「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

小泉毅容疑者が 妄想性人格障害? 

2008年11月25日 23時23分15秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
 元厚生次官を殺害したという 小泉容疑者が、

 妄想性人格障害だと言う 人がいるようです。

 こういう事件があるたびに、 専門家が直接 診察したわけでもないのに、

 どうしてTVなどで こういうことを軽々しく 公言するのでしょう。

 パーソナリティ障害への偏見を 助長するばかりです。

 本当に発言には 慎重になってほしいと思います。


 この機会に、 妄想性パーソナリティ障害について 書いてみたいと思います。

 妄想性パーソナリティ障害は  「人を信じられない障害」 と言えます。

 常に 裏切られるのではないかという 猜疑心に駆られています。

 彼にとって 人と親しくなるということは、

 疑いと苦しみの 始まりでもあります。

 多くの場合は 生真面目で 引っ込み思案だったりしますが、

 攻撃的な行動に 出てしまうこともあります。

 親しい人を 信用できないため、

 監視したり 行動を全て把握したいという 衝動を覚えます。

 パートナーが いつか裏切るという 確信を持っていて、

 詰問したり、 浮気の証拠をつかもうと 躍起になります。

 その結果 関係が悪くなり、 本当に相手が 離れていってしまったりします。

 愛情と憎しみが 表裏一体で、

 境界性パーソナリティ障害や 自己愛性パーソナリティ障害以上に

 執拗なストーカーになる 場合もあるといいます。

 人口の0.5~2%に 見られるといい、 決して稀なものではありません。

 妄想性パーソナリティ障害の人は 孤独で傷つきやすく、

 人に心を開くのに 臆病です。

 しかし一旦 心を開き始めると 執着し、 相手を独占したくなります。

 根拠の薄い思い込みが 裏切られると、 今度は 逆恨みに向かってしまいます。

 殺すなどと強迫し、 本当に 実行に移されてしまうこともあります。

 自分が 迫害されている被害者だと 思う故に、

 加害的な行動に 出てしまうのです。

(次の記事に続く)

〔 「パーソナリティ障害」 岡田尊司 (PHP新書) より 〕