一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『ダーク・ナイト』

2010-02-22 | キネマ
「バットマン」シリーズはガキのころアメリカのTVシリーズの放映を見ていたためか「勧善懲悪・超人・秘密兵器」という印象が強く(その点では「仮面ライダー」などの戦闘ヒーロー物のベースになったのかもしれませんね)、映画化されてもあまり思い入れはなく、また、TSUTAYAの店頭のPOPで「公開を待たずに事故死したヒース・レジャーの鬼気迫る演技」などと言われると、天邪鬼としてはますます遠のいてしまっていました。

しかし、依然として高評価が続いているのでとうとう観ることに。


結果的には当たりでした。


ヒース・レジャーだけでなく、脚本とキャスティングの妙を俳優陣の好演が支えた映画です。
善と悪・陰と陽のコントラストを軸に、しかもハリウッド大作であるために人間への絶望よりも希望をちょっとだけ上回らせた脚本と、それを補うように正義の味方としての限界(クリスチャン・ベールといういかにもな好青年のキャスティングもいいです)に対してジョーカーの大胆な描写をすることで作品に深みと迫力を与えています。

ジョーカーはバットマンのいない世の中を求めるが、バットマンはジョーカーがいなければ存在意義がない、という正義の味方の抱える根源的矛盾があります。
さらに、冒頭でバットマンの真似をして犯罪者退治をしようとする偽者に対してバットマンが厳しく諭す場面があるのですが、このシーンが象徴するように、突き詰めていくと正義の味方は一人でないと行けないのか、公権力たる警察との関係をどうするのかという問題に至ります。
結局バットマンは"Dark Knight"になるのが必然なわけですが、それをジョーカーと言う存在が彩ったわけです。

そういう構造から、身もふたもない言いかたをすれば、ジョーカーの方が「役得」なのは仕方ありませんが、それをかなりストレートに描いたところが本作の魅力になっています。


他の出演者も芸達者が多いのですが、特にゴードン警部役を奇人・怪人役の多いゲイリー・オールドマン(本人はジョーカー役をやりたかったに違いない)がやっていて、普通の役も上手いんだと再確認。



コメント
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