弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

「虎に翼」の 注目点は 石田和外を どう描く?

2024年06月09日 10時01分48秒 | 講演

連載第3回から。

裁判官の「中立公正」とは…
実は“人をだます”のも仕事?
「現職の裁判長」が明かす“意外な実像”
(弁護士JPニュース)
https://www.ben54.jp/news/1211

朝ドラ「虎に翼」で、事情通の弁護士たちが心配している事がある。
それは、後の第5代最高裁長官となる石田和外(いしだかずと)が美化されるのではないかという点だ。ドラマで松山ケンイチ演じる桂場のモデル。
戦前に帝人事件で無罪判決を書いて気骨を示したのは史実だが、戦後は最高裁を右旋回させた張本人であった。
最高裁判事の入替えにより、公務員の争議行為を全面的に違法とする判例変更をし、ブルーパージすなわち青年法律家協会を初めとするリベラル派の裁判官の冷遇路線を敷いた。長期保守政権からの介入に対する組織防衛と動機を擁護する論調も見られるが、退官後の経歴を見れば、本人の極端な保守的傾向に基づくリベラル派の排除であったと見るのが正当であろう。
「極端な軍国主義者、無政府主義者、はっきりした共産主義者は、その思想は憲法上は自由だが、裁判官として活動することには限界がありはしないか」と宣うた事は有名だが、本人は「極端」ではない「軍国主義者」といったところだろうか。論外だ。
ドラマでは既に、寅子に女性は裁判官は採用しない旨を宣言する場面があり、美化はしないだろうと私は信じているが、今後の役割に注目である。

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