「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

境界性パーソナリティ障害における薬物療法

2013年09月06日 21時41分47秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
 パーソナリティ障害は、 生物学的要因と生育環境的要因の相互作用で、

 知覚, 認知, 感情, 行動に異常が生じる 複雑な症候群です。

 学習による側面を 性格特性と呼び、 先天的な側面を 気質と呼びます。

 パーソナリティの成り立ちは、

 「生まれか育ちか」 という対立で 論議されがちですが、

 全て発達の過程と 密接に関連しています。

 例えば、 衝動的・ 攻撃的な気質の子供は、

 回避的・ 恥ずかしがり屋の子供とは 異なる方法で世界と関わり、

 周囲に対する 態度や対人関係を形成していくでしょう。

 幼い頃に 虐待を経験すると、 脳の神経内分泌系に変化が生じ、

 成人期にも持続します。

 海馬や扁桃体が小さくなり、 セロトニン機能も低下します。

 海馬は記憶, 扁桃体は感情 (特に怒り) の 制御に重要です。

 セロトニン系は感情, 衝動, 行動の 制御に関わっています。

○ 脳の機能に 神経伝達物質が果たす役割

 神経伝達物質は 世界ついての見方や考え方,

 感情体験や その表現, 行動を制御します。

 神経回路のバランスが 先天的, 後天的に失われると、

 適応不全となるかもしれません。

 これは 薬物に敏感に反応すると 考えられています。

 BPDは パーソナリティ特性と行動の組み合わせによる 症候群です。

 単一の病因を 指定できる疾患ではありません。

 衝動性と感情統制不全が中心的な 生物学的要素が特徴です。

 神経伝達物質の異常による、 思考や知覚の 軽度の障害が見られることがあります。

 BPDは症候群なので、 薬物療法は それぞれの精神症状に対して、

 多くの薬剤が必要となることがあります。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より