「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

妄想性パーソナリティ障害 (2)

2008年11月26日 22時38分28秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
(前の記事からの続き)

 硬さと傷つきやすさも 妄想性パーソナリティ障害の特徴です。

 柔軟性がなく 冗談も通じません。

 些細なことで 攻撃されたと受け取り、

 プライドを傷つけられて 怒りを感じ、 執念深い 怨みを抱きます。

 妄想性パーソナリティ障害の人は 人生の中で必ず、

 人間の恐ろしさというものを体験し、 不信感の原点となる 体験をしています。

 屈辱的な体験や 虐げられた体験が 影響していることも多いのです。

 また、 過度な秘密主義でもあります。

 プライベートなことや 出自に関することに過敏で、

 はっきりした答を避けます。

 愛情を信じられないため、 権力や力で 人間関係を理解しようとします。

 権力者に 妄想性パーソナリティ障害が多い とも言われます。

 絶対権力を手にした 万能感と、

 裏切りによって 失脚する不安が 心を蝕んでしまいます。

 独裁者や ワンマン経営者だけでなく、

 カルト教団の教祖が 妄想性パーソナリティ障害であることもあります。

 麻原彰晃がそうであったと 言われています。

 しかしながら、 このような 危険な人物ばかりではありません。

 多くの 妄想性パーソナリティ障害の人は、 とても律儀で、

 責任感が強く、 きちんとしています。

 強い 「秩序愛」 を持っており、 家族を大事にします。

 しばしば 気分の波を伴い、

 行動的な時期と 意気消沈して反省的になる 時期があります。

 人の目を 過剰に気にし、 評価してくれる人がいると 能力を発揮しますが、

 非難を受けると 迫害されたように 思い詰めてしまいます。

 対人的な不信感から、 人付き合いを避けて 引きこもること少なくありません。

 こうした傷つきやすさは、

 幼いころの不遇な体験に 根ざしていることが多いものです。


〔 「パーソナリティ障害」 岡田尊司 (PHP新書)
  「人格障害の時代」 岡田尊司 (平凡社新書) より 〕

(次の記事に続く)