昔の「お茶」と今の「お茶」はまるっきり違う。
今はお茶といえばペットボトルのお茶のことになった。
昔のお茶は大変だった。
「お茶でも飲むか」ということになると、まず戸棚から茶筒を取り出さなければならない。
急須も取り出さなければならない。
飲む人が大勢の場合は急須ではなく、大型の土瓶を用意しなければならない。
土瓶
象印の魔法瓶も用意しなくてはならない。
そうしておいて茶筒のフタをスポンと開ける
そうすると中にもう一つのフタがあるので、これもスポンと開けなければならない。
茶筒のお茶の葉を目分量ではかりつつ急須に入れる。
そのうち急須を魔法瓶の出口のところにあてがい、押しボタンを押すと熱湯が出る。
しばらく待つ。
ちょっと揺する。
「ちょっとお茶でも」と思い立つと、これだけの手間ヒマがかかる。
今の人たちは自販機のお茶をゴクゴク飲んで、ボトルの口を閉めるだけだろう。
そして今の人たちは、昔のお茶の用語を理解できるだろうか。
急須、土瓶、茶筒、魔法瓶❓
エ❓、魔法❓、お茶を飲むのに魔法を使うの、ということになる。
ついでに茶碗にお茶をついだときに茶柱が立つと縁起がいい、などと言ったりすると…
エ❓、チャバシラ❓、ナニソレ❓
と大騒ぎになる。
魔法の瓶も茶柱も、今の人たちにとっては異文化となっている。