるのか?その発想が無くては、イノベーションを起こすことはできない。

それより問題なのは、このような「懲罰文化」を持つ企業の特徴として、問題が起きた時トップの座にいる人達の多くが「他人ごとのような釈明をする」ということだ。
「企業のトップにいる」ということは、企業における全責任を負うという覚悟が必要なのだが、そのような意識が持てないまま自分の意にそわないと他者を責めるのも「懲罰文化」の特徴だと言えるかもしれないし、そのような社会はとても息苦しくある意味「独裁的社会」の始まりだと考える必要があるのではないだろうか?






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