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3年ぶりの一人旅(紫香楽東北道歩き1)と皇帝 習近平 統治下の中国の人々

2022-06-16 14:47:51 | おっさんの中国一人旅終了?に伴って、もっと日本を旅します。

関西旅は聖武天皇の恭仁宮から紫香楽東北道を歩きます。

 

恭仁京紫香楽宮

甲賀寺(大仏建立) ※掲載に問題あれば連絡を願います。

聖武天皇はなぜその時、平城京から恭仁京へ遷都したのか?大仏建立の地がなぜ紫香楽なのか、紫香楽宮とは?、1300年前に自分をタイムスリップして!。

 

6月5日(日)熊本から高速バス、福岡は雨、関西も今夜から明日にかけて雨予報。週間予報で旅の始まる前に急遽木津のテント泊変更して奈良の定宿?Nara Deer Hostel のドミを予約。Booking.com で1900円(ドミ1ベット税込み)。

定刻関空第2ターミナル着、今回ザックは札幌からクロネコで関空へ、 

お届け先は第一ターミナルJALエービーシ出発宅配カウンターMM456便14:00発、札幌での発送受付がこれでしか入力できません!

国際便に乗る人がここで受け取り飛行機で海外に行く想定?、が、私は福岡から到着してここでザックをピックアップ、旅するのです。

MM456便は14:00福岡発、福岡空港にカウンターから電話、「時間になりましたが、荷物の受け取りは何時でしょうか?」、事情を説明して、無事ピックアップ(ヤマトさん、こんなジジイもいます、到着便対応もお願いします)。。

ザック外の荷物は、ナップサックにひとまとめ機内持ち込みで持ち歩いていました。フム?少し重いぞ!・・・。

JALエービーシカウンター

国際便出発カウンター

海外以外は普段通り

旅が始まります。

天王寺途中下車モンベルでガス補充、大和路快速で奈良へ。奈良はまだ雨は降っていませんが夜半から明日午前中雨予報。

Deer HostelはJR奈良駅前歩いて5分?道がいりくんでいます。Googleでシュミレーションしていたのですが・・・。

営業前のお店に入って聞きますが、彼のスマホでヒットしません。親切な対応にお礼言って・・・、記憶を奮い立たせて到達(食事の後結果報告によりました)。翌朝の様子

 

手前四つ辻の六地蔵さん 

同じく町内の墨汁屋さん 

前回利用した近くの銭湯  店仕舞いしていました!残念!!

食事は駅前のうどん屋?居酒屋?でホルモンつまみにビール、焼酎お湯割り、何とかうどん?。

 

今夜の利用者は3名?(同宿者は遅く来た?)、ゴールデンウイークは満室だったとか。

 

   

 

6月6日 予報では10時以降雨は上がって、15㌔程の工程、朝食は少しでも重量を減らすべく、キッチン使ってパックご飯にレトルトカレー(胸焼け・・)。

遅めの退房8:40、JR奈良9:08木津9:16  

元正天皇(聖武天皇おば)お気に入り別荘、木津川を見下ろす瓶原(みかのはら、現在法花寺町)へ、当時の鹿背山西道を辿ります。

   

現在の木津市上狛方面、当時の恭仁京右京方面 

鹿背山西道から木津川を 

ここら辺で雨が降り始め雨具着用。通り雨でした。

今地方での大型物件と言えば 

法花寺町へ   

元正天皇が眺めた?瓶原から恭仁宮方向 

木津川越し恭仁宮方向 

恭仁京木津川南現在加茂町

木津川堤防上を歩いて恭仁大橋へ 

破堤した後の復旧堤防 町は浸水被害に?。

恭仁大橋から  

唐の都洛陽も洛水を挟んでいますが、郊外に竜門の石窟ありました。

2006訪れた時の写真 

恭仁京大極殿跡?   

大極殿から恭仁京を 

これを見て何を感じるかは・・・。山の向こうに平城の都。

資料館は閉館 

さて紫香楽東北道、すぐに海住山寺ですが遅めの行動開始なので残念ですがパスします(お腹すいて・・)。

 

海住山寺入口の休憩所

お昼を過ぎていますが、門前のお店もなく途中コンビニもなく昼食できません!

自宅療養慰問品の中にあった"焼き鳥缶”何となく持ってきていた、取敢えずお腹をごまかして!!

恭仁京を離れます なんでこんな狭い所に都を持ってこようと・・・。

口畑部落

和束の茶畑地帯に 

   

お店?人が話しています、おばーさんお店番、残ってる品物はわずか。150円の値札、賞味期限は過ぎていません。表の自販機で水買って。

  

「どこから?」「木津から」「はあー、どちらへ?」「紫香楽へ」「はあー・・・」

このサブレ効きました!

