本書で 「ノン・ボーダーラインの人 (non-BP)」 というのは、
「ボーダーラインではない人」 ではなく、
「家族, パートナー, 友だちなど、
ボーダーの人の行動に 何らかの影響を受けている人」 のことです。
non-BPのなかには、 ボーダーの人を 懸命に支えている人もいれば、
言葉や身体的に 虐待をした人もいます。
メンタルヘルスの問題を 抱えている人もいます。
ボーダーの人のなかには、 親や養育者から 虐待を受けた人もいれば、
善良で、 我が子に治療を受けてもらおうと 身を粉にしている親を 持つ人もいます。
本書で 親のことを述べる場合は、
普通の過ちは冒すが、 一般的な親のことを指しています。
本書の情報を基にして、 誰かを診断しないでください。
BPDの評価や治療を 経験した専門家だけが、 診断を下すことができます。
BPDは よく誤診されますし、 他の精神障害と 併存することも珍しくありません。
幾つかの施設で 別々の診断を受けていることも よくあります。
その人をボーダーラインと呼ぶのに 躊躇するとしても、
あなたの人生をよくすることを ためらわないでください。
この本は ボーダーの人のための本ではなく、 あなたのための本です。
診断の有無に拘らず、 本書の方法は あなたにとって有益でしょう。
本書の焦点は、 BPDによってもたらされる行動への 対処の仕方です。
希望があることを知ってください。
BPDの一番の誤解は、 治らないということですが、
薬物療法が 抑うつ, 気分変動, 攻撃性に効果的です。
自傷の衝動を感じなくなるまで 回復した人も沢山います。
彼らは 自分自身に対して 良い感情を持ち、
愛情を与えたり受けたりすることに 喜びを感じるようになっています。
ボーダーの人が 援助や治療を拒んでも、 あなた自身は変わることができます。
自分の行動を吟味し、 修正することで、 感情のジェットコースターから降り、
自分の人生を 取り戻すことが可能となるのです。
〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