「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

見捨てられ不安 -- TBSで境界性人格障害の特集 (4)

2008年11月11日 10時48分11秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

 境界性人格障害は、 感情の起伏の激しさから 他人を振り回し、

 孤立していく 対人関係の病でもある。

 大阪のマンションで 独り暮らしをする 美鳥(みどり)さん。(仮名・31才)

 3年前に アパレル関係の仕事をやめ、 今は療養中だ。

 美鳥さんは、 身近な男性に 見捨てられる不安から 逃れるため、

 あえて 無理な要求を突きつけ、 結局 破滅的な結末を 迎えてしまう。

美鳥 「最初に出たのが、 試し行為。

 ありとあらゆる 試し行為。

 急に噛みついたり、 殴っていいかと ひたすら聞いたり。

 どれだけ自分を 可愛がってくれるか、 どれだけ要求 に応えてくれるか 」

 その奇妙な行動は、 会ったばかりの 取材スタッフにも向けられた。

 取材のあと、 一人になるのを恐れたのか、

 部屋から出てきて スタッフのあとを追ってきた。

 何でもない質問をしながら、 エレベーターに 一緒に乗り込む美鳥さん。

 全ての階の ボタンを押し、わざと 時間がかかるようにして、

 引き止めようとする。

 自分は他人から どう見られているのか、

 極度な不安が 美鳥さんを 非常識な行動に駆り立てる。

 美鳥さんは エレベーターの中で うずくまってしまい、

 スタッフが帰っていっても そのまま動かなかった。


 美鳥さんの症状が現れたのは 7年前、 ある男性との別れが きっかけだった。

 いま 美鳥さんを支えてくれる人は 周囲にいない。

 その孤独と不安が、 ときに彼女を パニックに陥れる。

 畳に倒れて 震えながらあえいでいる 美鳥さん。

美鳥 「(泣きながら) 頑張っているのに、 なんでダメなの?」

 見捨てられることを恐れ、 必死で 他人にしがみつく。

 そのことが 自分を孤立させる。

〔 TBS 「報道特集 NEXT」 より 〕

(次の記事に続く)