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海外から見ると「着物」は、コスプレ衣装なのか?

2021-12-16 19:29:47 | アラカルト

3日程前のHuffpostに「海外から見ると、こんな風に見えるのか?」と、頭を抱えそうになる記事があった。
Huffpost:ミス・ユニバース日本代表の”伝統衣装”に批判続出「せめて左前はやめて欲しかった」

問題の衣装は、ミス・ユニバースの世界大会で日本代表となった渡辺珠理さんが着た、「ナショナル・コスチューム」だった。
この衣装のデザインをしたのは、開催国であるイスラエルのデザイナー。
日本人がデザインをしていない事を考えれば、「このようなデザインもやむなし」という気がしてはくるのだが、何故「伝統衣装」という部門での衣装を、代表者の母国のデザイナーにさせなかったのか?という、疑問は残る。

日本の「着物」については、3年ほど前に米国のキム・カーダシアンが自分の下着ブランドを立ち気た時「KIMONO」という名前を付け、日本から大ヒンシュクをかった。
確かに、美しく緻密に織り上げられたり、繊細な染色が施された「着物」と、キム・カーダシアンの「下着」とでは、全く違うモノであり、日本人として「文化を傷つけられた」という気持ちになったのは当然だろう。
彼女の目的は「炎上商法」であり、世間から例え批難を浴びても注目されることで「宣伝」となった。
それは「膨大な広告宣伝費」を出すことなく、成功したということになるだろう(その後、キム・カーダシアンの下着がどれほど売れたのかは、不明だが)。

キム・カーダシアンのような「炎上商法」目的ではないにせよ、どうやら海外から「着物」や着物を着ている芸舞妓さん達のことを、海外の人たちの中には「コスプレ」と思い込んでいるような気がする時がある。
今回のミス・ユニバースのデザイナーはもちろんだが、京都の祇園界隈で芸舞妓さん達の写真を撮る人達を見るたびに、「プロのコスプレイヤー」だと思っているのでは?という場面に、何度か遭遇した事があるからだ。

今回のミス・ユニバースの日本代表の衣装をデザインしたイスラエルのデザイナーは、「着物」という衣装文化ではなく、日本発のアニメに登場するヒロインをイメージしているのでは?という気がしたのだ。
それは「プリキュア」であったり「セーラームーン」であったり、ということになると思う。
デザイナー自身が「プリキュア」や「セーラームーン」を日本の女性のイメージの一つとして、とらえているのだとしたら、この不可思議な衣装も納得がいく(気がする)。
見方を変えると、それほどまでに日本のアニメは世界で親しまれ、日本のイメージを作っている、ということになるだろう。

しかし、「伝統衣装」という部門であれば、やはりアニメのイメージで作られても困ってしまう。
説明するまでもなく「アニメのイメージ」は、「伝統衣装」ではないからだ。
とても残念な事だが、何時の頃からか世界的な「ミスコン」で着られる衣装が、突飛なモノになってきた気がしている。
特に日本の「着物」などについては、「主催者側はコスプレ衣装だと思っているのか?」と、感じる事が度々ある。
そしてそのような写真を見るたびに、日本は自国の伝統文化の発信力が弱いのだろうか?と、考えてしまうのだ。
政府肝いりの「クールジャパン」は、少なくとも「伝統衣装=着物」については、成功していないように思うのだ。