今日は白栖の運動公園泊まり。    

白栖部落へ

運動公園到着、奥の小屋は想定していた便所でなく倉庫。便所を・・・。

正面建物は休業中?レストラン、隣に便所確認!。  

今夜は雨予報、この屋根の下で14:40です。まだテントを張るのは早い?(親切な人が通報してくれたりすると・・・)。

安積親王墓を訪ねます。父聖武天皇、母県犬養広刀自、17歳で難波京、恭仁京と遷都騒ぎの中、恭仁京で一人突然死亡、居合わせた藤原仲麻呂の毒殺か?次の孝謙女帝の兄。

入口案内看板無し 参道が道路で切られています こちらから切り返して   

  

聖武天皇は17歳で早世した我が子を恭仁宮から山越えたこの地へなぜ葬る?光明皇后の意向?光明皇后は同じ年生まれの基親王(生まれてすぐに皇太子位)を一歳で亡くしてこの時は、妹の内親王を皇太子にと。

紫香楽への通り道と託けて視野から遠ざける?

白栖の部落、親王墓参道から 

すぐ近くのお店、平日休業? 隣のレストランは営業中? 

ササっと設営 

夜9時ころ激しい雨、ネットでは17㎜の表示、テント内浸水?心配ですが腹くくって、それにしてもなぜだかテント真ん中あたりに水滴が落ちて耳障り!(屋根の白い点は雨漏りの穴でした)、1時間ほどで上がったようでいつの間にか熟睡!

 

 

閑話休題

お隣中国の様子をコラムから拾っていますので興味あればご一読を。

 

ダイヤモンドオンライン 2022.4.8 4:40 ふるまいよしこ:フリーランスライター DOL特別レポート

上海ロックダウン、官僚システムの迷走を暴いた「勇気ある正直者」の電話

新型コロナウイルスの感染拡大で、3月28日から段階的ロックダウンに入った上海市。政府は引き続き「コロナゼロ化」の掛け声の下、全住民のPCR検査などを強行しているが、現場はかなり混乱しているようだ。ある電話のやりとりを収めた動画がネットで拡散している。(フリーライター ふるまいよしこ)

3月28日から段階的ロックダウンに入った上海

「上海市衛生健康委員会は今朝(4日)、以下の通り報告を行った。2022年4月3日0時から24時までに新型コロナウイルスに感染確定した患者425人と無症状感染者8581人が新たに記録された。患者のうち71人はこれまでに無症状からの感染確定であり、7人の感染と7920人の無症状感染者は隔離管理状態において発見され、その他はリスク関係者への検査によって発見された。海外からの新型コロナウイルス輸入感染確定は8人、無症状患者は4人で、いずれも閉鎖隔離状態で発見された。各地域別情報は以下の通り……」

3月28日から段階的市内ロックダウンに入った上海では、毎朝このような一見詳細なフォーマットで前日の新規感染者数の発表が行われている。SNSの公式アカウントからはこれに続いて、市内16区で新規感染者が出た場所の住所が具体的に付記される。毎日毎日、機械的な発表を繰り返すこともまた、上海市当局が考える「科学的、合理的」な新型コロナ感染対策の一環のようだ。

だが、そこに爆弾が投じられた。

WSJのスクープ「上海最大の高齢者施設でクラスター発生」

4月1日付けの米「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)が、浦東地区にあり、入院者数1000人を超える上海最大の高齢者施設「東海老人ケア病院」で「大量の感染者と死者が出ているようだ」と伝えたのである。記事は、職員が感染し隔離されて人手が足りなくなったため、急きょ雇用された新職員らが「病院前に6台の霊柩車が停まっているのを見た」と証言したと紹介している。

また記者は、ここに入院していた父親が亡くなったとつぶやくSNSの書き込みを紹介。書き込んだ息子の友人や、その他病院訪問者も十数人分の遺体を目にしたと伝えている。

上海市の発表内容では、重症者や死者の情報が分からない

ここでもう一度、前述の報告フォーマットを見直してみると、新規感染者数は事細かく述べられている一方で、重症者や軽症者の数、さらには死者については一切触れられていないことが分かる。つまりこれらの感染者の影でどれだけの人たちが深刻な状態にあるのか、亡くなった人たちは何人いるのかは「隠されて」いるのである。前述の記事に基づいて、発表された新規感染者の住所を照らし合わせてみると、同病院の住所が確認できた。

さらにWSJはその後続けて、東海老人ケア病院に続き、上海第二の規模を持つ養老病院でも、患者と職員の一部が院内施設に隔離されていることを暴露した。

中国の経済メディア「財新網」も2日、東海老人ケア病院について写真付きの記事を発表した。それによると、同病院は3月12日未明に突然封鎖され、新規患者の受け入れをストップ。一方でその時点で院内にいた入院患者1200人あまりと付添の家族及び職員らが閉じ込められたと、その後PCR検査を経て「解放された」家族の声を伝えている。

しかし、病院内ではその後も陽性患者が発見され、院内は混乱。4月1日の時点では3月25日を最後に院内でPCR検査は行われず、約100人の患者と家族が隔離状態に置かれ、わずか3人の看護師が食事や薬を運び、環境の消毒を行っているという、劣悪な環境にあるとした。

ゴミも回収されない劣悪な環境、遺体は放置されたまま

また、WSJが触れたように人手不足で臨時職員が雇用されたものの、そのほとんどがケアサービスの経験を持たず、また多くが上海以外の地区から雇用されていて上海語が分からないため、肝心の老人たちとコミュニケーションが取れず、老人たちは十分なケアを受けることができずにいるという。

