「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

家族とBPDに関する研究 (1)

2013年09月30日 21時00分47秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
○ 幼少期の虐待と養育放棄についての スティグマ (偏見)

 BPDに関する多くの研究が、

 BPDの引き金として 幼少期の虐待に注目しています。

 幼少期の心的外傷を 病因と想定し、 養育の問題と結びつけてしまっています。

 けれども 原因を明確にすることは、

 適切な治療, 家族・ 患者・ 専門家の協力関係,

 患者の怒り・ 家族の混乱と罪悪感の 軽減のために、 極めて重要です。

 性的虐待は、 BPDの大きな引き金のひとつと 見なされています。

 しかし、 何らかの虐待を受けたと言う 人々の大半は、

 BPDのような 精神障害を発症していません。

 幼少期の性的虐待は、 成人のうつ病のほうに 強い関連があります。

 BPDは その他のパーソナリティ障害よりも、

 養育者からの精神的虐待, 身体的虐待を報告することが 優位に多いものの、

 精神的虐待については そうでないことが明らかにされました。

 精神的虐待が生みの親から ということは稀です。

 親への記憶が 否定的な場合、

 それは、 親が虐待者から守ってくれなかった 不満の可能性が大きいでしょう。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より

(次の記事に続く)