自由人の発信 おっさんの中国一人旅から国内旅。

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大雪二人旅?、でもどうすれば中国共産党を・・・。

2022-08-03 15:28:08 | おっさんの中国一人旅終了?に伴って、もっと日本を旅します。

6月紫香楽東北道の旅、コロナに感染することもなく、先日26日には4回目ワクチンも終えました。

連日何万、何千と感染しているのは事実ですが、自己責任の下それぞれの範囲で自分の生活を作っていく事になるのでは?

そこで大雪詣でも3シーズンぶりに再開、黒岳・旭岳の縦走銀座を思っていた所、たまに顔を出していた孫(高1)が、「オレも行こう」で二人山行きに。

で、夏休み、気象状況から、7月29(金),30(土)日、工程は旭岳温泉前泊、ロープウエイで旭岳前庭~裾会~中岳温泉~中岳分岐~裏旭~旭岳~ロープウエイ、7時間。お花畑はラストチャンスでしょう。

孫は初めての山行き、靴はバスケットシューズ的な・・・。「いや、初めてなので登山靴で!」不本意ながら買わされます(合わない時は泣く目にあうぞ!、いつもの靴を履き替えように持って行かせます)。

トレーニングを兼ねて24日(日)手稲山に霧雨の中足慣らし。    

 

7月29日寄り道しながら二時ごろ旭岳温泉野営場へ。ここは冬季日本で一番早いクロカンコースの中、シーズン突入にもかかわらずガラガラ、使用料は一人500円。炊事場もしっかり、便所も水洗(洋式もあり)、でも私達の登山スタイルは過去形?。駐車場所も近く、リヤカーも利用できます。

4テン用意してるのに孫はマイテント?(ナンジャー・・・)、このエリア私達だけ。 

彼の虫よけスプレー求めてロウプウエー乗り場の偵察、明日は6時始発。

近くの廉い方の温泉へ(850円)私達だけ、レトルトカレーとパンで夕食済ませ早々にお休み。食料は車へ。

 

7月30日(土)4:00起床、彼は3時半ごろに。朝食は私はドライお粥にパン、彼はパンにポタージュ。受付時にテントの撤収は登山から帰ってからでよいと(テント乾かせます)。

雨具、防寒、軽アイゼン、行動食、コンロ・ヤカン(彼コーヒー党 裏旭で、私カバノアナタケ茶)、湧駒荘の神泉わざわざ汲みに寄ります。

今日は山頂の雲もなく快晴、どんぴしゃりです。。

駐車場はまだ開いていなくて、隣のビジターセンター駐車場へ(こちら無料)、まだ30分ほど前なのにすでに満車状態!、続々と乗り場に!。往復3200円/一人、乗りきれず続けての臨時便で。

今日のルート 彼のスマホから(これが時代?)、写真もすべて。

 チングルマには・・・。

やはり、裾合いのチングルマも10日ほど遅かった!写真は2019年7月20日。

 

では工程をおって彼の写真を。

 夫婦池から旭岳

 裏旭野営場より旭岳

 旭岳より白雲岳方向

 彼に比べ私の貧相!

私は過ってのワンゲルスタイルで一歩一歩(100名山の山歩き)、ところが彼はカメラの被写体だ、アングルだと、私の前だ、後ろだと動き回ります。

挙句は頂上あと一息の所で走って!、靴は大丈夫か、バテないで付いてこれるか?、何だったのか何とも複雑な・・・。

おまけに下山中注意していたにもかかわらず足を取られ、尻餅!「じじ、大丈夫!」「心配しないで気をつけろ!」

無事二時過ぎに姿見山頂駅到着。彼の初登山、事故なく済ませました・・・(何とも違和感ある山旅)。

下山後にも温泉、帰りは湧駒荘でと、でも一人1500円、顔お見合わせ向かい昨日の温泉へ(お水神泉だけまた頂きました)、またまた温泉は貸し切り状態、なんだか大変得した感じに。。

 

大雪の花々(私とコンセプトが・・)。

       

 

帰宅後の夜、手首に違和感、少し痛みが・・。翌日は日曜、湿布して様子を。

翌、8月1日は私の誕生日、先日後期高齢者保険証が届いています。法律改正で個人負担1割は9月までの2か月と!。団塊の世代はいつもこんな感じで、おいしい所が逃げていきます。

早くおいしい所をと、湿布切れてるので湿布もらいに(薬局より・・)、近くの整形外科へ。

いつも湿布もらう時はレントゲンが必須!

