「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

不安定な対人関係 (2) (分裂の原因)

2008年04月13日 20時52分33秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53718608.html からの続き)

 BPDの人の 「分裂 (スプリッティング) 」 の原因は、

 大脳生理学的 (機能的) なものが あるとも言われています。

 子供の頃に トラウマを経験したBPDの人は、

 脳の機能に わずかな異常が 認められることがあります。

 また、脳の辺縁系 (感情と本能的行動を司る) と 前頭連合野は、

 互いに影響しつつ 思春期も成熟を続けます。

 しかしこの時期に、身体的・精神的ストレスを受けると、

 脳内神経物質が破壊され、正常な発達を 阻害されることがあります。

 さらに、分裂は 解剖学的 (器質的) な 原因もあるかもしれません。

 感情 (特にネガティブな感情) は右脳が中心で、

 論理的働きや ポジティブな感情は 左脳が中心とされています。

 BPDの人は ストレスによって、左右の連結が 未発達のままになり、

 両者のバランスに 混乱をきたすと思われます。

 以上は、後天的な原因についてですが、先天的な理由も 考えられています。

 生まれつきの機能不全が 発達の段階で 連結の遮断を起こし、

 脳に多少の障害を 生じさせることは想像できます。

 癇の強い子が 親のフラストレーションを招き、

 親はますます 子供をなだめることができなくなり、

 虐待的に なってしまうことはあるでしょう。

 その結果 子供にトラウマが与えられ、

 BPDの症状を助長する 悪循環になります。

 ストレスが 脳の機能不全の原因になり、分裂を引き起こすのか。

 あるいは、先天的な機能不全が 分裂を引き起し、家族関係に障害を与えるのか。

 それは 「卵が先か ニワトリが先か」 と同じで、

 今のところ 決定的な答はないとも言われるようです。

〔「BPDを生きる七つの物語」(星和書店)より〕

(続く)