英語の「体のある部分が使われる表現」を日本語に訳す時に、日本語ではその部分じゃなくて違う部分を使って表現したほうがひょっとしてわかりやすいのではないか、と思うことがよくある。
たとえば、scrunch one's noseがそうだ。これは「鼻をしかめる、鼻をしわくちゃにする」ということだが、「不快なものを見たり嗅いだりした時、困惑した時、何かに対する不満を示す時などに使わる。
であれば、今日GetUpEnglishで示すように鼻以外の体の部分を使って日本語に訳したほうがずっとしっくりするのではないか、と思われることがよくある。
○Practical Example
"She scrunches her nose when she smells something unpleasant."
「彼女は嫌な臭いを嗅ぐと顔をしかめる」
"He scrunched his nose in confusion, not understanding the joke."
「彼は冗談が理解できず、困惑して顔をしかめた」
"The little boy scrunched his nose as he tasted the sour lemon."
「小さな男の子は酸っぱいレモンを口に入れて顔をしわくちゃにした」
これなどは「男の子が鼻をしわくちゃにするより、顔をしわくちゃにする」ほうがよっぽどイメージしやすい。
●Extra Point
もう2例。場合によっては体の違う部分になったりもする。
◎Extra Example
"When asked about the homework, she scrunched her nose in annoyance."
「宿題について聞かれると、彼女は苛立たしそうに目を細めた」
"He scrunched his nose at the thought of eating broccoli."
「ブロッコリーを食べなくちゃいけないかと思い、彼は顔をしかめた」
翻訳者の皆さんはまじめだし、「鼻」が「顔」になるのにちょっとした抵抗を感じるだろし、「顔をしかめた」とすると、編集者や翻訳チェッカーに誤訳だと指摘されたり、勝手に直されたりすることもあるかもしれない。だが、この表現は、要するに「困惑している、憤慨している」ことが表現されていると考えてほしい。
実際、すぐれた英和辞典であれば、他動詞scrunchには、「〈目〉を細める、〈顔〉をしかめる」(コンパスローズ)の意味があると定義されている。
であれば、英語はnoseだろうが、日本語では「顔をしかめる」のほうが自然であることと自信をもって言えばよい。