診察室に入って行くと・・、「ひびが入っていますね!」

「え?・・・」「ギブスしときましょう」

「しないとだめですか?」

「した方が早く治りますから!」

 

フム・・、何とも・・・。生まれて初めての骨折?でした。

大雪山、50年通い詰めてる山、北海道の宝。でも相変わらず登山道の整備が後手です、そこが・・・。

 

 

ペロシ下院議長の台湾訪問に対する中国共産党の異常な反応は国内政治、経済不満のはけ口利用の結果

安全安心とは言えなくなった昨日今日の東アジア、解決策が今あるわけではないかと、まずは各自なりに考え、考える事を止めない。中国だけでなく日本の政治も不気味!

中国関係コメント掲載します。

 

ダイヤモンドオンライン 2022.6.10 4:20 姫田小夏:ジャーナリスト China Report 中国は今

「こんな要求は前代未聞」中国ビジネスに異変続出で、日本の中小企業が困惑

中国の対外貿易の窓口といわれる上海で断行されたロックダウンは、一部の日本の経営者の心理にも微妙な影を落とした。新型コロナウイルス感染拡大から約2年半が経過した今、中小・零細企業の対中ビジネスには微妙な変化が表れ、中国との距離が一段と広がっている。(ジャーナリスト 姫田小夏)

「海外からの輸入品は要注意」、比較的自由だった貿易も“終わり”の兆候

今年3月末から上海で強行されたロックダウンによって、世界の物流網が大混乱したことは報道のとおりだ。上海は2021年に4.3兆元(約85兆円)のGDPをたたき出した中国最大の経済都市だが、同市における物流のまひは多くの日本企業に打撃を与えた。

夫婦で貿易業(本社・東京都)を営む林田和夫さん(仮名)も、上海のロックダウンで通関を待たされた一人だ。中国向けに日本製の生活雑貨を輸出している林田さんは、「貨物は3月中旬に上海に到着しましたが、通関したのは6月1日。2カ月半も止められていました」と打ち明ける。

林田さんの対中貿易はこれまでトラブルもなく順調だった。ところが今回は、上海の税関から「製品に含まれる成分について、追加資料を提出せよ」と要求され、植物由来の成分についてはラテン語の学術名訳まで求められたという。

約20年にわたり対中貿易に携わってきた林田さんだが「こんな要求は前代未聞です。コロナ禍の2年半で、対中貿易がとてもやりにくくなりました」と嘆く。輸出製品は毎月同じだが、抜き取り検査(ランダムに一部を抜き取って検査)も頻度を増した。

一方、2020年に武漢のロックダウンが解除され、「中国はコロナの感染拡大を抑え込んだ」と宣言して以降、中国では「感染ルートは海外から輸入した貨物にある」という解釈が定着した。

その後も中国内で局所的に感染者が出るが、中国政府はその原因を「海外からもたらされたものだ」と主張し、今春の上海市におけるオミクロン株の拡大についても、同様の説明を行った。習近平指導部は「海外からの輸入品は要注意だ」と警告して国内の防疫体制を強化したが、“海外”を過剰に意識したアナウンスは「別の目的があるのではないか」と疑う声もある

コロナ禍直前まで、林田さんのビジネスは、中国での日本製品ブームを追い風に上昇気流に乗っていたが、この2年半で大きく狂ってしまった。林田さんは“時計の針の逆戻り現象”を敏感に感じ取り、「中国が対外貿易のハードルを高めているのは明らか。比較的自由になった対中貿易も、この2年半ですっかり後退してしまいました」と語る。