職員たちは職員たちで、防護服は身につけているものの特別な防護知識も与えられておらず、患者と同じ部屋に泊まり込む生活を続けている状態だそうだ。3月末には病院の廊下には医療ゴミが詰まったゴミ袋が収集されないままごろごろ転がり、環境の悪化を外部に訴える老人も出ている。また、霊安室に十体近い遺体が放置されているのを目にしたという証言も伝えられている。

一方で、記事ではその証言を裏付けるように浦東葬儀場が、4月1日午前に東海老人ケア医院から送り込まれた十数体の遺体を処理したと紹介していた。また、すでに入院していた父親が亡くなったと連絡を受けた家族は、父親の遺体がどこにあるのか、その死因が新型コロナと関係しているのかどうかも分からないままだと訴えていた。

香港の例を見るまでもなく、上海でも老人のワクチン接種率は一般に低いことを考えると、これらの死者の死因が新型コロナウイルスである可能性が高いことは想像に難くない。だが、上海市は死者に関する情報は一切公開していないのである。そして、「財新網」の記事も即刻削除命令が出たようで、現在同メディアのWebサイトに行ってもその記事は読めなくなっている。

地域によっては1カ月近く完全封鎖が続いている状態

表向きは粛々と政策に基づく措置が進められているように見えるが、上海市内では明らかに混乱が始まっている。

上海では3月28日から市内を流れる黄浦江を境に、東(浦東)と西(浦西と浦南)に分け、前者は同日から、後者は4月1日からそれぞれ地域を完全封鎖して市民の動きを止めた上で、4日間の全住民PCR検査を行うことになっていた。しかし、1日午前5時には封鎖が解かれるはずだった浦東区は解除されず、続いて残りの浦西、浦南地区も全面ロックダウンに入った。つまり、上海はほぼ現在、全面的ロックダウン状態にある。そんなロックダウン下でPCR検査だけが何度も何度も繰り返された結果、日々発表される感染者の数字は増加する一方となった。

だが、感染者数の増大に慌てた政府は3日から浦西での検査を中止、改めて4月4日に、2500万人を超える全市民に一挙にPCR検査を行うことを発表した。この日は朝早くから各地域、各団地、そして各ビルごとに住民が呼び出され、並ばされ、検査を受けさせられた。

だが、オミクロン株の市中感染拡大が叫ばれた3月11日から始まった地区封鎖の対象地域では、ほぼ1カ月近くの封鎖が続いている。妊婦や救急医療を要する人たちから治療を受けられないという悲鳴がSNSで大きな注目を浴び続けている。さらに病院に収容された家族がいつもなら受けられる治療を受けることなく、「亡くなった」とだけ病院から報告が届けられたという叫びも流れるようになった。

そうするうちに市民の中からも「これほどの巨大なコストを払ってまで、『コロナゼロ化』を進める必要が本当にあるのか?」という声が出始めている。上海は中国で最も経済的な豊かさを味わっている都市である。そこに住む人たちは経済の重要性を知り、また自由や権利も全国に先駆けて味わってきた。彼らは中央政府が唱える「コロナゼロ化」に面と向かって反対しないまでも、「民生の需要と基本的権利を押さえつけて任務の執行を強要するような官僚的思考を是正するべきではないのか」という主張もネットでちらほら見かけるようになった。

上海疾病コントロールセンターへ怒りの電話をかけたところ……

そうこうするうち、その「官僚ぶり」を裏付けるような現実がネットを通じて人々の元に届けられた。

それは電話でのやりとりの録音だった。ある男性が怒りもあらわに、上海疾病コントロールセンターに電話するところから始まる。「上海疾病コントロールセンターですね?」「はい……」電話の向こうは、いかにも覇気のない女性の声。男性は「聞きたいのだけれども」と告げて、事情を話し始める。

彼の両親は、まず母親が骨折して入院。その際、同室の患者に陽性反応が出て、母親は濃厚接触者と見なされ、入院していた病院から政府が感染者向けに準備した野戦病院に移された。その後PCR検査の結果、陰性となり病院に戻った。だが、彼の父親はその母親の接触者(「濃厚」ではないらしい)とされて指定ホテルでの待機を命じられ、2回のPCR検査が実施された。最後の検査はこの電話の2日前で、スマホのアプリに表示される検査結果もその日の夕方に「陰性」のままだったので、自宅に戻った。

しかしその後、男性がこの電話をかけた日に、上海疾病コントロールセンターから直接父親に、「2日前の結果で陽性が出た。これから救急車が向かうので、そのまま隔離施設に向かってもらう」と連絡があったという。

録音では電話の相手はここで、「上司につなぎます」と別の女性に電話をつないだ。男性は怒りにまかせて、「いったい、我々はアプリ(「健康雲」と呼ばれる)と疾病センターのどちらを信じればいいんだ?さっきの電話はニセモノじゃないと、どうすれば分かるんだ?一体、誰がどうやって陽性か陰性を判定してるんだ?ぼくたち市民がその正式な結果証明を手に入れることはできないのか?」と矢継ぎ早に質問した。

