一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

免停と無免許運転

2006-06-23 | あきなひ

せっかく早起きしたので、エントリをひとつ。


三井住友海上を業務停止 金融庁、体質改善迫る
(2006年 6月21日 (水) 23:23 共同通信)

金融庁は21日、不当な保険金不払いが約4万5400件(約28億2600万円)あったとして、三井住友海上火災保険に一部業務停止命令を出した。  

自動車、火災保険など損害保険の販売は7月10日から2週間停止し、医療保険など第3分野商品の販売も同日から業務改善が確認されるまで、期限を定めずに差し止めた。販売中の保険を対象にした無期限停止は初めて。新商品の認可は6月22日から最長1年間凍結し、海外支店の設置も3カ月間禁じた。  

同庁は新たに見つかった不払い件数が多いことや、経営陣が保険金支払いの管理を現場に任せきりにしていたことを重視。同じように不払いが多発した明治安田生命保険や損保ジャパンよりも厳しい処分にした。

金融庁のHPを見ると

1. 第三分野商品に係る保険金の不適切な不払い
 平成14年度から17年度の過去4年間にわたり、以下のような多数の第三分野商品に係る保険金の不適切な不払い(927件、166百万円)が認められた。 
(1) 保険責任開始以前の発病(以下「始期前発病」という。)について、約款上は医師の診断により始期前発病が認定された場合に免責が適用されることとなっているが、当社社員が医師の診断に基づかずに自ら判定を行う等、免責が不適切に適用された事例(618件) (中略) 

 その原因として、以下に掲げるように、第三分野商品について、商品開発から支払査定、事後検証に至る保険金支払管理態勢に極めて重大な欠陥があることが認められる。 
(1)当社は、従前から、始期前発病の取扱いに関し、医師の診断に基づかず社員自らが判定を行う等誤った運用が行われているが、何ら見直しが図られていない。(中略) 

2. 付随的な保険金の支払漏れ 
 平成17年9月30日付で当局より報告を求めた、付随的な保険金の支払漏れに係る調査結果(27,173件、1,941.4百万円)について、その内容を再度検証したところ、当該調査において当社が支払不要又は調査の対象外としていた案件の中に、支払漏れが極めて多数(17,296件、719.1百万円)認められた。 (中略) 

3. 不適切な代理店管理(省略) 
4. 苦情処理態勢・不祥事件処理態勢(省略) 
5. 海外拠点管理態勢 
 海外子会社(英国)において、当該子会社の代表取締役(現在も就任)が、①契約書を取り付けていないまま支出を行っている、②支払理由を偽った支出を行っている、③必要とされる取締役会の承認を得ない支出を行っている、等の事案が認められた。 
 本社海外担当部門は、これらが横領、背任等の不祥事件のおそれがある事案であるにもかかわらず、徹底した調査を行っていない。また、当該者に対して経理手続きが不適切なことを口頭にて注意するに留まり、特段の処分を行っていない。  

処分の理由なので多少大仰に書いてある部分もあるとは思いますが、十分な態勢が整っていないのに新商品を供給した、というところが一番の理由のようです。イギリスの子会社は何をする会社なのかは不明ですが、かなり杜撰なようですね。
なのできちんとした態勢が出来るまで無期限の業務停止、というのは仕方ないと思います。

安田生命や損保ジャパンとの違いは「従来の商品におけるルール違反」と「不十分な態勢下の商品提供」にあるのでしょう(一般の業務停止は有期ですから)。
「スピード違反で免停」と「無免許運転」の違いのようなものですね。


ただ、新聞の見出しは重い処分の理由として「不払い」が前面にでていますので「不払い=業務停止」と短絡されそうで、そうするとろじゃあさんの懸念されるように  

求められる保険金の支払についてのコンプライアンスを進める一方で安易に保険金の支払をするという選択がされる危険

が顕在化したり危険があったり、(詐欺までは行かなくても)無理筋の保険金請求を強要する人も出てきそうな・・・ 
でも、そういう行為は結局保険料の値上げの方向に影響するので、われわれ契約者側も文句を言うにしても節度を持って言うことが大事なんですけど、そうもいかないだろうな・・・


そういう現場の負担増も含めてトータルで考えれば、最初からちゃんとやっておいた方が経済合理性にもかなう、ということが企業側の教訓ですね。 

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奇跡は起きず

2006-06-23 | よしなしごと


横綱相撲をとられてしまいました。

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