中国に呑み込まれる前に、国内事業に軸足をシフト

ササキ製作所(本社・埼玉県、佐々木久雄代表取締役)は、自動車・家電部品を中心としたプラスチック材料の金型を製作する中小企業だ。

50年近い歴史を持つが、10年ほど前から中国に加工拠点を設け、仕事をシフトさせてきた。日本で受注した金型を中国で製作し、最終加工を日本で行うというモデルを構築するために、佐々木社長自らが中国に何度も訪れ、現地企業に技術指導を行ってきた。

長江デルタ地帯を中心に同社が築いてきた中国の加工拠点は、約10年の歳月とともに成熟期を迎え、上海のロックダウンでも長年培った信頼関係が力を発揮した。中国からの貨物の遅れに気をもむこともあったが、「中国人パートナーが奔走してくれて、4月23日に上海港を出る船に金型を積んでくれた」(佐々木社長)と、胸をなでおろす場面もあった。

中国には自動運転やEVなど金型の仕事が山のようにある――と語る佐々木社長だが、そこにのめり込むつもりはない。「我々のような金型業界はいずれ苦境に陥る」と楽観を許さない理由を次のように説明する。

「中国の金型業界は資金力もあれば、設備もすごい。早晩ものづくりの主流は中国になり、我々はいずれ中国から金型の仕事をもらうようになるでしょう。放っておけば“お払い箱”になりかねない。そのためにも事業構造の転換を急がなくてはいけないのです」

今、同社が心血を注ぐのは、日本の国内工場での新規事業だ。コロナ禍の混乱とはいえ、そこでつかんだのは、長期安定性が見込める日本の鉄道インフラに関わる通信機器の製造だった。

「不謹慎かもしれないですが、弊社はコロナに助けられた面もあります。銀行から調達できなかった資金を国の支援制度で工面できたおかげで、今は日本国内の3工場がフル稼働しています」(同)

事業構造の転換を進める中、同社の中国事業もメインからサブに存在価値を変えつつある。

中国企業とオープンな会話は不可能“、まるごと中国生産”を見直す

2020年上半期、日本はコロナ感染拡大により、医療用品や衛生用品が品薄となった。

当時、「人命にかかわる医療・衛生用品の中国依存は見直すべきだ」という世論が強まった。

こうした中でも、東京に拠点を置く衛生用品メーカーのA社は、上海からマスクを調達し続けていた。今回の上海ロックダウンを経ても、長年のパートナーである上海企業のB社とは安定的な取引が続いているという。

目下、“サプライチェーンの脱中国”が取り沙汰されているが、A社は「高品質を実現できる中国の生産拠点を別の国にシフトさせる考えはない」という。

その一方、A社管理職の坂場健氏(仮名)は、上海のパートナーであるB社とのやりとりに微妙な変化が生じていることを感じ取っていた。

「今回の上海ロックダウンもそうでしたが、B社の歯切れの悪さを感じています。ロックダウン中も『大丈夫ですか』の一言さえ掛けられませんでした。答えにくいことが想像できるからです。今の中国の状況を思えば、当社としてもメールやチャットに余計な履歴を残さないよう用心しなければなりません。コロナの2年半はB社への忖度(そんたく)ばかりが増え、これまでのようなオープンな会話は、ほとんどできなくなってしまいました」(坂場氏)

長年の協力先でありながらも、日本のA社が上海パートナーB社に対し “虎の尾”を踏まないよう神経を使う様子がうかがえる。幸い、A社がB社から輸入する製品は、長年のリピート注文がベースだ。リピート注文であれば、新たな問題や交渉が生じる余地はほとんどない。

しかし、仮にA社がB社との間で新たな事業を一から立ち上げるとなると話は別だ。中国の地方政府の介入やB社の緊張が高まる中で、取引条件はさまざまな制約を受けることが目に見えているからだ。坂場氏は、今後の方向性をこう見据えている。

