日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

雑誌の記事を見て、考え込む

2013-02-28 12:19:28 | マーケティング
半月ほど前、Yahooのトピックスに東洋経済の記事がピックアップされていた。
その記事とは、「不二家の復活」に関する内容だった。
不二家、“どん底”からの復活
この記事を読んで、実は考え込んでしまったのだ。

覚えていらっしゃる方も多いと思うのだが、不二家は製造過程での品質管理を怠り、大きな事件を起こしてしまった。
消費期限切れの牛乳などを使い、お菓子を製造販売していたコトをきっかけに、次々と不祥事が発覚。
結果数ヶ月に及ぶ営業停止となった。
その間に、フランチャイズの販売店などは次々と閉店に追い込まれた。
我が家近くの不二家のフランチャイズだったお店も、閉店しいまではコンビニとなっている。

その後、営業再開となったわけだが営業停止の期間の長さや、フランチャイズの相次ぐ閉店などがあり、企業の経営が難しくなった。
その支援を申し出たのが山崎製パンだったわけだが、この記事の様に山崎製パンとの関係で商品の種類が増え、それが売り上げ増加に結び付き、結果として業績回復となった、と言う内容に、疑問を感じるのだ。

数字上で見ると、確かにそうだと思う。
だが、山崎製パンがそもそも不二家を支援する動機となったものは何だったのだろうか?と言う点を見逃しているような気がするのだ。
例えば、山崎製パンを通して「菓子パン」をコンビニに販売したからと言って、お客さんは簡単に買うだろうか?
そこには「不二家」というか、「ペコちゃん」がパッケージにあったから、買ったのではないだろうか?
言い換えれば、山崎製パンは「不二家」というブランド力と「ペコちゃん」というキャラクターの力に魅力を感じて支援を申し出、商品そのものの拡大を図ったのではないだろうか?

何故なら、「不二家の事件」が起きたとき、テレビのインタビュー取材などで「子どもの頃、ショートケーキと言えば不二家さんでした。不二家には子どもの頃の大切な思い出が、沢山ありますから、とても残念に思っています」という答えをされる方が、数多くいたからだ。
それは「不二家」という洋菓子店が、単なる洋菓子店では無く「子どもの頃の思い出」と結びついた特有の価値を持った企業で、その象徴がペコちゃんだった、と言うコトだと思うのだ。

そう考えると、数字上は確かに山崎製パンの支援が功を奏して、売り上げが伸びた、と言うコトになるのかも知れないが、その売り上げを作ったのは「不二家」というか「ペコちゃん」というブランド力があったからではないだろうか?