一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

 『アバター』で考えるコーポレート・ガバナンス

2010-01-14 | キネマ
(映画のネタばれがあるので注意)
『アバター』では惑星での鉱山の開発主体は私企業という設定でした。
映画の中で「あまり先住民をたくさん殺すと株主がうるさい」というセリフが出てきます。
未来でもCSRはより重要という想定でしょう(その割に軍隊とか持ってますし、「1人も殺してはいけない」とは言っていないのはどうかと思いますが)。

(地球との交信のタイムラグがどれくらいあるのかは映画ではわかりませんでしたが)そもそも現地に行くのに6年もかかる状況で現地の暴走をコントロールする体制を作るとなると現実的には不可能に思えます。


そこで、もうちょっと近未来にありそうな例におきかえて宇宙時代のコーポレートガバナンスを考えてみます。

たとえば火星に鉱山なり工場があるとします。
火星に行くのには6カ月かかります。往復で1年。ただ、電波のタイムラグは10分55秒なので、コミュニケーション自体は比較的簡単にできそうです。

では、火星の現場に対するガバナンスをどう効かせるか。
監査を例にあげて考えてみます。

通信技術を使って遠隔でするのも可能でしょうが、映像に細工をされる可能性もあります。
一方で、往復1年かかるとなると、わざわざ監査のために往復するのも無駄なので、内部監査要員は現地に常駐することになるのでしょうか。
そうするとストックホルム・シンドロームではないですが寝食を共にするうちに現地の執行側に取り込まれるリスクもあります。

監査役監査はもっと難しくて、任期4年のうちのまるまる1年をかけて往復するのが業務執行として適正か、逆に重要な拠点を往査しなくていいのか、というあたりは難しい判断を迫られます。

火星レベルの距離だとしても、上場企業が取り組むには相当ハードルが高そうですね。


上場企業では火星への投資は難しいとなると、投資組合とか「火星ファンド」の出番になるわけですが、外部監査を省略してしまうと、今度は悪さをする輩がいっぱい出そうです。
アポロの月面着陸も作り物ではないかといわれるくらいですから、現代の技術で詐欺をするのは簡単でしょう。


『アバター』でも、最後に「これが投資の失敗の顛末です」という報告書とともに地球に帰ってきたけど、ビデオログなどはすべて偽造で、実際は設備投資も軍事物資への投資もせず、武装チームは殺してしまって、使わなかった資金は現地責任者とリアルな映像資料を作ったジェームズ・キャメロン監督で山分け、なんてオチがあったら面白かったかもしれません。

 
コメント
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