「新規事業については、原材料のみ中国から調達して、日本国内で製造する計画です。これができれば、為替リスクも減らせます。確かに中国は“安定したパートナー”ではあるのですが、新たな製品を企画しそれを完成品として生産する場所ではなくなりました」

ちなみに、海外現地法人を持つ日本企業を対象に、国際協力銀行(JBIC)が行った「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告(2021年度海外直接投資アンケート調査結果・第33回)」を見ると、2020~2021年度にかけて「海外事業は現状維持」「国内事業は強化・拡大」する傾向が高まっていることがわかる。

一昔前、「中国を制する者が世界を制す」といった言葉も流行したものだが、最近は「中国をあてにしていたら、食いはぐれる」という正反対の受け止め方を耳にするようになった。 “コロナの2年半”を経て転換点を迎えた中小企業の中国ビジネスは、今後ますます国内回帰を進める気配だ。

 

ダイヤモンドオンライン 2022.6.20 4:10 菊池朋之:コントロール・リスクス・グループ コンサルタント

日本企業の中国ビジネス「3大リスクシナリオ」とは?対処法をプロが伝授

中国(中華人民共和国)は、2021年にWTO(世界貿易機関)に加盟してから20年という節目の年を迎えた。WTO加盟以降、中国は貿易大国として成長を加速させた。日系企業も、2021年現在で3万超の拠点を中国に設置するなど、日中間の経済的関係についてはその深化が続いていた。しかし、中国の事業リスク環境は近年、不確実性が高まりつつある。特に、中国を巡る地政学的リスクの顕在化は日本社会や日系企業の活動にさまざまな影響を及ぼしている。地政学的観点から、日系企業の中国リスクを解説しよう。(コントロール・リスクス・グループ、コンサルタント 菊池朋之)

日系企業に影響も、なぜ米中関係はここまで悪化した?

2018~19年にかけて激化した米中間の貿易対立では、相互の関税引き上げや輸出入制度の変更などが行われた。米中両国で事業活動をしている日系企業にも、部品や原料の調達の不安定化、既存製品に対する貿易規制など、多方面で影響が生じた。

米中間の貿易対立は外交的妥結によって、既に一定の沈静化をしているものの、両国は潜在的な対立関係にあるため、米中間対立によって生じる問題が今後も発生し、日系企業や日本社会に影響が生じることを想定しなければならない。そして、日本の貿易相手国として輸出入額が1位の中国と2位の米国の政治的、経済的、そして軍事的対立が激化すれば、両国での事業活動を行っている日系企業だけでなく、基本的に全ての日系企業の活動にとっても障害になることは明白だ。

現在、米中両国は先端技術等の戦略的に重要な製品を他国、特に対立関係にある国からの依存脱却を進める、いわゆる「部分的デカップリング」を双方が進めている。この政策方針に沿って、両国は重要品目の内製化や同盟関係の再強化を進めている。米中間の対立は根本的には、民主主義と権威主義の間にある普遍的な価値基準を巡る対立があり、アジア太平洋を中心としたグローバルな影響力の獲得競争という構造的対立であるといえる。

こうした、米中両国という世界経済および日本経済とってのプレゼンスが大きい国家間の対立は、日系企業の事業活動や日本社会にも大きな影響を及ぼしている。日系企業としては米中対立を単発のリスク要因というよりも、10年単位のスパンで今後もさまざまな影響が現出することを想定しなければならない。

つまり、米中対立に起因する各リスク事象に対して場当たり的に対応するのではなく、中長期の経営戦略や企業としてのあり方を問われる戦略的リスクとして、自組織にとってのリスクシナリオや対応策を検討していかなくてはならない。こうした、現在の米中対立に至るまでに、どのようなプロセスがあったのだろうか。

09年に就任したオバマ大統領は、対テロ戦争以降の米国の軍事的プレゼンスの中東地域への偏重の調整を進め、アジア太平洋地域を重視する「リバランス」政策を打ち出した。1980年代から、軍事的な海洋進出と近海における勢力圏の確保戦略を強化していた中国は、2000年代に急成長を遂げた経済力を背景に、アジア太平洋地域における軍事的活動や一方的な権益主張を強硬化させた。この結果、アジア太平洋地域における米中間の対立が深まった。