「スマホには陰性としか表示されない」正直すぎる女性の返事

すると、当初は「クレームなら○○に電話して」としか繰り返さなかった電話の相手が言った。

「そうよ、スマホアプリには『陰性』としか表示されないの。でも、私たちのところには1日数百件もの陽性結果が回ってきて、私たちはわざわざその主に電話で陽性だったことを伝えなきゃいけないの。私たちだって、そんなのヘンだって伝えたけど、誰も聞く耳を持とうとしないのよ」

さらに彼女は言った。「疾病センター、アプリ、医療機関……そのどれもが自分たちの判断で動いていて、現場はもう大混乱なのよ」

電話をかけた男性も、あまりの正直な返事に驚いたようだった。女性は続ける。

「お母さんはもうすでにご存じだろうけど、野戦病院はひどい環境で十分な治療もしてないから、行かないほうがいいわ。あなたのご両親はどっちもワクチンを3回接種したんでしょ?だったらますますその必要はないわ。風邪の延長みたいなものだから、家でゆっくり休息を取れば大丈夫よ」

じゃあ、救急車が迎えに来たらどうしたらいい?と尋ねた男性に、彼女はこう言った。

「『陽性の証明書を見せて』と言いなさい。きっと持ってないから、そのことを主張し続けるのよ」

でも、無理やり抑え込まれたら?と心配する男性に彼女は続けた。

「実際のところ、私たちだって専門的な観点から、無症状と軽症の患者を収容する必要はない、家で隔離すれば十分だって何度も言ってきたの。でも、相手にされないの」

男性は次第に、「あなたたちも大変なんですね。あなたたちも私と同じ庶民なんですよね。こういうときに庶民がバカを見る……」と相手をいたわり始め、「ぼくらはどうすればいいんでしょう?」と尋ねた。すると、電話の相手の彼女は笑い声を上げてこう言った。

「この録音を公開しなさいよ」

その直前に「これ録音中ですから」と男性に言われ、「わたしの許可もなしに?」とムッとした声を上げていたこの女性の言葉に、逆に男性が驚いた。「でも、公開するとあなたに迷惑がかかるでしょ……」

二人で意見交換を終えてから、男性はお礼を言って電話を切った。後に明らかになったところによると、彼は保険会社に勤めているらしい。男性はこの録音を公開し、そして多くの人たちがそれをシェアした。この女性職員の勇気に感動し、「彼女は守られねば」という声も上がった。

だが、その直後「政府職員は、必要以上のことを語らず、答えないこと」を徹底するようにという通知が下達された。ネットでは彼女の名前も暴露されているので、当局は当然彼女を特定できているはずだ。その後彼女がいかなる立場に置かれているかの続報は、残念ながらまだ流れてきていない。

 

Recordchina 2022/4/12 07:42 (JST)

「ウィズコロナ」は科学に対する侮辱―中国メディア

2022年4月10日、中国メディアの経済日報は「ゼロコロナこそ科学に対する尊重であり、ウィズコロナは科学に対する侮辱だ」とする文章を掲載した。以下はその概要。

現在、上海の感染状況が厳しくなっており、一部の海外の専門家が中国のゼロコロナ政策を批判する声を強めている。彼らは事実を捻じ曲げて「ウィズコロナ」論を押し売りし、中国によるゼロコロナ堅持は非科学的であるとして、「寝そべり政策」に誘導しようとしている。しかし、実際は「寝そべり」によるウィズコロナ政策は科学への侮辱であり、ゼロコロナこそ科学に対するリスペクトなのだ。

ウィズコロナ論は十分な科学研究をしないまま選択されたものであるとともに、初期段階の感染抑制に失敗したために致し方なく採用されたもので、科学的な選択ではない。現在、上海の一部住民の間で食料不足が生じているが、感染対策や物資輸送体制の不十分さが理由なのは明らかであるにもかかわらず、ウィズコロナ派は「厳しすぎる防疫策が市民生活に影響を与えている」などと伝えている。

また、ウィズコロナ派はオミクロン変異株の死亡率がインフルエンザより低く、厳しい感染防止策を取るに及ばないなどと主張しているが、これも科学的精神のないデタラメであり、死亡率と病死率を混同している。いわゆるオミクロン株の死亡率低下は、実のところ病死率の低下であり、本当の死亡率はインフルエンザはもちろん、デルタ株よりも高い。

米コーネル大学が今年初めに発表した研究では、オミクロン株による病死率はデルタ株の5.3%から0.9%にまで低下した。一方で、米国では新型コロナによる月間平均死者数が、2020年は3万人余り、デルタ株が流行した21年は4万人余りだったのに対し、今年1〜3月のオミクロン株流行期には5万人を超えた。大雑把なデータではあるが、いずれにしても「寝そべりウィズコロナ政策」におけるオミクロン株の死亡率はインフルエンザよりはるかに高い。

