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トランプさんの経済政策は、アメリカンファーストなのか?

2018-03-09 20:57:41 | ビジネス

米国のトランプ大統領が、鋼鉄とアルミニウムの輸入関税の引き上げを発表し、今日署名をした。
一見、アメリカの鉄鋼とアルミ産業の保護のように思えるが、本当にそうなのだろうか?

既に様々なところで指摘をされているように、決して「アメリカンファースト」の政策のようには思えない。
これがもし、トランプさんの熱狂的支持者である「ラストベルト」と呼ばれる、白人の労働者の為の政策だとしたら、どこか違うのでは?という気がするのだ。
今のアメリカの鉄鋼業そのものが停滞している、ということはあるだろう。
しかしその原因となっているのは、単に輸入によるものなのだろうか?
関税を引き上げたところで、米国の鉄鋼業が復活するのだろうか?
おそらく、そのようなことはないだろう。
何故なら、「ラストベルト」と呼ばれる人たちの雇用環境の整備や生活向上のためであれば、当然米国内で生産される鉄鋼、アルミはそれなりの価格となるはずだ。
その価格で、自動車をはじめとする工業製品をつくるとなると、それらの工業製品は今よりも随分高額なものになってしまう、と考えられるからだ。
例え、輸入の関税が引き上げられ、米国内で生産される鉄鋼、アルミなどと同じくらいの価格になったとしても、同じことになる。
輸入関税を引き上げても、「ラストベルト」の人たちの雇用と生活向上の為であっても、米国内で生産される鉄鋼、アルミを使った工業製品は、今よりも相当高額なものになってしまう、と予想される。

そのような状況になったとき、本来目指すはずの米国経済そのものは一体どうなっているのだろうか?
工業製品の高騰、インフラ整備で使う為の鉄鋼製品の高騰により、米国の財政そのものも厳しくなってしまうのでは?
トランプさんは、一つの国際間での経済政策の駆け引きとして「輸入関税の引き上げ」を、使っているように思える。
トランプさんにとって、駆け引きに勝つ!ということに興味があるのかもしれないが、この政策で一体誰が幸せになるのだろうか?

今回の輸入関税の大幅な引き上げは、大統領選の頃からの公約のようだが、もう少し現実的な経済政策を考える必要があるのではないだろうか?
経済は、駆け引きの勝ち負けが重要なのではない。
いかに、社会を豊かにし、その豊かさを多くの人々に分配するのか?ということが、重要なのではないだろうか?
トランプさんの政策は、目先の支持者ファースト経済政策のように思えてならない。