オバマ政権は15年に、中国が一方的な現状変更を進める南シナ海において、「航行の自由」作戦を開始するとともに、冷戦後の対中政策の基本原則である「関与政策」が見直された。結果として、米国政府にとっての両国間関係は対立的な競争相手として再定義された。

トランプ大統領は政権発足当初、中国との前向きな関係改善を進めたものの、米国内で対中貿易赤字や中国に対する脅威認識が高まったことを受け、中国非難と関税引き上げなどによる対中「対抗措置」を強化した。18年から特に激化した米中間の貿易戦争では、中国との経済的関係を深めていた日系企業にも、調達コストの増加やサプライチェーンの不安定化という重大なリスク要因となった。

バイデン大統領はトランプ政権の政策を修正しつつも、先端技術を中心とした部分的デカップリングを進めており、対中「競争戦略」を基本的には継続している。

地政学的観点で分析、日系企業の「中国リスク」とは

こうした米中関係の悪化は、米国の同盟国である日本にも重要な影響を及ぼしていることは言うまでもない。その一つが、先日推進法が成立した経済安全保障政策の強化だ。経済安全保障推進法では、各国にとって重要な戦略品目である半導体等のサプライチェーンの強化や内製化、基幹インフラのサイバー攻撃等に対する強靭(きょうじん)化や一部外国業者の排除、先端技術の研究開発の促進、一部特許の非公開化などが重点項目として掲げられている。

日本政府は、経済安全保障関連の政策対象として中国の名指しは避けているものの、念頭にあるのは明らかに中国である。米中間の構造的対立とその長期化を念頭に置き、同盟国として米国の対中政策と軌を一にしているといえる。

民間企業に対しては、監督省庁による対応状況のチェックや審査等の新たな措置の実施が定められており、企業としてコンプライアンスやCSRの観点からも、中国リスクを念頭に置いた経済安全保障への対応を進めていかなければならない。

より広義な意味での日系企業にとっての地政学的観点からの中国リスクには、具体的に次の3つが挙げられる。

(1)コンプライアンス上の負担と、規制の不確実性の増大

米国、中国、そして日本などの各国は、対立の激化に伴い、関税、通関、制裁、サプライチェーン、データや国内市場への参入要件等の各種規制を新たに導入している。民間企業は、こうした対外関係による各国の法規制の変更リスクに直面しており、これらの法規制を順守していかなければ、事業活動に対して大きな制約を受ける可能性がある。

さらに、米中対立の長期化は、日系企業が進出している各国において、一方の国の規制を順守するともう一方の国の規制に抵触するという二律背反の規制が増加し、企業はコンプライアンス上の困難な経営判断を迫られる機会が増加することが想定される。例えば、中国が2021年に制定した「反外国制裁法」では、中国に不利な外国の制裁措置に関与した場合、取引の停止や資産の押収などが可能となっている。現在まで、反外国制裁法の違反事例は報告されていないものの、例えば米国の対中制裁を順守した行為が中国において法律違反となり何らかの罰則を科される可能性がある。

今後、米中関係、日中関係に応じて、自社の事業活動が大きく制限されるような、規制や制度が制定される可能性もリスクシナリオとして検討して、柔軟に対応できるようなコンプライアンス・ガバナンス体制を構築しておくことが、民間企業には求められる。

(2)事業コストの増加とサプライチェーンの不安定化

18~19年の米中間の貿易対立の激化で実施された、関税規制、輸出入規制、原産地規制の強化によって、上昇した関税額、複雑化した通関手続き、サプライヤーの変更等によるサプライチェーンの組み換えなどの形で国際貿易に必要な取引費用(トランザクション・コスト)が純増した。

