「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

家族の経験についての考察 (1)

2013年09月24日 20時56分37秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
○ 慢性疾患としてのBPD

 家族が直面する問題は、 患者の年令や 同居しているかどうかで左右されます。

 親が医療費を負担している場合、 親も治療の情報を 入手できるでしょう。

 患者が自宅から離れていると、 家族のサポートを得るのは 非常に難しくなります。

 同居していても、 患者が 適切なサポートを受けているかどうか 知るのは課題です。

 家族にとって重要なのは、

 精神的・財政的な問題を 話し合う場を求めていくことです。

 家族が機能不全で 親が原因だと、 治療者が見なしている場合、

 家族が患者の支えになるのは 二重の意味で難しいでしょう。

○ 適切な治療者を見つける

 家族が BPD以外の問題を抱えていると、

 家族の機能を維持するのは 非常に困難です。

 うつ病や摂食障害などの 合併精神障害を抱え、 BPDに取り組んでいないなら、

 患者の変化は いっそう難しくなります。

 最も重要なのは、 信頼のおける治療者を 見つけることです。

 患者にとって大切な人が 協力できるなら、 もっと効果的です。

 治療者は、 家族が罪悪感を抱いて 自責的にならないよう 援助すべきです。

 しばしば親は、 BPDの責任が自分にあるなら、

 自分が障害を治せると 感じるかもしれません。

 複数の要因が組み合わさって BPDは発症するので、

 精神療法, サポート, 薬物療法の 組み合わせが必要でしょう。

 高度な技能や思いやりをもって 治療に取り組むべきです。

○ 入院治療について 知っておくべきこと

 BPDの症状は、 外来患者の約10%、 精神科入院患者の20%に認められます。

 施設の方針は、 必ずしも 家族に好意的ではありませんし、

 閉鎖病棟に慣れるのに 相当苦労するでしょう。

 家族は、 患者との関係が問題視されていると 感じるかもしれません。

 病院生活を経験していくことで、

 スタッフにどう話しかけたらいいのか, いつ医師に会えるか,

 ソーシャルワーカーの部屋はどこかなど、 家族は学べるでしょう。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より

(次の記事に続く)