弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

当選無効の 議員の仕事 百害あって 一利なし

2023年12月14日 00時00分45秒 | 判決どどいつ
一昨日の最高裁判決から。
(写真)最高裁口頭弁論の傍聴人向け説明書
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92565

私は、反対意見に時折見られる人権感覚には大いに期待しているが、この判決に限っては、反対意見よりも多数意見を支持したい。
そもそも、当選無効の議員報酬の不当利得返還請求に対し、議員としての稼働による不当利得返還請求権による相殺を認めるという原審の判断には、非常に違和感がある。そんな相殺を認めるくらいなら、最初から議員報酬の不当利得は成立しないというべきではないだろうか。
それに、当選無効の議員がたとえ何をしようと、当該自治体や住民が利得することは考えられないように思う。
今回は大阪市自身による訴訟だったが、住民訴訟による同種事案の提起も当然予想される。
さらには、国会議員による同種事案で国が不当利得返還請求をしていないのはおかしいのではないかという批判もあり得る。
最高裁判決における意見の対立は、そのような事情も反映しているのかも知れない。