毎日新聞のWEBサイトに、「産後、仕事を辞めない女性が増えている」という、記事が掲載されていた。
毎日新聞:20代追跡調査 出産後は仕事をやめる 10年前の4分の1
この数字だけを見ると、「結婚後、仕事をするのは当たり前。出産後も継続的に仕事をする女性が増えている」ということになる。
本当に、彼女たちは「仕事を出産後も継続的に仕事をしたいのか?」という、視点で考えるとどうなのだろう?と、考えてしまったのだ。
というのも、私の周囲では「仕事を辞めない理由」の一つに、「子育てにお金がかかる心配」をしている女性が、少なからずいるからだ。
私とほぼ同じ世代は、「寿退社」が一番祝祝福される退職理由だった。
その後、「出産退職」に代わっていったのだが、その当時は「子育てにかかるお金の心配」というのは、今ほどではなかったような気がする。
「都市部」という条件付きだが、「お受験」という言葉が、一般化し始めたころから「子どもへの教育費」が跳ね上がったような、気がするのだ。
そのために、仕事を継続的にしていく必要がある、と考えている女性も少なくないのでは?という、ことなのだ。
もちろん、「仕事にやりがいを感じ、キャリアを継続させたい」という女性も、数多くいると思う。
だからと言って、日本の企業は「キャリアを継続」していると思っているのだろうか?
今話題のTBS系で放送されている「逃げるは恥だが役に立つ」の先週の放送で、以下のような場面があった(WEBで視聴できるので、テレビが無くても番組を見ることができたのだが)。
主人公・みくりの叔母土屋百合に、セクハラ+パワハラ疑惑の告発があり、担当部から呼び出しをされ疑惑が晴れた時、百合の同期の担当者が
「産休や育休で、キャリアから外れた私たちからすれば、希望の星なの。だからこんなこと(=セクハラ+パワハラ疑惑)で、ダメになってほしくないのよ」
という趣旨のことを、百合に言ったのだ。
百合の立場は、外資系化粧品会社の広報部副部長で、出産は当然。結婚もしていない(設定は「高齢処女」)。
いわゆる「キャリアウーマン」の典型(というか「ステレオタイプ化されたキャリアウーマン像」)だ。
コミックを原作としているにしても、リアリティーのある台詞だった。
様々なメディアには、「子育て経験のある女性役員」を紹介する記事が目に付く。
しかし、彼女たちが「普通ではない」からこそ、様々なメディアに登場しているのだ。
確かに20代女性は、出産後も継続的に仕事をしたい・・・と考えているだろう。
その彼女たちを本当に「仕事をし続けたい」と考え・実行できるような社会なのか?
「仕事をすることが当たり前」という、社会的雰囲気を作り出しているだけなのではないか?
今日の日経新聞に掲載されていた「東大首席の乙女心」を読むと、そんな気がしてくるのだ。
日経新聞:東大首席の乙女心 ヒラリー敗北に結婚観も大揺れ
そのような視点で、データを見る必要があるような気がする。