中国とオーストラリアの新型コロナウイルスの発生源に関する対立では、中国が報復措置としてオーストラリア産の農産物や石炭に対する全面的な輸入停止措置を実行した。その結果、中国国内は石炭不足による計画停電や暖房費の上昇が見られた。

政治・外交的対立の報復・対抗措置として、経済・貿易上の手段を使用することは、各国の政策手段として広く実施されている。米中という2大経済大国の対立によって実施される規制や制裁の影響は、民間企業の事業の継続に直接影響を及ぼしかねないほどのインパクトを有している。そして、政治的な対立をきっかけとして、重要な部品や原料の供給停止や、自社製品の輸出入自体が困難になることも想定しなければならない。

(3)企業競争力の変動

米中対立という地政学的な圧力は、上述の通り各国市場における手続きの増加、コスト増、製品供給の不安定化をもたらす。そして、各国は自国内企業にグローバルサプライチェーンの見直しを求め、重要先端技術を中心に内製化への転換を進めている。その結果、コストの価格転嫁や、企業ブランドの国籍に対する拒否感から、企業の市場における競争力が低下する可能性がある。

例えば、米国のバイデン政権は重要製品に対する国内調達基準を引き上げる「バイ・アメリカン」政策の強化を発表しており、中国においても同様の動きが見られている。こうした傾向が強まれば、日系企業の製品の販売機会が米中という重要なマーケットで減少する可能性がある。

他方、バイデン政権の同盟国重視の姿勢から米国やEU、英国、オーストラリアなどで中国製品の排除が進むことによって、日本企業の製品の競争力が高まるというポジティブ・リスクも存在する。地政学的リスクが高まる現在、こうした市場環境と外的要因による自社の各国市場における競争力の変化に対して、事業機会を適切に捉え、必要な事業投資の意思決定を行える組織の強化と社内文化の醸成を行うことが、日系企業にはより一層求められている。

ウクライナ侵攻で台湾問題の認識高まる、日系企業はどう対処すべき?

米中対立以上に、より軍事的なリスクとして関心が高まっているのが、台湾を巡る問題である。特に、ロシアによるウクライナへの軍事的侵攻が実施された結果、台湾に対する中国の軍事的侵攻に対する脅威認識が高まった。

実際に当社に対する問い合わせにおいても、ロシアのウクライナ侵攻が開始された今年の春以降、中台間の軍事的リスクに関する質問が増加している。中台間の政治的・歴史的背景に関しては、本稿では割愛するが、中台問題は今に始まったものではなく、ロシアのウクライナ侵攻により日本周辺の地政学的リスクとして、再提起されたものであるといえるだろう。

台湾を巡る問題は、戦後の日本にとって軍事的リスクを含む重大な地政学的リスクであり続けた。しかし、ウクライナと台湾の安全保障環境や地政学的環境は大きく異なっており、ロシアのウクライナ侵攻と中国の台湾侵攻の蓋然(がいぜん)性を同一視することは適切ではない。ウクライナはNATOに加盟しておらず、米国との2国間の安全保障条約も結んでいないため軍事同盟関係を有していなかった。

米台関係は米国の台湾関係法に基づき、非公式ではあるが実質的な同盟関係にある。また、長い陸上国境線を接し陸上の大規模侵攻が可能なロシア・ウクライナ間と、台湾海峡を越えた上陸作戦が必要な中台間では軍事的侵攻の難易度に大きな隔たりがある。

従って、筆者は中台間の軍事衝突や全面的な軍事侵攻の可能性は、短期的に蓋然性の高いリスクであるとは評価していない。政策的にも中台両政府は今のところ、いわゆる「一つの中国原則」の政策方針は崩しておらず、中国の習近平総書記は2019年の談話において、台湾問題解決に向けた習近平5項目(以下)を掲げている。

