「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

診断基準3. 同一性障害 (不安定な自己像または自己感),  診断基準7. 慢性的な空虚感 (1)

2012年09月20日 23時26分53秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 アイデンティティの欠如と空虚感は 関連があるので、

 診断基準3と7を まとめて説明します。

○ 自己という感覚の欠如

 大抵の人は 20代か30代になるまでに、

 自己像は かなり一貫したものとなります。

 40代になって、 多くの場合、 自分の好き嫌い, 価値観, 職業の選択など、

 間違っていなかったと考えるでしょう。

 しかしボーダーの人は 本質的な自己感がなく、 台風に見舞われた船に乗った人が、

 転がり回ったり、 デッキに打ちつけられたりするようなものです。

 普通の人は、 異なる状況で 異なる人々と一緒にいても、

 一貫した自己を感じているものです。

 この自己の連続性が ボーダーの人にはなく、

 空虚感につながる 自己同一性拡散の問題になります。

 患者は次のように感じています。

・ 心の中が空虚

・ 自分のものは何もない

・ 誰と一緒にいるかによって、 自分が異なる人間になる

・ どのように考え、 行動するかの手がかりを、 他者に頼っている

・ 一人でいると混乱し、 うんざりする

 彼らは孤独を回避しようとして、 なりふり構わぬ 衝動的な努力をしたり、

 パニックに陥ったり、 ひどい倦怠感, 解離状態に陥ることもあります。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