ゼロコロナこそ科学に対する尊重だ。現在の上海の感染状況に対し、われわれはブレない戦略を保ち続け、必ず勝つという揺るぎない信念を持ち、ウィズコロナに翻弄されないようにしなければならない。(翻訳・編集/川尻)

 

ダイヤモンドオンライン 2022.5.3 4:20 上久保誠人:立命館大学政策科学部教授 上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

中国のゼロコロナ固執で露呈した、「習近平国家主席は絶対正しい」の限界

中国は、最初に新型コロナウイルスが感染拡大した国だ。しかし、徹底した都市封鎖と行動制限の「ゼロコロナ政策」によって感染拡大を抑え込んだ(本連載第236回)。しかし、今、その政策が限界を迎えつつある。国民からの不満も爆発しているのに「ゼロコロナ」から脱却できない。権威主義的体制の根本的な問題は何か。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

一歩先を進んでいたはずの中国、世界から置きざりに?

「ゼロコロナ」によって感染拡大を抑え込むことができた中国では、企業が、他国に先駆けて、生産を再開することができた。2020年、中国はG20の中で、唯一のプラス成長2.3%を達成している。中国政府は、「新型肺炎のまん延を最も包括的に、厳格に、徹底的に抑え込んだ」と自画自賛した。

欧米諸国や日本など感染封じ込めに失敗したかにみえた自由民主主義諸国と対比して、中国の権威主義的な政治体制の優位性を強く主張し、「感染が広がる他の国に支援する用意がある」とアピールした(本連載第263回)。

この成功体験から、中国政府は「『ゼロコロナ』こそが、ベストのコロナ対策」と訴え、新型コロナの徹底的な封じ込めを指示し続けた。

ところが、その後新型コロナはアルファ株やデルタ株、オミクロン株など、次々と変異を繰り返したことで、世界の対応に変化が起きる。

欧米諸国などは次々と「ゼロコロナ」の実現を放棄。新型コロナの消滅は不可能だという前提で、ワクチン開発・接種、治療薬の開発によって、ウイルスと共存・共生しながら社会を正常化していく方針に転換したのだ。

英国は「日常へ移行」し、他国も「ウィズコロナ」を覚悟

デルタ株が猛威を振るっていた昨年7月、英国ではジョンソン首相が、集会や飲食店の制限の解除など、感染抑制のための制限措置の大半を解除し、経済・社会を正常化すると決断した。さらに、今年2月24日に新型コロナ対策のすべての法的規制を撤廃した。新型コロナ陽性者の最短5日間の自主隔離の義務などが廃止された。

ただし、ジョンソン首相は、「このウイルスはなくならない。そのため、今日は新型コロナに対する勝利宣言できる日ではない」と発言した。一方で、ジョンソン首相は「感染のピークは過ぎて感染者数は減少している」とも指摘した。英国は新型コロナ感染再拡大や新たな変異株への備えをしつつ、「日常への移行」を完了すると宣言した(BBC NEWS「英イングランド、コロナ規制を全廃へ 隔離措置は24日に廃止」)。

4月1日からは、「新型ウイルスの影響を最も受けやすい人」を除き、一般市民を対象とした無料の大規模症状検査は終了となった。

英国と同様に、他の欧米諸国や日本などは、ワクチン接種で重症化防止措置を取れば、あとは手洗い、消毒、マスク着用で感染を防止し、社会活動、経済活動を平時に戻していくという「ウィズコロナ」の方向性に向かっている。

中国でも、感染力の強いデルタ株やオミクロン株の感染を抑えることができなかった。しかし、「ゼロコロナ」を世界に誇っていた中国は、習近平国家主席の強力な指導力による「ゼロコロナ政策」を貫き通そうとした。

2022年冬の北京五輪を成功させなくてはならないという国家目標があったからだ。

「ゼロコロナ」に執着、プライドのため国民の不満もスルー

2021年夏の東京五輪は、無観客開催という変則的な形となったが、中国は、北京大会を完璧な形で成功することで、国家としての威信と力量を世界に示そうとした(田中信彦「『ゼロコロナ』の呪縛から逃れられるか 中国の政策に見るナショナリズムの変化」NEC Wisdom)。

だが、結局はデルタ株の感染拡大に直面して、昨年9月に海外からの観客受け入れを断念した。大会直前の今年1月には、オミクロン株の感染拡大で、チケットの一般販売を行わず、観客を限定して受け入れると変更せざるを得なくなった。

3月、中国の新型コロナ感染者数は、重症者数は英国など諸外国と比べて大きなものではなかったが、中国各地の都市でロックダウンや厳しい行動制限が実施された。

人口2400万人都市の上海でロックダウン(都市封鎖)も長期化している。吉林省長春市、陝西省西安市や河南省鄭州市など、中国の45都市で移動制限などなんらかの封鎖措置が取られているという情報もある(朝日新聞デジタル「中国『ゼロコロナ』政策 なぜ苦境 習指導部の『堅持』、リスクにも」)。

「ゼロコロナ」政策は、ある都市でわずかな感染が発生しただけでも、その全市民にPCR検査が行われ、自宅待機、厳格な外出制限を実施する。不要不急の企業活動、飲食店、商業施設、娯楽施設の営業、学校や公共交通機関の停止、幹線道路の封鎖といった都市封鎖を徹底的に行うというものだ。

