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「古典」を読むメリット

2019-01-16 13:40:47 | ビジネス

日経新聞のコラム・COMEMOに「古典を読まない学生(若者)を憂う」というタイトルがあった。
COMEMO:古典を読まない学生(若者)を憂う

「古典」とは、長い間読み継がれてきたいわゆる「名著」だ。
「名著」を読むことで、教養が身につくなどといわれているが、本当に教養が身につくのか?と、問われれば「読み方次第」ということになると思う。
大学受験の為に、古文を一生懸命読み、古語の活用を覚えた方は多いのではないだろうか?
その時読んだ古文の教科書に載っていた作品を、今どれだけ覚えているだろう?
あるいは、英語の授業でイギリスの詩人・ワーズワースの作品を暗唱させられた記憶はあっても、その詩の題名を覚えている方は、どれほどいらっしゃるのだろう?
私だけなのかもしれないが、高校の授業や受験の為に国内外の古典を読んだ記憶はあっても、何をどう読み・何を学んだのか?ということを、覚えているという方は少ないのでは?と、思っている。

そう考えると、学生時代に古典を読むことが重要なのではなく、どう読んだのか?とかそこから何を感じたのか?といったことが重要なのでは?という気がする。
「読み継がれる理由が分かる」ということだけでも、十分かもしれない。

NHKのEテレに「100分で名著」という番組がある。
拙ブログでも時折紹介したことがあると思う。
今月は「風と共に去りぬ」が取り上げられている。
そのテキストを読んだのだが、テキストを読んで気づいたことがある。
それはトランプ大統領の熱狂的支持者となっている、「忘れられた人々」のことだ。
「忘れられた人々」の中心となっているのは、米国の中西部の「旧穀倉地帯」と呼ばれた地域の人たちが中心だ。
そして「風と共に去りぬ」を読んでいくと、実はこの地域の人たちの多くは「風と共に去りぬ」が描かれた19世紀~作者マーガレット・ミッチェルが生きていた20世紀半ばまで「貧乏白人(あるいは「ホワイト・トラッシュ」)」と呼ばれていた人たちが、多く存在していた、ということに気づくのだ。

これまでメディアなどを含め、トランプ氏の熱狂的支持者は「1990年代以降の急激な時代の変化、ITなどによる技術的変化などについていけなかった人達」と捉えられてきた部分が強いが、もしかしたら潜在的な貧困地域ではないのか?ということに気づいたのだ。
とすれば、問題の本質は今論じられているような「新しい技術の習得や職業訓練」だけでは対応できない問題が根深くある、ということになる。

「古典を読む」ということは、おそらくこのような「今起きていることの本質を気づかせてくれる」、ということなのではないだろうか?
そのためには、大学受験や学校の授業で「古典を読む」ような方法ではなく、本の読み方そのものの技術のようなモノを身に着けるほうが先決のような気がする。