昨年9月30日に売却が公表されてから引き渡しが引き伸ばされてきた三越池袋店ですが、ついに売却されたようです。
ですが、
【売買】シンプレクス・リートが旧三越池袋店を取得、ヤマダ電機が資金を拠出
(2010年2月8日 日経不動産マーケット情報)によると
シンプレクス・リート投資法人は1月29日、豊島区東池袋1丁目にある旧三越池袋店を三越から取得した。2008年9月に結んだ売買契約に基づく取得で、取得価格は750億円。現在はヤマダ電機が店舗として利用しており、取得にあたってはヤマダ電機が取得資金の全額を出資している。
売買契約時点では2009年9月の物件引き渡しを予定していたが、手続き上の理由から引き渡し時期が変更になった。シンプレクスは当初、投資家や金融機関からの資金調達を検討していたもようだが、最終的にヤマダ電機から全額を調達した。今後、ヤマダ電機へ物件を譲渡する可能性もあるとみられる。今回の取得と同時に、ヤマダ電機が788億5000万円の抵当権を仮登記している。
要するに、自分では資金調達ができなかったので、ヤマダ電機に金を出してもらったということのようです。
シンプレックスとしたら決済ができなければ違約金の支払い義務が生じるうえに、ニューシティレジデンスの民事再生以降金融庁もうるさくなっている「フォワードコミットメント」のリスクを初の物件取得で顕在化させたら、投資運用業者としても厳しい立場に立たされるので、とりあえず「買った」という形は作らざるを得なかったのかもしれません。
問題はスーパーディスカウンターたるヤマダ電機がそのまま788億円で買ってくれるか、ということだと思いますが、抵当権も付けているので最悪でも788億で物件は手に入れられるという上限がは決まっている交渉ですから、シンプレックスにとっては、買ったはいいものの依然として「まな板の上の鯉」の状態は続いているようです。
しかし、ヤマダ電機は今年新宿店もオープンするし資金がよく続くものだと思ったのですが、実は新宿店は2008年に既に取得していたようで、(参照)さらに 第三四半期の決算短信をみると、業績好調のおかげで営業キャッシュフローを全部つぎこめば788億くらいは払えないこともなさそうです(その積極姿勢はすごいけど)。