「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

不安定な対人関係 (3) (どちらに転んでも恨まれる)

2008年04月14日 22時08分50秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53735154.html からの続き)

 BPDの人の アンビバレントな感情は、

 相手が離れると 見捨てられる恐怖、近づきすぎると 息が詰まる恐怖だといいます。

 そのため、「してもダメ、しなくてもダメ」 という 状況になります。

 しがみつくような態度と、孤立して遠ざかろうとする 両極端の態度を取るわけです。

 そこから、BPDの人の心情を表す 象徴的な表現、

 「あなたなんて大嫌い! 行かないで!」 という 言葉が出てきます。

 お互いの関係を 続けるためには、そのパラドックスを 理解する必要があります。

 BPDの人を 受け入れるということを、どんなに言葉で言っても 無理でしょう。

 BPDの人は、見捨てられるのは 間違いないのだから、

 どうせなら いっそ早く済ませたい、ただ待っていては おかしくなってしまう、

 と 潜在的に考えています。

 そして相手との関係に 無理矢理問題を見つけようとし、

 関係が本当に大丈夫か 確かめようとします。

 「どちらに転んでも恨まれる」 という ジレンマに対しては、

 正しい答はありません。

 相手の意見を尊重し、「しても悪く言われ、しなくても悪く言われる」 ということを

 説明するのが うまいやり方だそうです。

 何があっても揺るがない 不変性を示すことが、最も大事なメッセージです。

 どんな言葉より貴重なのは、ずっと側にいるという 安心感です。

 にっちもさっちも 行かなくなったときは、

 きちんと説明をした上で、一時的に 離れて過ごすことも必要です。

 でも 必ずまた戻ってくる、二人の関係は 続いていくということが、

 安心に繋がるでしょう。

 事を荒立てないために、BPDの人の 非現実的な言動を是認しても、

 それは解決を 先延ばしにしたり、BPDの人の認識を 放任するだけです。
(共依存)

 自分の感情を抑えていては、双方が欲求不満を 募らせていくでしょう。

 僕は心子に対しては、「動じないこと」 を 常に心がけていました。

 でも BPDの人の攻撃を 受け止め過ぎていると、

 果てしない依存が 生じる場合があるので、

 そのプラスとマイナスを 考慮する必要がある と知ったのは、

 ずっと後に なってからのことでした。

 また、「救済者コンプレックス」 の罠に 陥ってもいけません。

 パートナーはBPDの人を 救済するためにいるのではなく、

 愛して支えるために 存在しているのですから。

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