(1)平和統一の実現

(2)「一国二制度」の適用

(3)「一つの中国」堅持

(4)中台経済の融合

(5)同胞・統一意識の増進

なお、これらの達成のために「中国人は中国人を攻撃しない」が「武力使用の放棄は約束しない」とも述べている。

つまり、日系企業が台湾問題をリスクとして扱う際に優先すべきなのは、軍事的な侵攻や衝突というシナリオへの備えではなく、中台間関係の政治・外交的側面から生じるリスクである。長期的なリスクとして軍事衝突の可能性を考慮しつつも、中台間の今後の政策動向や関係変化のシナリオを米中間、日中間への影響も踏まえ検討し、自社の事業への影響を分析することが求められる。具体的には中台間貿易の縮小、米中対立の激化などにより、制裁の強化や国際貿易環境の悪化などが挙げられる。

今後の中台関係のポイントとして、各国の国内政治環境を注視することも重要である。例えば、22年秋の党大会で、習総書記は慣例を破って3期目入りする可能性が高い。そこで習総書記が実質的に終身指導者となり、正統性確保のために台湾に対するより強硬な政策方針をとるのか。24年に政権交代が予定されている台湾の次期総統の政策方針に、「一つの中国」原則を否定する台湾の独立方針が含まれるのか。米国による、台湾に対する安全保障の提供に関する政策変更はあり得るのか。

米中対立や台湾問題に対しては、政治的・地政学的リスクに対する高い感度を維持しつつ、企業としてのグローバル規模でのリスク・マネジメント、危機管理体制の向上が日系企業には何よりも求められている。

 

ダイヤモンドオンライン 2022.7.26 5:20 加藤嘉一:国際コラムニスト「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

中国経済が衝撃の失速、それでも習近平が「ゼロコロナ」をやめられない訳

マルクス主義を強調する習近平、経済が政治の鍵を握る

「経済基礎決定上層建築」

中国には、こんな言葉がある。端的に言えば、経済状況が政治動向を左右する、という意味である。中国における一つの国情を示唆するものであり、マルクス主義に起因するものだ。

習近平総書記(以下敬称略)は、自らの指導思想である「習近平新時代中国特色社会主義思想」(略称「習近平思想」)とは、「新時代においてマルクス主義を中国化した産物」だと定義している。前任者らに比べて、習近平は昨今の中国共産党が依拠すべき思想的基盤として、マルクス主義を強調する傾向が強い。中国は今になっても、いや今だからこそ、マルクス主義の国家なのであると。

習近平を含めた中国共産党の指導層、為政者が、自由で公正な民主選挙で選ばれたのではなく、科挙制度を伝統に据えた、独自の党内競争・浄化システムによって選抜されてきた経緯と背景を考慮すれば、冒頭の言葉は一層の重みを内包する。選挙という手続きを経ていない中国共産党だからこそ、人民からの信任を得るために、実績という結果が重要になるからだ。

1921年に結党し、合法的手続きではなく、暴力によって「天下」を取り、1949年に中華人民共和国を建国した中国共産党がこれまで唯一の統治者として君臨してこられた正統性は、時代と共に変異してきた。

建国当初は、「抗日戦争」で日本を打倒し、「解放戦争」で国民党を駆逐したといった宣伝が作用していた。ただ、国家を破綻寸前にまで追いやった大躍進や文化大革命を経て、改革開放以降、正統性の支柱にあったのは経済である。人々が物質的に豊かになっていく、その過程を共産党による統治が支え、推し進める。それによって、統治者である共産党と、被統治者である人民の間で一種の「君主協定」が結ばれる――。

国が安定し、繁栄するという前提を保持し続けてくれるのであれば、われわれ人民は共産党を支持し続ける。さもなければ、反逆を起こす。

両者が、選挙ではなく、実績を通じて結ばれているゆえんである。

民主選挙を持たない中国が「政治の国」であるからこそ、経済が鍵を握るという逆説の論理が、14億を超える民たちの前に横たわっているのである。

次ページでは、経済動向の鍵を握る「ゼロコロナ」策が今後どのように展開されていくのか、その行方が中国政治にどのような影響を与え得るのか、考察する。

次のページ、中国経済が衝撃の失速、それでも習近平が「ゼロコロナ」をやめられない訳とは?

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