「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「序  親しいけれどよくわからない人々 : 本書のできるまで」 (2)

2012年09月08日 20時24分16秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

 BPDと関わっている 精神療法家であるポール・メイソンに 連絡を取ると、

 彼も私と同じことを 強く思っていました。

 BPDの人の友人, パートナー、 家族は、

 自分が独りぼっちではないということを、 どうしても知る必要があるということです。

 家族の人たちは、 自分たちが感情的な闘争地帯にいて、

 もはやどう対処すればいいのか 分からないでいます。

 当時の文献には、 毎日BPDの人と 生活を共にする 家族に必要なことは、

 ほんのうわべだけの説明しか ありませんでした。

 家族について論じている研究では ほとんど、

 家族環境が この障害にどのような影響を 及ぼしたかというのが、

 議論の焦点でした。

 人に影響を及ぼす BPDの人の 行動についてではありませんでした。

 専門家たちの多くが BPの患者に圧倒されていて、

 non-BPの人に向けての助言は 非常に限られていたのです。

 私はインターネットにアクセスし、

 BPとnon-BPの人のための グループを見つけました。

 彼らは 対処技能を学び合い、 情報を交換し、

 経験を正しく理解できた 親密だけれどよく分からない人達 (BPDの人達) を、

 感情面で支えたりしていました。

 BPの人たちは、 性的虐待, 自傷行為, 抑うつ, 自殺企図など、

 驚くべき惨状を 話してくれるようになりました。

 境界性パーソナリティ障害でいることは、

 無間地獄にいるようなもの -- それより酷い状況なんてない。

 しかし私は ネットで、

 セラピーと薬物療法, 感情的なサポートの 組み合わせによって、

 かなり回復している人々に 出会いました。

 人生で初めて 自分が正常であると 感じることができたという 彼らの喜びに、

 私は感動し、 涙が出ました。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
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