だが、その厳格さにもかかわらず、感染拡大が収まる気配を見せない。市民が食料の調達に苦労し、病院をたらい回しにされる医療ひっ迫の危機にあるという。市民の不満が次第に高まり、SNS上には当局に抗議する市民の動画が流れたりしている(AERA.dot 「『物資をよこせ!』中国ゼロコロナで困窮する人たち 『私がゼロにされる』批判投稿も」)。

しかし、中国政府は、市民の不満に応えようとしない。「ゼロコロナ」政策は、中国が新型コロナ対策で世界を指導する地位にあること、中国の政治体制が自由民主主義より優れていることをアピールする政策であったので、その変更は極めて難しいのだ。

むしろ、中国政府は「ゼロコロナ」政策をより徹底的に行うことを指示している。3月以降、ゼロコロナ政策の遂行に失敗したとして、120人以上の地方政府や党の幹部が更迭などの処分を受けているという情報もある(西日本新聞「『ゼロコロナ』中国に逆風 経済打撃、市民に不満『独り負けに』」)。

だが、ゼロコロナの徹底でも、新型コロナの感染拡大は止まらず、状況は好転しない。上海市で、新規感染者の少ない区画では、段階的に外出制限を緩める方針を示していた。しかし、再び外出制限を厳格化する方針を決めた。感染の深刻な地域では、PCR検査をあらためて徹底する方針を決めざるを得なくなっている(日本経済新聞「上海市、外出制限を再び厳格化 感染増加地域で」)。

要するに、英国など欧米諸国を中心に、多くの国がウイルスとの共存・共生を目指す「ウィズコロナ」戦略に転じる中、「ゼロコロナ」政策を貫いてきた中国が、新型コロナの感染拡大に苦心惨憺しているのだ。

間違いを修正できない!身動きが取れなくなった中国

この連載で主張してきた、ロシアや中国のような「権威主義的体制」の弱点を端的に示している(第220回)。権威主義的体制は、指導者は絶対に間違うことがないという「無謬(むびゅう)性」を前提としている。指導者は常に正しく、常に勝利し国民を導いていく。これが、指導者の「権威」と「権力」の基盤である。

だから、権威主義的体制では、自由民主主義体制では当たり前に行われる、国民の声を聴いて妥協し、政策を修正するということは、それ自体が権威を揺るがすことになるため絶対に認められないのだ。

中国のゼロコロナ固執で露呈した、「習近平国家主席は絶対正しい」の限界本連載の著者、上久保誠人氏の単著本が発売されています。『逆説の地政学:「常識」と「非常識」が逆転した国際政治を英国が真ん中の世界地図で読み解く』(晃洋書房)

そして、重要なことは、うまくいかなくなったら、うそを重ねて権威を守ろうとする。これは、「ゼロコロナ」政策に固執する、現在の中国の状況に完全に当てはまるのではないだろうか。

中国は、迅速な意思決定が可能であるとして権威主義的体制の優位性を主張してきた。だが、その主張は間違っている。実際には、政策の修正が必要な局面になると、とたんに非効率的となる。必要な決断を遅らせる、コストの高いものであることが明白だ。

権威主義的体制では、指導者の政策の間違いを正すには、政権を倒す体制変革、最悪の場合武力による革命が必要になる。重要なことは、そのとき、多くの人々の生活や生命が犠牲になってしまうことなのだ。

欧米や日本の自由民主主義体制ならば、指導者の政策の間違いを修正するのは、それほど難しいものではない。基本的に情報がオープンであることを通じて国民は指導者の間違いを知ることができるからだ。

そして、間違いは選挙を通じてやり直すことができる。それが、一見地味ではあるが、自由民主主義にあって他の政治体制にはない最大のメリットであると、何度でも強調しておきたい。

現在、ウクライナ侵攻の停戦協議が進まず泥沼化している。それは、突き詰めればロシア・プーチン大統領が「戦争遂行に失敗した」という形では、戦争を終えられないからだ。失敗を認めることは、プーチン政権の権威と正統性を失わせることになるのだ(第299回)。

中国の新型コロナ対策も、習主席の「ゼロコロナ」政策が誤っていたという形には絶対にできない。だから、「ゼロコロナ」政策が正しかったという形を作るまで、政策を転換することができない。中国は、習主席の無謬性という「権威」を守るために、政策を変えることができず、身動きが取れなくなってしまっているということなのだ。

 

ダイヤモンドオンライン 2022.6.15 4:15 ふるまいよしこ:フリーランスライター ふるまいよしこ「マスコミでは読めない中国事情」

中国社会に奇妙な「コロナ後遺症」…理不尽な命令、思考停止の蔓延に困惑

中国・上海で約2カ月にわたり実施されていたロックダウンが、6月1日に解除された。街は活気を取り戻しつつあるが、すぐに「すべてが元通り」とはいかなさそうだ。社会は硬直し、人々は「自由な生活はうれしいが、3カ月前とは何かが違う」と感じている。(フリーランスライター ふるまいよしこ)

上海のロックダウンがようやく解除されたが……

6月1日、やっとのことで上海のロックダウンが解除された。4月1日から全市で始まったロックダウンだが、実際にはすでに70日以上も封鎖されたままの団地もあった。そして、残念ながら一斉に解除というわけにもいかず、その後も封鎖が続いた地区もある。

「ようやく外出の自由を満喫!」と皆が思った矢先、筆者の友人が暮らすマンションではSNSの住民チャットグループに「住民から陽性者発見」の一報が流れた。ロックダウン解除後も引き続き義務付けられている72時間ごとのPCR検査で陽性者が出たらしく、居住マンションは再び封鎖されることに。「わずか2日半の自由だった……」とつぶやいていた。

だがその後、それが間違いだったことが分かり、幸運なことにこのマンションの封鎖は回避された。しかし、友人は言う。「封鎖回避はうれしいけれど、とにかくこうやって振り回され続けるのはキツイ」……たしかにその通りだ。普通の生活からすれば自由を奪われるか否かという時に、「幸運」なんて言ってはいけなかったのだ。

自由な生活はうれしいが、3カ月前とは何かが違う

まだ完全なる「コロナゼロ化」は達成できておらず、また自分ひとりがどんなに気を付けたところで、本人も知らないうちに感染する人が出る可能性は常にある。そうなったところでその人物を責めるわけにもいかず、しかし政策は恐ろしいほどの堅苦しさで相変わらず執行されている。

ロックダウン解除直後には花火が上がったり、久しぶりに車を駆って上海の観光地・バンドに大勢の人たちが詰めかけたりと、上海は文字通り盆と正月が一緒に来たような騒ぎとなった。しかし、だからといって政府や商店が期待したほどの「リバウンド消費」は起こらなかった。人々はやっと外に出て、以前のように店に入って、そこに並ぶ商品を手にとって買うことができるようになったとはいえ、何かがバカ売れして品切れになるといったことも起こらなかった。

「自由な生活に戻れたのはうれしい。だが、もう3カ月前とは何かが違う」――上海に暮らす誰もが、今はそう口にする。

ロックダウンの「後遺症」

上海ほどではないものの、約1カ月間、レストラン店内での飲食が禁止されてきた北京でも7日からやっと通常営業に戻り、人々は「以前の生活」を取り戻しつつある。だが、長期にわたって極度の緊張感を強いられた結果、あちこちでなんとも奇妙な「後遺症」が出現している。

たとえば今月初めの北京では、各団地の来訪者に「48時間以内のPCR検査陰性証明」の提示を義務付けていた。ある団地に入ろうとした人がそこに立つ警備員に「24時間以内の陰性証明」を見せたところ、「48時間以内という決まりだから48時間でなければならない」と言われた。「24時間ならもっと近い結果だから問題ないはず」と反論しても聞き入れてもらえず、もみ合いに発展。その後警察が呼ばれて警備員に説明し、やっとその人は団地内に入ることができたという。

理不尽な命令を押しつけられ、判断力を失う人たち

あるコラムニストはこの笑い話のような「事件」について、「これは警備員の理解力がどうこうという問題ではない」と述べている。長期にわたって「任務遂行」を押し付けられ、極度の緊張感の中で繰り返し繰り返し、「上からの命令」だけを遂行させられ続けた結果、「彼は判断力を失い、頭の中には単純化された命令だけが記憶されてしまった」。そして、その彼が警官の説明を聞き入れたのは、警察が「権力」を代表する立場だったからだという。

こうした“硬直した”ケースはロックダウン中の上海でもよく伝えられた。急に発熱した子どもを病院につれてきた母親が、まずはPCR検査を受けろと言われ、その結果が出るまで寒空のもと子供とともに数時間待たされたこと。あるバイオリニストが激しい腹痛を訴えて救急車で病院に運ばれたものの、コロナ対策に駆り出されていた病院側が受け入れを拒絶、仕方なく自宅に帰った後、あまりの痛みに耐えかねて飛び降り自殺した事件。その他、急病や別居中の親族のためにどうしても団地を出なければならないという住民の懇願を、警備員や居住委員会(隣組のようなもの)が「決まりだから」とはねつけたなどという話題が、毎日のようにごろごろネットに上がっていた。

上海が制限から解放された6月になってからやっと、国家衛生健康委員会が記者会見を開き、全国の感染状況が相対的に落ち着き始めたことを報告する一方で、硬化した対応や、やりすぎ、勝手な拡大解釈を行わないように呼びかけを行った。だが、前述したとおり、ここ数カ月の間、理不尽な「命令」にさらされてきた庶民にとって、「なにをかいわんや」状態でしかなかった。

PCR検査の担当者はパンク寸前

ロックダウン後の上海、さらに北京でも7日から、住民は72時間に1回PCR検査を受けることが義務付けられている。上海や北京など大都市ではすでにあちこちに24時間運営の検査サンプル取得所ができていて、市民は三々五々、都合の良い場所と時間を選んで検査を受けられるようになっているという。

だが、その分析を担当するラボの様子は、まるで工場の流れ作業ラインだという。メディアが紹介していたある地方都市のラボでは、1日に2万本あまりの検査サンプル入り試験管が届けられる。その街では1日あたり延べ22万人が検査を受けなければならない計算で、その分析を市内六つのラボが担当する。だが、検査はすべて手動で行わなければならないが、分析基準を満たす検査担当者の数は約120人しかいない。

検査担当者はまず、届けられた試験管の蓋をそれぞれ開け、検査薬を注入し、一本一本の中身をスポイドで吸い取ってリアクションプレートと言われる容器の中に移す。リアクションプレートには黒豆ほどの96の穴があり、そこにブレることなく正確に吸い取った検査薬入りのサンプルを落とす――という行為を、1日に数千回、淡々と繰り返す。検査の結果をオンラインに反映するまでをすべてそのラボで行う。さらに毎日届けられる大量のサンプル処理をこなすため、ラボはほぼ24時間稼働状態、シフト制で運営が続けられている。

中国のPCR検査は数人分を一つの試験管にまとめて検査を行うため、1本の試験サンプルで陽性反応が出ると、さらに改めて「仮陽性」となった被検者たちが呼び戻されて個別の検査が行われ、そこから陽性者個人を突き止めるという手段を取っている。このため、ラボはちょっとした手違いで起こる「仮陽性」や「陽性」を防がなければならないという重責を負っている。

単純だが、緊張感を強いられる作業の繰り返しは工場の流れ作業そっくりで、週末も祝日も繰り返されるその作業に担当者たちはへとへとになっている。さらには、もともと近隣の医療機関の職員である彼らは、万が一に備えて自宅通勤ではなく、ホテルなどに集められての生活が義務付けられられており、気晴らしの場もない。1日6、7時間の「作業」を終えて解放されると、完全に感覚は鈍くなり、さらには夢にも試験管に試薬を流し込む様子が出てくるという。

国家衛生健康委員会によると、全国のPCR検査資格合格者は約15万人で、人口14億人で単純計算すると、1人の検査員が1000人分を担当することになる。各地で人材募集をかけてはいるものの、すぐには人は見つからず、医療資源がぎりぎりの現在、そう簡単に研修を行うこともできない状態にある。

なしくずし的に全員PCR検査は消えていく?

さらに、5月末には国家医療保障局がそれまで国の医療保険基金が支えてきたPCR検査を、地方財政の負担に切り替えると発表したことで混乱も起き始めている。一部地方都市はすぐさま、PCR検査を個人負担とし、「常態化検査」を「それぞれが実際的な事情にかんがみて意識的に検査を受ける」形へと調整すると発表した。

一人あたり1回のPCR検査にかかる費用は約3.5元(約70円)だが、住民全体の強制検査となると数百万元単位で金が掛かることになる。このため、北京や上海に代表されるような財政的に余裕のある都市はともかく、財源が乏しく、さらには新型コロナで産業の萎縮が著しい地域では、地方政府がその費用を負担し続けるのはほぼ無理。だが、個人負担とすることで強制的な実施は不可能となり、これにより全員PCR検査は地方から次第に強制力を失っていくのではないかという指摘も上がる。

さらに冒頭で触れたように、「検査の間違い」も起きており、市民の間からは「検査を受けなければ間違いも起こらない」という声も起こり始めている。以前の48時間単位から72時間単位へと「緩和」されたこともあって、その習慣的な実施が崩壊していくのではないかともいわれる。

その一方で、PCR検査を回避しようとする住民の増大に危機感を覚えた地方政府が、「決められたスパンでの検査を2回以上受けなかった者には10日間の刑事拘留と罰金500元(約1万円)」といった罰則で対応するケースも出現した。さらには、金融サービスや公共交通移動などで利用される「失信者(信用失墜者)ブラックリスト」に入れると言い出す地方政府も出現し、大きな反発も起きた。

もう脱出したい……疲れ果てた人たちから生まれた新語「潤学」

こうした政策の変化と、それに対する過剰な行政側のリアクションに、すでに人々は疲れ切っている。そんな状態に置かれた人たちの中から、「潤学」という言葉が生まれ、ささやかれている。

「潤」は中国語で「るん」と読むが、ピンイン表記は「run」となる。これを英語の「run」(逃げろ)にひっかけて、こうした行政の強制的な施策や、厳しい措置が続く都市、さらには中国から脱出したいという人たちが出現、ネットではその手法が飛び交うようになった。

「run」といえばもう一つ、あるネットユーザーが調べたところ、上海の離婚手続き窓口の予約が、なんと1カ月先までいっぱいになっているそうだ。「ロックダウン解除後の上海で離婚激増?」のタイトルは刺激的だが、日本でも緊急事態宣言期間中に家庭内暴力が増えたことを考えると、あながちありえないことではない。

ロックダウンや強制措置はこうした目に見えない形で傷ついた人たちを大量生産した、ということだろう。人々の気持ちが逃避に向かう中、中国社会が完全に元通りに戻り、経済が回復するにはまだまだ時間がかかりそうだと言わざるを得ない。

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